このところ写真展に展示する出展画像を探して、毎日過去の撮影画像を紐解いていて、無謀にも飛んでいる野鳥を手持ちの望遠レンズで「流し撮り」しているのが幾つか在った。
確かに手持ちの300㎜以上の望遠レンズで、ファインダーの中心部分に飛んでいる野鳥を入れ込むのは、けっこう難しい。更にそれを1/60~1/30で切るのはもっと難しい。
筆者の場合はヤマセミの生態観察を続けてきて、その飛翔力の力強さを画像収録するために、幾度か流し撮りを試みた。普段球磨川の上を飛ぶ際は非常に難しいので、営巣中の巣穴中心に練習をした。
営巣~巣立ちまで3週間以上毎日通って観察すれば、色々給餌その他毎日の生態パターンも呑み込めて来るので、流し撮りする余裕が出来る訳だ。考えようによっては非常に贅沢な事だろうとは思うが。交通費と滞在費を考えれば貴重な経験だったし、試してよかったと思っている。
この巣穴関連で言えば、給餌の為に魚を咥えて巣に入る際の画像はほとんどない。理由はお分かりと思うが、巣穴へどの方向から飛んでくるかパターンがいくつかあるのと、巣穴に入る際は当然減速するので、良い流し撮りに成らないのだ。
一方巣穴からヒナの糞を咥えて出て、落下しながら加速する際は一時期ほぼ一直線なので「流し撮り」の成果が得られやすいのだ。
撮り鉄やレーシングカーあるいは競馬・競輪撮影といった2次元の動きに近い移動体は上下のブレが少ないので、三脚さえ上手く使えばいい絵が撮れよう。
しかし野鳥はいつ何処から飛んでくるかも分からないし、上下左右三次元の動きをする。これを三脚使用で撮影はまず不可能に近い。
東京に居る際は近所の野川でツバメやカモメ、はたまた鴨系で流し撮りの練習をしているのだが、ちょっと画像探しに励もうと思う。
巣穴から落下しつつ加速するヤマセミ
それぞれシャッタースピードを変えたが、なかなか難しい。
手前に飛んでくる際はあまり効果を発揮しない。
背景をボカしたいが、被写界深度が異常に浅くなるとヤマセミ本体も追えない。
野鳥の生態写真を撮るには永遠のテーマかも知れない。