学校時代の同期から近所でツミという猛禽類が子育てをしているらしい…というEメールを貰った。詳しい場所は全く判らないが・・という事だったが、予報に反して午後も天気が良さそうだったため即行動に移り、短めのズームレンズを付けたデジタル一眼を持って、ダメ元という軽い気持ちで公共交通機関で目的地附近に向かった。
住宅街にある公園で、近所の方々がひっきりなしに散歩する場所だった。周りは住宅地。訊いたら昔から例年数多くのツミが繁殖しているとの事だった。実はそういう話は初めて聞いた場所。
この公園の周りは住宅が囲っているので、こんな所で猛禽類が良く繁殖するものだと感心してしまった。近所には野鳥の名前が付いた鉄道の駅もあるし、昔から野鳥が多い場所なのかもしれない。
2時間ほどの滞在で、幸運にも場所が判り初めてツミのオス親、メス親、育っている三羽のヒナを観察できたので満足だった。この先無事に育って欲しいものだ。
営巣中のツミの父親、オス。眼の色は赤、胸は白っぽく横縞が不明瞭。リラックスしているのだろうか、片足を上げてジーッとしていた。通行人が指者して見上げながら下を通過しても全然警戒しないで堂々としていた。
時々翼を伸ばしてストレッチを行っていた。
こちらはメス、母親。
躯体が少しオスより大きく目は黄色、胸の横縞が明瞭。以前自宅近所で数度観たのがメスだったことを確認できた。
正確な数は判らないがヒナの数は三羽と思われる。距離40m程。
時々場所を移動しあっていた。親の給餌タイムには遭遇出来なかった。
此処ではそういうことにはなっていないが、オオタカなど人気の猛禽類は営巣中の巣の周りに連日群がるアマチュアカメラマン、バーダーが繁殖の妨害になると、野鳥関係の団体メンバーや著名なバーダーが上から目線で諫めたり、SNSでクレームする。
しかし、こういう住宅街で繁殖するツミの類はむしろ人間の生活域で繁殖する事で、より強い猛禽類やカラスの攻撃を避けている事を知らないのだろう。現場の状況を確認もせず野鳥画像の投稿やSNSレポートを諫めたり攻撃したりするのは、自分がそこへ行けない、その野鳥を撮影出来ないやっかみと無知から来る指摘だと思う。
現にこの場所では、時々散歩中の高齢者や、ベビーカーを押した子連れのファミリーが、立ち止まって巣を見上げているし、ツミの親もすぐ傍の樹の枝でジーッと監視している。よくあるオオタカの撮影者たちのように大砲レンズを三脚に乗せて並べて陣取ったりしない。このブログでも、万一そうなるといけないので場所は明示しない。
地元の方に訊いたら、もう10年以上ここでの繁殖を観察しているとの事だった。昨年は同じ樹の別の枝に巣を掛けたそうだ。すっかり地元でもいつもの季節イベントになっているらしい。
NHKの「ダーウィンが来た!」等でも多摩地区の街のバス路線の街路樹で繁殖するツミの特集をやっていた。意外に野鳥たちは人間の生活圏の方が安全だという事を知っているのかもしれない。
野鳥愛好団体のメンバーだけが、野鳥に関してモノ言える立場にはない事を今回の観察で良く学んだような気がする。