それから今年2015年4月1日で丸5年が経った訳だ。東京の武蔵野から人吉に通うこと30回以上。撮れたヤマセミの画像はついに8万カットを超えた。技術の革新で連写の秒間コマ数がどんどん増える為自然と枚数が増えていくのは当然の事。ヤマセミ画像専用の外付けHD(3Tb)が3台になった。カメラはOlympus・E3→Canon7D→Canon5D・MarkⅢ→Canon1Dxと撮り継いで居るがCanon3台は現役だ。しかしレンズは結局の所SIGMA50-500ズームが一番活躍しているし、決定的なシーンは殆どがこのレンズだ。レンズを一本だけ選べと言われたら間違いなくシグマのこれを選ぶ。レンズは値段ではない。ブランドでもない。取り回しと、頑丈さと、自分が撮る被写体にどれだけ適しているかだろうと勝手に思っている。8×25の小さな双眼鏡とこのCanon+Sigmaのコンビで今後もヤマセミと対話していきたいと思っている。
今月下旬から31回目の人吉合宿に入る予定だが、さて今年はどのような生態を見せてくれるか非常に楽しみだ。快晴ピーカンの日より曇りの日のほうが有り難い、今年は入梅が早いようだ、期待できそうだ。
数年前、ヤマセミの巣立ちまでの観察を2週間ほど粘って続けた事がある。初めてヤマセミの巣立ちに出遭う事ができた。上が巣立った直後の幼鳥、左下が見守る親鳥。残念ながらこの壁は今は崩落してしまい、もう無いそうだ。
観察して初めて知った。巣立った雛は二度と巣には戻らない。この画像は20分前に巣立った幼鳥が先ほどまで入っていた巣穴に見向きもせず、その上を飛んでいく姿。巣穴には翌日巣立つ次の雛が顔を覗かせている、感動的なシーンだ。
巣立った幼鳥たちは最初の2週間は固まって行動する。とにかく集合場所が2~3箇所決まっていて、親鳥が餌を運んできて与える場所はいつも同じ所だ。
此処の幼鳥たちはいつもこの岩の上だった。しかし2年前の増水で岩の半分は流されてしまい現在は全然違う様子になってしまったという。自然界は常に其の形を変えているようだ。
実は幼鳥は4羽居るのだが常に1羽は仲間から離れていた。個性的な性格なのだろうか?
ここでも3羽で集っている。最初は統率の取れたファミリーだが、2週間を超えると幼鳥達は個々に行動を始め冒険の日々が続く。この辺りが撮影的には一番美味しい時期になる、何が撮れるか判らない。目の前2mの岩に飛んできた事すらある。勿論こちらはブラインドに等入っていない、迷彩服のままジーット岩の上に座って居るだけ。カメラも動かせず、対峙したまま思わず見合ってしまった。あの感動は忘れられない。