2023年9月24日日曜日

団塊世代は、便利なモノがどんどん人間を退化させていると思う。 In this world, convenient things are increasingly humans degeneracy.

 最近読んだ本に北欧の精神科医師・研究者アンディシュ・ハンセンが出した「運動脳」というのがある。以前「スマホ脳」という本を出して大当たりした今や時の人だ。
http://yamasemiweb.blogspot.com/2023/01/baby-boomers-were-astonished-by.html
今年の頭に読んで、ニヤニヤしながら超納得した本。お勧め!

 この運動脳という本、日本の自称脳科学者・茂木健一郎氏がすぐさま要約本を出しているが、圧倒的にオリジナルを読んだ方が良い。中身が100倍違う。

 茂木氏の「運動脳の鍛え方」はいわばコピペ本と言ってもいいほどオリジナルをパクって、話題性のありそうなタイトルを付けベストセラー化を狙った本だ。

 これは出版界お得意、一種の後追い商法・パクリ商法だと思う。平凡出版がアンアンを1970年に出して、集英社がしばらくしてノンノを出したに似ている。同じく平凡出版POPEYEの後追いでHot Dog Pressを集英社が出したに似る。

 写真週刊誌フォーカスが出れば、すぐさまフライデーが出た。出版界は嫌らしいのだ、節操のない恥ずかしい世界なのだ。「生成系AIが版権やプライバシーを踏みにじる・・」とことさら大げさにメディアが騒いでいるが、メディア・出版業界ははるか昔から自分たちでやってきているのをお忘れか?

 茂木氏のこの本は中身が薄っぺらいし、ネットがこれだけ普及していなかったら、例えば1960年代の日本だったら、茂木氏自身誰にも知られない存在だったろう。

 ネットで、SNSで情報発信するからこそその存在を認知さえている「ネット人種」の一人だろう。ガーシー元議員にしろ、ひろゆき氏だの、ホリエモンだの、ネットで「おいらはこう思う・・。」的な発信をやたら中身を吟味せず公開することによって意見が広がる(=バズる?)「ネット人種」なのだと思う。

 今や若者中心に街中でスマホ歩きをして他人に多大な迷惑をかけ続けている「スマホジャンキー」それらが情報収集して自分の「意見」を構築していく源がこれら「ネット人種」なのだと筆者は思っている。

 今日のこのブログで言いたいのは実はそういう出版界云々の話ではない。

 石器で他部族の脳天をかち割ったあのスタンリーキューブリック監督「2001年宇宙の旅」の冒頭シーンの人類祖先から、今に至るまでいろいろ人間が生きていく上でいろいろ便利なモノが発明され、売られ産業として発展して来た。団塊世代は特にそのど真ん中で育ったから一番よく知っている。

 生まれた時から身の回りにパソコン、ネット、SNS、TV、VR、新幹線、ドローン、自販機、カード決済がある現代の子供たちと違い、我々団塊世代は、育つと共にこの世に出現した三種の神器(テレビ・電気洗濯機・電気冷蔵庫)だの3C(クーラー、自動車、カラーテレビ)だのに日々驚異の声を上げ続けてきた。

 同時にそう言った新しいモノ・機械・製品は人間をより快適に生活させ長生きさせるものとして歓迎され喜ばれた。こういった新しいものが人類に悪い影響を与えるなど思いもしなかった。せいぜい教育面で一部TV番組がやり玉に挙がった程度だろう?

 それがここ最近出来てきたものは、確実に人間・人類を退化させていると筆者は憂えている。その3大アイテムが、自動車、スマホ、生成系AI(Chat GPTなど)

 ① まず自動車。
 自由に好きな所へ移動できるし、車特にコンテナなど輸送車がなければ人類はこんなに発展しなかったろうとそれは確信している。
 しかし、便利で安くなってだれにでも買えることになって、猫も杓子も若者も高齢者も、特に地方で公共交通機関インフラが十分でないエリアでは一人1台の時代になって久しい。

 しかしこの便利さは人間を歩かなくさせた。これで高齢者の足腰が全滅。寝たきり老人の比率はいまや日本が世界一だという。車で便利して、足腰が弱り、健康のためにウォーキング?何かどこか根本がおかしくないだろうか?

 ② 次にスマホ。
 幾度もこのブログでスマホの弊害を筆者は指摘してきた。ガラパゴス系と馬鹿にされながら筆者がスマホに替えたのはほんの2年前。相手の都合や状態を察することなく返答・返信を強制されるLineは入れず、支払いアプリやポイントがたまるアプリも一切入れない。だから月の通信費は2000円前後。
 
 しかしこの便利さは、人間に先を予測しない行動癖を生み出した。盗撮、乗っ取り、これ見よがしの高いスマホ自慢ごっこ(iPhon15)、スマホでしか撮れない写真の自慢サイトの反乱⇒人間の写真撮影のスキル退化。

 渋谷スクランブル交差点の人込みや道路の真ん中、あるいはデパ地下の混雑した通路で仁王立ちになって自分が行く先をGPSマップで調べている若者たち。
デパ地下の雑踏のど真ん中で仁王立ちしてスマホ操作!いけない。

 基本的に自分の脳に東西南北の概念が入っていないから、スマホで地図を見て解ったつもりでも実際がわからなくてキョロキョロしている。筆者も道端で「北ってどっちっすかねぇ?」と訊かれたことが幾度かあった。

 あらかじめ、自分の行く先の情報、そこまでのルート・時間、これらを調べて行動をしないからすぐに現場でパニくる。半分は自業自得なのだが、首都圏直下大地震に富士山爆発が起こった時にスマホ命で、スマホに頼って日常を生きている者共のパニックと混乱、そう遠い日の事ではないような気がするが如何?

 ③ 三つめが生成系AI(=ChatGPTの類)
 最近、地方自治体がこの生成系AIを業務に取り入れましたと、「話題の新技術を使ってんだを我々は!」アピールが目立つが先行きは相当怪しげだ。

 PRのつもりで導入をアピールしているのだろうが、マイナンバーカードの実例を見るがいい。いくらAIだのコンピューターだの言っても、それを使う人間が起こすミスはAIやコンピュータは修正してくれない。

 例えばオフィスで係員が一生懸命打ち込んでいる最中にスタッフや来場者がコンセントに物をぶつけてPCがダウン、あるいは突然の雷雨・落雷で全館停電!

 こうなったらどうする?電気に頼る人類は電気不足で生活自体まったく機能しなくなる恐れは十分あるだろう。

 富士山に限らず大きな噴火で全天が雲に覆われ太陽光発電ができず、しかも火山灰ショートで電気が送電できず都市機能が止まった場合、どうなると思う?
 もちろんスマホは電池切れで通じない。AI頼りの都市機能も全部止まる。この時人間は石器時代に戻るのだ、空を眺め観天望気で変化を察知し生きていかねばならない。

 さらに、人間は基本的な脳力を今まで教育を経て苦労しながら獲得してきた。この脳力があればこそ生成系AIの使える範囲・限界・問題点・弱点を知っている・・はずだ。
 
 しかし、こないだTVでどこかの学生に「ChatGPT」どう思いますか?とマイクを向けた街頭インタビュー(もちろん全てがヤラセであることは言うまでもないが)があった。

 その答えは「助かりましたよぉ!昨年課題に2日掛かっていたのに、ChatGPT使ったら15分で出来ました、超便利ですね?」メディアはこうやってその威力を報じていた。

 しかし、ちょっと待ってほしい。昨年2日掛かって苦労して学んだことを生成系AIを使って15分で出来たのなら、2日間の学習ー15分(ChatGPT)の部分自分の脳が進化し、ノリッジ(米語ではナレッジ)になっていないという事に気が付いているだろうか?

 この先、生成系AIを駆使する「無知で脳が退化した人類」が大量に生まれてくるような気がしてならない。