「ふるさと・やつしろ『わたしと野鳥』写真展」2日目も日曜日とあってファミリー来場が多かった。
筆者は夕方の飛行機で帰京なので、撤去作業は手伝えなかったが、この写真展設営時から80%程度は楽しく手伝えたと思う。
わざわざ佐賀からお出で頂いたヤマセミの撮影に関しては「超」が付くほどの実力派撮影者が、佐賀で言えば「県展」以上の規模、なおかつ来場者も多いとの事だった。
筆者自身も過去20年、野鳥撮影を始めて以降これほどの規模の一般公募の写真展は記憶に無い。
カメラメーカーや用品メーカー、かってのフィルムメーカーのコンテスト、プロの写真家さん主催の「教室グループ展」あるいは写真雑誌主催のコンテストは知っているが、いずれも条件が多く規模も小さい。
佐賀の達人も言っておられたが、県展などは部門別に分かれていて優秀作品・例えば入選・佳作以上のみ展示で、応募作品すべてが展示される訳ではないとの事。こうも言っておられた、「来場者がこれほどゆっくり描く作品に足を止めて見入るという事に驚いた!」だそうだ。
今回のポイントとして、来場者に丸いシールを渡し、お気に入りの作品の説明書きに貼ってもらうという面白い試みがなされていた。どなたかのアイディアだろうと思うが、非常に良い事だと思った。
文部大臣賞だの知事賞だの「賞」を与えるコンテストとなるといろいろな問題が生ずる。
過去において国内でもトップクラスの写真展(野鳥に限らない)で最優秀賞になったとんでもない野鳥写真作品が在った。
その作品は深夜寝静まった水鳥の群れを騒いで驚かせ、狼狽えて群れが飛び上がったっところを撮ったもの。撮影者自身が「してやったり!」と受賞者コメントで述べた事から大騒ぎになり、Twitter、その他SNSで全国から撮影者と主催者に非難が集中し、最終的に賞が撤回されたことがあった。
主催者の説明で「しかし、これは虐待や苛めではないと判断し授与した」と言い訳・弁解していたが、それが逆効果で火に油状態。そもそも自然界の被写体を撮影する際の理念も無ければルールマナーも知らない審査員(写真家が主)及び主催者で、無知で非常識な人々の運営主催であることが国民全体にバレてしまったのだ。
国が後援している写真展の権威が地に落ちた。撮影者側は「アナタ、あんな素人審査員の写真展に応募するの?」という事だろう。
此の事から審査員のメンバー、主に写真家と自称する人々そのものが野鳥写真の根本を知らない、自分で撮れないのに判断・審査出来る訳もないだろうとの考え方が生まれて来た様だ。筆者は昔からそう思っていたのでコンテストには一切出したことがない。
優劣ではなく好き嫌いで来場者が作品を批評・判断するのが写真展本来の姿だろうと思う。それも実際撮影される方が・・。
これらを基に考えると、今回の「ふるさと・やつしろ『わたしと野鳥』写真展」は野鳥撮影の楽しみの原点を正しく情報発信していると思った。
これだけ自由に参加出来て、主催者が出展作品に優劣をつけない写真展。優越感を感じるために出展するのではない、「観てもらうため、野鳥を知ってもらうために出展する」写真展、今後もっと全国に広がると嬉しい。