鮎の話が出たので少しじっくりと鮎に関してレポートを。
鮎はキュウリウオ科の魚でシシャモや一部でシシャモとして売られるキュウリウオやカラフトシシャモ、ワカサギも同じ仲間だ。秋に産卵した卵は数週間で孵化し、川の流れで海へ流れ出る。(※琵琶湖の鮎は海へ出ないので幼魚のような大きさしかない)幼魚の状態で海で過ごし翌年3月以降生まれた川を遡上する。
東京では多摩川で生まれた天然アユの幼魚がお台場の人口浜近くで群れを成しているのが発見され大騒ぎになったことがあった。現在の多摩川はCS放送の釣り番組制作者が良い釣果の鮎釣りを収録できない場合、「多摩川へ行けば確実に収録できる!」とまで言われるような鮎の豊富な川に成った。
その割には首都圏東京の人間はあまり鮎を食さないようだ。アユと言えばそのほとんどが養殖物で安い時期で小振りであれば五匹800円とかで売られており、ヌルヌルしている表面やかすかに匂うキュウリ臭さもあり、腹の皮の薄さもあってそのさばき方、レシピも殆ど知らず、食材としてはいまいちポピュラーではないようだ。
養殖鮎 全体に銀色で頭・顔が丸っこい。匂いはあまりしない。
毎年送って頂く球磨川の天然鮎。黄色い斑点、尖がった顔つき、キュウリのような強い匂いが特徴。時に30㎝を越える尺鮎に近いものも入っていることが在る。この年は23㎝程度で一番おいしい大きさだった。
氷詰めで送られてくる超新鮮な球磨川天然鮎。
鮎と言えば頭から尻尾に至るまで全体に塩をまぶされ、ダブリュ(=W)の形に串刺しされ、バリバリの塩の塊りのようになった塩焼き鮎しか知らない人がほとんどだろうと思う。日本古来の食文化が正しく伝わっていないのは少々情けない。
筆者は、球磨川流域の八代市に近い川端に在る数少ない鮎の専門店で、中学校時代の友人ご夫妻に招待されて鮎のフルコースをごちそうになったが、それ以外でも自分で出来る鮎の料理方法をいくつか知っている。
鮎の開き一夜干し、干し鮎の炊き込みご飯、アユの塩焼き・・辺りは年間に3度づつは食している。人吉から天然アユの良いものを頂いた時は二枚におろして天日干しをして親しい友人におすそ分けをする。
養殖のシステムは全然知らないが、球磨川における天然アユの漁法はいくつか知っている。そのほか球磨川程大きな鮎が獲物ではない中小河川での鮎漁法は色々な漁法が古来から存在する。
球磨川での漁法ベスト3は、刺し網、投網、友釣りだろう。前者2つはプロの技、後者は一般人太公望の漁法。いずれも川に入るためには球磨川漁協の許可証(有料)が必要だ。
刺し網漁に関しては、詳細に調査し球磨川漁協の重鎮たちにいろいろ教わった。
二番目の漁が投網だ。
秋口、盛んに投網をレポートした。さすが球磨川、一回投げて3匹掛けた名人が居た。
ここからは一般人が楽しむ友釣り。
東京の多摩川とは大きさが違いすぎる。
人口3万人の都市のど真ん中で大型の鮎が釣れる。
全国から鮎太公望が集まる人吉。釣具メーカーも竿のテストで合宿をするようだ。
一方で大雨時、球磨川が濁り増水した時にのみ行われる岸壁堤防沿いにへばりつく魚をすくう「濁り掬い漁法」非常に危険な漁法で、過去幾人も流され犠牲者が出ている。
筆者もさせてもらったが、最初の一回で2匹捕れたので、それでやめた。
これ以外にも、毛鉤釣り、テンカラ釣りの発展形で水中にもぐって岩のコケを食む鮎を餌の付いていない針で引っ掛ける漁法もある(=三重県などの小さな清流で伝統漁法として残っている様だが、球磨川流域でも子供たちが昔盛んに行っていたという話も聞いた。)更には落ち鮎狙いの転がし(球磨川ではガックリ掛けと呼ぶ)=一本述べ竿(=繋ぎ竿では抜けてしまう)でWの形に両方に開いた針で川の流れに直角に引いて落ち鮎を引っかける方法もある。これは筆者も中学生の頃八代市の前川堰で盛んにやった記憶があるが、瀬の浅い所でしかできない上、増水時には岸に戻れなくなる恐れがあるので命懸けでもある。
このように、鮎漁法は色々存在する。これらの殆どを球磨川で行っているので、鮎漁に関しては質的にも量的にも全国でも一番豊富なのが球磨川だろう。そこに鮎に関する資料館が無いのはどうしても納得いかない。人吉市にとっても数少ない観光ネタになると思うのだが?如何だろう。