本来このブログはヤマセミの生態を中心とした野鳥生態ブログであるにもかかわらず、我を忘れて、この7月に豪雨災害を受けた人吉市と球磨エリアの再生に向けていろいろ意見投稿をさせて頂いている。そこに住んで居ないからこそ見えてくる不条理な事も心を鬼にしながら投稿している。
これはあくまで人吉・球磨~八代など球磨川流域の人々の生活が一刻も早く復活・安定してこそ、ヤマセミはじめ多くの野鳥たちの日常の生活も一緒に早く保たれるという理由に他ならない。
昨日の新聞、今回のような球磨川災害が二度と起きないように地元の市議会から国や県へ申し入れ決議がなされ意見書が提出されるようだが、まず先にそこに住む人々の独自の改善策や改善努力をまず考えた上で申し入れるのが順序ではないだろうか?
抜本的治水対策に関して「二度と災害が起きないように・・・」と言うのは全て国や県だけの役割では無かろうと思うが如何だろう。とにかく住民は被害者で、災害から守る頼みは国や県しかないというように読み取れてしまうのは筆者がおかしいのだろうか?
自然災害の半分以上は立地条件含めそこに住む人間自身の安全担保行動に責が在るように思うが・・。それにどう考えても今回レベルの災害は既に「治水」などという人間の力で制御できるようなレベルでは無い事は皆も気が付いていると思う。
話を本題へ移そう。
人吉市およびその周辺から人間が消えたり減ったりするとどうなるか?過去の例を紐解くと間違いなく野鳥は激減するはずだ。 野鳥たちにとって天敵である猛禽類や軽快な四つ足の獣から防御の要である人間が人吉市内に生活していてこそ、人吉近辺にヤマセミ他色々な野鳥が生息していると思って間違いない。
人間の住まない大自然の奥の方には意外に野鳥は多くない。全国のあちこちにある「野鳥の森」に探鳥に行って、わんさか野鳥が居たためしがない。むしろそこから宿舎へ戻るとその周りの方が野鳥の影が濃かったと幾度もこのブログで投稿した。
何故そんなことが言えるのか?東日本大震災後、東電福島第1原発の事故で人間が一斉にいなくなった強制避難命令地区のその後の動物のバランスを見るが良い。野生化した豚・牛・鶏・ペットだった犬・猫の飢えた眼付きの恐ろしい事!そんな中、野鳥は種類も数も激減したとの報告がある。餌が減り、天敵(=野生化した動物たち)が急増したのがその原因の様だ。
つまり自然界の野鳥と言えども、現在においては人間の生活があってこその住みやすい環境なのだろう。球磨川では漁協の漁師さんたちの努力で稚鮎の放流が在ればこそ、ヤマセミにとっても他の野鳥にとっても餌が豊富なので人吉に居ついていると言ってよい。
で、昨日想定した人吉のイメージ・ランキングに関して、果たしてそのランキング上位が「今後の人吉・球磨の強み」に成り得るか否かをここで論じたい。いよいよ具体的な人吉球磨エリアの再生プランに係わってくる。
ここから先は非常に厳しい見方もするが是非とも腹を立てないでいただきたい。事を成すには正直でニュートラルなものの見方が必須なのだ。甘く考えたり、贔屓目で郷土を判断すると大失敗する。筆者は過去に幾度も大きな失敗を見てきている。
実際の認知ランキングは、本当にアンケート調査してみなければ判らないので、もしそういった調査が実施されたらその後また改めてこのブログで論ずるとして、今回はあくまで仮説による想定結果の説明だ。
➀ 人吉温泉
この『人吉温泉』は人吉市エリアで最大の「観光売りネタ」だろうと思う。しかし、同じ九州圏内には競合温泉がひしめき合っている。九州圏内で行きたい温泉ランキングの2019年版を見てみよう。
1位:黒川温泉(熊本県)
2位:湯布院温泉(大分県)
3位:嬉野温泉(佐賀県)
4位:別府温泉郷(大分県)
5位:雲仙温泉(長崎県)
6位:指宿温泉(鹿児島県)
7位:霧島温泉(鹿児島県)
8位:山鹿・平山温泉(熊本県)
9位:南阿蘇温泉郷(熊本県)
10位:阿蘇内牧温泉(熊本県)
ベスト10か所に熊本県から4か所も入っているのに残念ながら人吉温泉は入っていない。熊本県内にはほかにも日奈久温泉、湯ノ児温泉、天草(下田、松島、牛深)温泉群もある。要は競争相手が非常に多いのだ。残念ながら人吉市の自慢=目玉のトップが同業・競合他地域に差をつけられている現状をどのように認識し将来展望をそのように考えているのだろうか?
これがPR不足によるものなのか、訴求内容に問題があるのか・・分析と改善策が必要だ。過去において客が激減して潰れそうな温泉旅館の再生・再利用のプロジェクトに3か所参加したが、今現在みな旨く行っているので見習う手もある。
② SL人吉号(SL列車)
SL(=蒸気機関車)牽引の列車は現在日本国内に9か所存在する。
イ、大井川鉄道(※此処のSL3機のうち1機は八代市の故・小沢利満氏の寄贈による)
ロ、JR磐越西線・信越本線(新潟県・福島県)
ハ、秩父鉄道(埼玉県)
二、真岡鉄道(茨城県・栃木県)
ホ、JR山口線(山口県・島根県)
へ、JR肥薩線(熊本県)
ト、JR北陸本線(滋賀県)
チ、JR釧網本線(北海道)
リ、北海道(旭川~美瑛)
SLは殆どが近畿~北海道で運行しており山口号とSL人吉号だけが九州・中国地方。これを考えれば目玉・ネタとしては非常に大きい効果が期待できるが、今回のような豪雨洪水災害で肥薩線は数年間寸断。今後廃線にでもなれば消滅してしまう。しかしその乗車率と関連した人吉宿泊率が年間どの程度か、それが人吉市の観光マーケティング上どれだけの貢献をしているか精査が必要だろう。
③ アニメ夏目友人帳
2003年に人吉出身・在住の作家が描き始めたアニメ「夏目友人帳」だが、これに呼応する年齢層は限られている様だ。一番お金と時間に余裕があって人吉球磨にお金を落としてくれそうな団塊世代に受け入れられるか否か、課題は多い。
作者の緑川ゆき氏は人吉在住でそのTwitterのフォロワー(=定期的に閲覧するファン)が11万人以上いる。※ちなみに無名の筆者は1500人
この「夏目友人帳」は今後の展開の1つのポイントかも知れない。
④ 内村光良 (ウッチャンナンチャン)
ウッチャンナンチャンの内村氏は今はむしろ奥方の徳永有美さんがテレ朝ニュースステーションのメインキャスターをやっている事の方が知名度が高い。八代市の八代亜紀さんと同じパターンで、ほかの郷土の魅力や知名度を食ってしまいかねないので難しい所。ウッチャンが出身地だという事で人吉へ来る人はまず居まい。八代市に関しても八代亜紀のファンがそれが理由で八代市に来るという話は聞いた事が無い。
⑤ 球磨川下り
かって数年前に大正時代の球磨川下りの着色パンフレットを東京神田の古書街で手に入れ、人を介して球磨川下りの会社に進呈したが役に立ったのだろうか?
ただ川を下るのではなくアイディアが欲しい所だ。途中で投網や刺し網、釣りをする川魚漁師の仕事ぶりを観られるとか、水路で観られる水鳥の観察が出来るとか・・。運行距離も短くなり、ただ乗って酒を飲んで・・はもう今の時代には合わないだろう。天竜川、鬼怒川、保津川、長瀞下り、その他いろいろあるが、残念ながら両岸の景観に関して言えば今の球磨川下りは何処にも勝てない。乗船料金と満足度とのバランスも考えねばいけない。
⑥ 人吉のひな祭り
宮崎県の綾町から広がったという豪勢なひな祭りの傾向は一時期人吉の独自的な観光ネタだったが、今や八代市へ広がり熊本県内から全国へ「ひな祭り」の見直しが拡散してしまったので、更なるステップアップが必須だろう。それなりの改善策は筆者にもある。
⑦ 球磨焼酎(首都圏では米が原料の焼酎の存在を知らない人が殆ど)
筆者は酒も飲めないのに東京で蕎麦屋、飲み屋を調査したことがある。別に飲んだ訳では無く友人たちと食事などで行ってメニューを撮影してデータを撮っただけ。その結果芋焼酎と麦焼酎に比べ米焼酎の数のなんと少ない事か驚いた。殆ど置いて無いのだ。「米原料で焼酎が出来るのか?米から出来るのは清酒だろ?」と訊かれたことさえある。かのサントリーのダルマ=オールド・ウヰスキーの拡販作戦ではないが、マーケティング努力をどれくらいしているのだろう?
いつか新聞記事で観たが、蒲島知事さんもくまモンを使って熊本産のワインをフランスにPRするなら半被を着て球磨焼酎を国内にPRする方が先ではないのか?
⑧ 鮎釣り、鮎料理
鮎に関しては全国的にも各地で天然アユを名産PRしている。特に東京で認識されているのが四万十川の鮎と滋賀県琵琶湖の小鮎だ。特に今年はコロナウイルス禍で観光客が減り、京都の料亭その他での小鮎の需要が減り、東京へ安い価格で琵琶湖の天然アユが入荷流通している。海へ出ない琵琶湖の鮎は成魚でも球磨川鮎の稚鮎程度だが、生意気に色形と匂い味は一人前だ。このあたりは球磨川鮎の『売り方』『料理方法』に工夫が足りないと以前から思っている。ある意味宝の持ち腐れに近い。このあたりの改善策は筆者にも色々ある。
琵琶湖の天然小鮎 これで380円也(※三鷹地元スーパー)
京都の粟田山荘で天然小鮎の網焼き、高価なコースの一品。
赤坂有織の鮎粽寿司(※皇室園遊会ご用達)
これ以降はまた次回以降に・・・。
⑨ 鰻の上村
⑩ 川上哲治
番外 洪水災害(今年来年あたりにアンケートするとトップに来る可能性が高い)
しばらくまたレポートをまとめてから投稿したい。