2020年9月13日日曜日

緊急投稿!球磨川沿いの肥薩線の復旧を考える。その12.  Consider restoration of the Hisatsu Line along the Kuma River. Vol 12.

  8月31日、この球磨川沿いの肥薩線の復旧シリーズ#4で取り上げた四国高知県の四万十川。球磨川より多くの市町村(3市7町1村)を流れる割には・・・、なおかつ2つ以上のダムがある割には・・・、更には国交省の定める水質日本一のレベルには無いにもかかわらず、国内の河川においては抜群に強力な「清流・四万十川」のブランド力を持っていると。

 市町村など行政の枠を越えた「四万十川ブランド」の確立とそのマーケティング戦略でまとまっており、球磨川流域の商売よりはるかに勝っている・・というより球磨川流域の商売が下手だと述べた。 

 球磨川流域の市町村、自治体の方でこれに感情的にではなく詳しいデータと理由を示しつつ反論できるところがあるだろうか?

シリーズ#4=https://yamasemiweb.blogspot.com/2020/08/4consider-restoration-of-hisatsu-line.html

 この事実は1960年頃子供時代の八代市と、2010年以降ヤマセミ生態研究の人吉市周辺で球磨川の恩恵を得て数十年の筆者、もっと長く接しておられる八代市立太田郷小学校、八代二中の大先輩=珈琲店ミックの出水晃マスター、更にはより長くその恵みに接し続けてきている球磨川漁協の漁師の皆さんにとって喉に刺さった骨のような感じで昔からずーっと歯がゆかった事なのだ。

 球磨川河口エリアで真冬に収穫される「青海苔」は、ブランド品の瓶の中で粉々に成った「四万十川の青海苔」などより遥かにコクがあって香りが良く、美味しいとあの伝説のカヌイスト野田知佑氏も言っていたという。(出水 晃氏 談)

いつもミックのマスターから贈られてくる青海苔。今年は採れなかったそうだ。 

 筆者も豊作の年に一度神田の寿司屋にこれを持て行って試食させたら、そのおいしさ、味の濃さに腰を抜かしていた。

 もっとも、球磨川の青海苔は毎年採れるとは限らず、採れても地元での流通もおぼつかない量しかないので、実質的には戦略商品にはできない「幻の青海苔」なのだが。

写真集 「熊本県 八代 Digital Photographs of YATSUSHIRO」 
掲載 2004年 筆者撮影 八代市商政観光課 発行

 

 前置きが長いのは筆者の大きな欠点なのだが、要は言いたいことは「残念なことに球磨川流域の人々の殆どは球磨川の素晴らしさを全然知らない。理解できていない。」という事だ。

 JR九州が昭和30年代から走っていた八代市ー人吉市を結ぶ「準急くまがわ(※1)」の子孫の特急に、何故わざわざ長ったらしい「特急かわせみやませみ」の名前を付けたか、お判りだろうか?

※1.門司港発人吉行きの時代もあった。=http://www.uraken.net/rail/pastr/kiha58kumagawa.html

懐かしの鉄道車両&風景・・のサイトより拝借。鉄道ファン必見のサイト!

2005年頃筆者撮影(八代駅)

 JR九州がその長ったらしい「特急かわせみやませみ号」の命名を行った理由は、一つは八代市の「市の鳥」がカワセミであること。そうして運行開始の年に人吉市の第二「市の鳥」にヤマセミが制定される情報を得ていたからに他ならない。これほど入念な調査と下準備をするJR九州の苦労を、この二つの自治体は知っていただろうか?

 国鉄時代から特急には速く飛ぶ鳥の名が多かった。特急ツバメ、特急ハヤブサ、特急はくたか・・・。速いイメージが速い特急にダブって付けられたのだ。特急すずめ、特急ダルマインコ、特急チャボ・・なんてのは無いのだ。小さいがカワセミは超素早いし、ヤマセミも川に野鳥としては相当に速い。

 理由の二つ目は、この川に棲む名の通った野鳥二種を同時に目撃できる場所が、全国でこの新しい特急列車の走る球磨川沿線でしかない事を上げている。筆者も10年間に人吉の球磨川で10回ほど、八代エリアでたった1回だがこのカワセミとヤマセミの同居している場面を撮影できている。単に目視だけならその3倍はある。

https://yamasemiweb.blogspot.com/2017/01/you-can-see-crested-kingfisher-and.html

写真集 「清流川辺川と球磨川の山翡翠」 収録

ミニ写真集 「肥薩線に沿った球磨川流域のやませみとかわせみ」 収録

写真集 「人吉市の山翡翠」 収録

 全国的に稀有で貴重な自然を持つ球磨川流域で生きている人々に筆者はチコちゃんに代わって言いたい!「ボーッと生きてんじゃねーよ!」

 ただそこに在るから気が付かなかった、生まれた時からそれがあるからあまり気にしたことが無かった。これは非常に良く判る。あのハワイのダイアモンドヘッドを背景に並んで記念撮影するのは観光客だけ。ホノルルに生まれ住んでいる人同志はそういう事をしない。インスタ映えするから・・と赤いハイビスカスを顔の横に近づけて記念撮影はしない。

 それと一緒だ。在って当たり前、太陽が東から上るのと一緒。

 でも、人吉市の方々も、八代市の方々もこの球磨川で結ばれている事を今後の肥薩線復旧しいては観光活性化に有効利用できることに残念ながら全く気が付いていない。

 お互い峡谷で離れた遠い存在の川の上流と下流の違い、昔の相良藩と肥後藩の違い、周囲から孤立した文化観光・焼酎産業都市と新幹線の停まる県下一の重工業都市の違い、人口3万人と15万人の違い・・。住んでいる人たちはお互い「同じ球磨川で結ばれていて地図では近いのにお互いまったく縁がない所」だと思っているだろう。

 しかし、球磨川漁協の漁師さんたちをご覧?下流で採集した稚鮎を車の生簀に乗せて人吉エリアまで皆で運び放流しているのだ。大変手間のかかる事だ。堰やダムの魚道に工夫を重ね、長年球磨川伝統のアユ漁の基礎を上流と下流を行き来しながら支え続けている。この素晴らしさを球磨川上流・下流域の小中学校で子供たちに教えているだろうか?

 鮎に関して釣りから漁法から伝統的で幅白い実績を持つ漁協が存在し、更には鮎屋三代、鮎の塩焼き弁当、鮎寿司・・と鮎食材の弁当が豊富な肥薩線なのに、宿泊施設や飲食店で出す鮎料理の何と貧弱なバリエーション。工夫と努力が感じられないと思うのは筆者だけだろうか?

 これだけの食材や伝統漁法を生み出す鮎の宝庫・球磨川流域に、鮎の資料館はおろか鮎料理専門店もない現実。全国此処だけにしかない鮎に関する施設・ミュージアム、何故造ろうとしないのだろう?鮎は塩焼きだけで食べるモノではないのだ、此のあたりはまた別の機会にじっくりとご紹介。

 球磨川をただ景色を眺めたり、泳いだり、時たま釣りをしたりして、大雨・台風シーズンに緊張させられるだけの川だと思っていやしないだろうか?

 筆者は思った。この球磨川が結ぶ人吉市と八代市が「球磨川」を主人公にして双方が活性化する術を立案実行できる人はどっかにいないもんだろうか?アイディアレベルは筆者にも沢山ある。なんでんかんでん雨後の筍の様に林立し始めたクラウドファンディングに頼るのではなく、しっかりと根の張った予算獲得で少なくとも3~5年タームで実施できる活性化を今この球磨川流域の自治体は必要としているのではないだろうか?

 ほかに何か良い具体案でもあろうか?あるなら是非ともお聞きしたい。

 球磨川サミットでも、球磨川活性化委員会でも名前は何でも良いが、球磨川を基にした経済発展計画の立案と実施をぜひ進めて欲しいと思う。ただ地方メディアにありがちな、会や組織の立ち上げだけ「良い事をしている」と持ち上げ期待を込めてにぎにぎしく報道しても、後の結果・成果に関して何の報道もない、なしのつぶてのようなことにはなってほしくない。

 八代市は1960年頃と平成の大合併の頃を比べれば重工業の存在する市部の人口はほとんど変わらない。人吉市は徐々に減りつつある。お互い球磨川で結ばれている事をうまく利用して相互相乗効果を図ろうと思った事など無いのだろうが、このブログではそのアイディアのいくつかを出して行ってみたいと思っている。

 広告代理店勤務時代の地域活性化や観光活性化とは違い、両市の横丁や道路、ランドマークまですっかりこの団塊爺の頭に入っているので、提案なども相当具体的になるだろう。乞うご期待だ。