Eメールを頂いたり、このサイトの問い合わせコーナーから頂いたご意見は非常に励みになったと同時にパソコン熟練者達(昔はパソコンオタクと呼んだ)からデジタルハラスメント?を受けている意外な現状が判って勉強になったし、問題提起的なネタも頂いた。感謝に堪えない。さほどパソコンに詳しくない者同士の妙な連帯感が芽生えたような気もする。
筆者も長年の友人にプロ級のパソコン使いが居るので、今まで彼の言うまま頼ってきたのが実情。しかしあまり頻繁に頼ってしまい、最近はうざいと思われてしまったようだ。上野の不忍池に居る餌付けされた野鳥たちのように、知恵や餌ををくれる相手が居なくなった途端餓死するのではないだろうかという危機感を持っている。今後は多少は自分で考え、あるいは別を頼る選択肢も含めて色々考えねばならないのかもしれない。
オーディオや鉄道模型、はたまたヤマセミにのめり込むこの凝り性な性格からすると、間違いなくパソコン領域に一線を越えて入り込むと、決して中途半端では終わらないので、我が身を亡ぼす事は確実。今後も今までの一線は越えない様にしながら、接していこうと思う。まだほかにやることが山積みの前期高齢者に残された時間はそう多くないのだ!もう既に通信インフラもパソコンのCPUの性能もコストパフォーマンスを考えた時、体感速度を変える程の変化は期待できないので、今のところ現状以上のハードに関するグレードアップは必要ないだろうと思っている。
自宅でのパソコン操作に関しては、既に10年ほど前から画像処理中心のデスクワーク、大型催事関係の関連書類作成、印刷物の原稿作成(入稿データ作成直前まで)等がほとんど。
ヤマセミ中心に野鳥撮影を10年以上行っているため、撮影した画像データが3TB程存在する。
筆者のパソコンは殆どがその為のモノと言って良い。
今日のブログは、そういう状況下でパソコンを使う筆者が、今まで大手広告代理店勤務で目にしたり聴いたパソコンにまつわる非常に面白い、笑える話をご紹介しようと思う。
筆者は社会人になって1度は倒産、後の2度は先方要請で3回ほど転職をし計4か所企業に勤めた。コンピューターやインターネットがこの世に普及し、広告業界に入ってきたのは1998年の長野オリンピックの頃だから、今回の笑い話は最後に25年間勤めた大手広告代理店での話となる訳だ。
まずは最初の話。
デジカメが普及し始めの頃で、OLYMPUSのC-900という130万画素の3倍ズームを使って
長野オリンピック関係や当時全日本スキー連盟の専門委員を拝命していた関係上FISのワールドカップ、FISの国際会議などでたくさんのカットを撮影した。ちょうどそのころの話。筆者は自宅でIBMのデスクトップ・Aptivaシリーズを使用していたのだが、既にその頃フィルムカメラからデジタルカメラへ移行中なのが写真業界だった。ちょうどサラリマン川柳で「デジカメの餌は何かと孫に訊き」などという秀作が賞を獲った頃だ。
ずいぶん長い事愛用したC-900Z、この後C-990Zに買い替えて使用した。
ある日、仲の良い友人もデジカメにはまっていると聞いて、銀座でデジカメ談義をしたのだった。そうしてその友人が撮った写真を見せるというのでカバンから取り出したのがラップトップ・コンピュータと重たそうな切手帳。「デジカメってフィルムカメラよりランニングコストが安いっていうけれど、全然安くないんだよなー、結構大変なんだよ!」と言いながら開いた切手帳には、ずっしりとスマートメディアが切手のように刺さっているではないか。そうしてスマートメディアにはいつ何処で撮影したか細かく書いてあった。要はスマートメディアに取り込んだ画像をパソコンに移すことを全く知らなかったというのだ。
彼が言うには、フィルムはかさ張るし、いちいちDPEに出さなきゃいけないから面倒くさかったのだが、デジカメになって面倒くささはなくなったが、お金は掛かるんだよなー、もう少し便利になると思ったのだが、それ程でもないなー・・・だそうだ。
スマートメディアの画像を彼のラップトップに移してあげて、空になったメディアに再び一杯画像を撮れることを知った時の彼のショック顔がいまだに脳裏に刻まれている。
こういう切手帳に、切手の代わりにスマートメディアを沢山入れていたのだ。
これは最近のモノで、当時はせいぜい数メガあればいい方だった。
2番目の話。
大手広告代理店では一番最初に日立だったかNECだったかのラップトップパソコンが全社員に配布された。そうして、人事通達など今まで連絡文書で回ってきたものが一切無くなって、パソコン上で「全社必見!」というサイトを必ず見る決まりになった。この全社必見は未読の項目は赤文字で表示され、閲覧した連絡文書は文字が反転して黒くなるようになっていた。
これはどこの会社でもその頃一斉になされた事らしいので、これをご覧の方々も同じような経験をお持ちだろうと推察する。しかし、この「全社必見」というサイトは殆どの通達が赤いままで、見た証拠に文字が反転して黒くなっている者は殆んどいなかった。どこもたぶん似たようなものだろう。
特に管理職はこの全社必見を見ておかないと会議などで赤っ恥をかかないとも限らず必死になってチェックするのが常だった。そうして日も暮れてオフィス街がビルの明かりで都会らしさを醸し出す頃、窓を背負った管理職席で皆の方を向いて忙しそうにマウスを動かす管理職達。
しかし、窓にはその管理職の後ろ姿と共に開いているパソコンの液晶画面が綺麗に映っているのだった。そうしてその全ての画面にトランプが並んでいる事も多かったのだ。これが全社員にパソコンという物が配られた初期の頃のオフィス風景だ。
大手広告代理店の窓際の管理職デスクのパソコンは一時みなこの画面だったりしたのだ。
3番目のお話。
これは聞いた話。全社員にパソコンが配られてしばらくした時、フロアの金魚鉢(=ガラス張りの役員室)の中にいる役員が不思議そうな顔をして「おーい!ハナちゃん、いつになったらプリントできるんだこいつは!」と切れそうになって秘書のハナちゃんを呼んだという。
才女の誉れ高いハナちゃんは金魚鉢に入って役員のノートパソコンを見て、一瞬にして全てを理解した。役員はノートパソコンの液晶画面の蓋と本体の間にプリント用紙を挟んで蓋を閉じ、時々開けては用紙に液晶画面の文書が印刷されていないのを怒っているのだった。
才女の花ちゃんは此処で役員のプライドを傷付けてはいけないと、とっさの判断でこう言ったそうだ。「役員!これじゃダメでしょ?これじゃ文字がみな逆さまにプリントされちゃいます。役員は特別にあの外の大きなプリンターから出るようにしてありますから、プリントアウトしたい時にはすべて私にお申し付けくださいね?」
役員は、そうか!という顔をしてニッコリ笑って「すまないね?」と言ったとか。