筆者が目指している「野鳥の生態写真」とはいったいどういうモノなのか、数名の方から問い合わせを頂いたので、具体的な例をご紹介しようと思う。
野鳥の生態写真がどういうモノかといえば、ただ木の枝に留まっていたり、水辺で佇んでいたり、泳いでいる状態の撮影しやすい状態で、その写真を観た人がその野鳥が今どういう状態にあるのか?何をしているのかが判らないような場面の画像ではない事を指している。
生態写真というのは野鳥が採餌していたり、求愛給餌をしていたり、交尾をしていたり、争っていたり・・・何か意味や理由のある行動をしていて、その原因が理解・想像できるようなシーンを意味している。
例えば昨日のエトピリカの例でいえば道東根室沖の海に浮かんでいるエトピリカと、同じ浮かんでいても、口にイワシを数匹咥えている写真との違いと解釈して頂ければいいと思う。
一言で言えば、観る写真ではなく、記録する証拠写真といった方が良いかもしれない。しかし、佐藤秀明さんからいろいろ学びつつ、写真としての野鳥をどう撮るか・・今猛烈に勉強中だ。こちらは記録するだけと異なって、別の方向に奥が非常に深い。
しかし、そうは言っても被写体として出遭えなければ撮れない野鳥だが、その野鳥自体にBurderさんたちが自慢する珍しいだの、日本には、あるいは今の季節はいないだのの「優劣」が無いので、いつでも撮れる気もする。被写体はカラスでもスズメでも良いのだから。
話は戻って今日は幾つかそういった生態画像の実例をご紹介してみたい。
奥日光で遭遇したフクロウの採餌直後の食事、ネズミのような獲物を咥えている。採餌シーンは別に連写で撮れている。
こちらの存在に気が付いて睨みつけられた時のショット、野生の凄みを感じた瞬間!
右からキビタキのオスが飛んできて左の茶色いメスへアピール開始!
いわゆるディスプレー(=求愛)の始まり・・・。
右のメスに向かって一生懸命ポーズをとっているオス
普通のキビタキの枝留まりの写真(先日都内緑地での撮影)とは違うのがお分かりだろう。
架線上でカラスが寄って来たのを見て、真上を観上げてシカトするヤマセミ
カワラヒワとウソの小群
カワラヒワとマヒワの混成小群でアキニレの実を啄ばむ
こういった食事・採餌、他の野鳥との関係が如実に表れた場面の画像が「生態画像」といわれているモノ。只其処に居るだけではない学術的に意味のある証拠画像であることが多い。
綺麗な鳥類図鑑のような写真を撮りたい方とはずいぶん遠く離れたジャンルなのだ。とにかく観察に観察を重ねて撮影をする。たとえ目の前を飛び交っていてもシャッターを押すまで相当の間観察をする。
飛ぶパターンや、止まる所、クセ、間隔などを読み切って撮影を開始するのだ。
数名の仲間とワイワイ言いながら「出た!」とか言って撮影するのとはずいぶん違うと思う。基本的に一人で行動するのが日常だ。