筆者は野鳥撮影に関して、特にヤマセミのその生態が面白くていまだにのめり込んでいるのだが、ただ単に野鳥を撮りたい、まず手頃の綺麗な被写体として、そう大掛かりな旅行をしなくても近所で毎日撮影出来るカワセミを撮りたい場合のポイントに限って話を進めようと思う。
その場合においても、一つ大きな2方向の分かれ道がある。それは留まっているカワセミを撮りたいのか?飛んでいるカワセミを撮りたいか?このどちらを目指すかによって選ぶカメラ機材も違えば、その撮影の練習方法も違う。
筆者は野鳥撮影関して一つの理念を持っている。それは「野鳥も航空機も飛んでいる時こそ美しい!」という事だ。勿論野鳥も航空機も止まっていても充分カッコ良いし綺麗だが、この双方はもともと空を飛ぶ機能を持っているモノなので、飛んでいる時こそ美しいと思うのだ。
残念ながら航空機はまだよいが、野鳥は大型の猛禽類の滑空状態以外は高速て羽ばたいているので、レンズを通したカメラの機能を借りなければその飛翔中のフォルムの綺麗さは理解できない。肉眼では不可能なそのフォルムの瞬間の美しさが好きなので、筆者は飛翔中の野鳥に魅かれるというのが正直な心境だ。
では、留まっているカワセミはどうなのだという問いに答えよう。筆者的には、留まっているカワセミであればその時々の綺麗な花越しだったり、背景に親子連れのボケた姿があったり、はたまた野鳥撮影愛好家が目の前のカワセミに気が付かない・・・と言ったちょっと意地悪なシーンを撮影したり、それなりに何らかのストーリーがある場面の撮影をしたいと思う。ただ居ました!撮りました!という事で満足できない欲張りな性格なので、単なる鳥類図鑑のようなカワセミの写真は撮りたくないと思っている。ただ、これはあくまで個人的な好みなので好き好きで良いのだと思う、何が正しくて何が間違っているなどという事は全く無い。
筆者も、野鳥の写真を撮り始めた頭初の頃は、いるだけで満足!であったのは否めないが、その期間はホンの2週間ほどだったろうか。最初にカワセミを観た2006年熊本出張中の坪井川の堤防上に居る姿を撮影したのが始まりだったと思う。その際は光など無視してピントが合うだけで充分だった。飛ぶ姿などとてもじゃないが撮れないと思い込んでいた。
この講座の最初の方でご紹介した、古い自転車のキーッというブレーキ音に思わず腰が浮きキョロキョロしたのもしっかりと経験している。
今日の画像はそういう色々なシチュエーションでのカワセミの姿をご紹介。自分としてはどういう姿の撮影をしたいかご覧になって頂きメニューとして観ていただければ嬉しい。
ただ単にカワセミだけ撮れて喜んでいた2006年の画像。熊本市内。
同上、坪井川での撮影。OLYMPUS E3 フォーサーズ・サイズ・デジタル一眼での撮影。300mmレンズだから600mm換算に等しい。
しかし、11年経って今やコンパクトデジカメでも留まっているカワセミ程度ならこのレベルまで撮れるように成った。CANON・PowerShot SX710SH AUTOで撮影。夕方日没後。
手前に菜の花の黄色を入れてのカワセミ撮影。
ちょうどタイミングよく桜の花に留まってくれたカワセミ。
ただ留まっているのではなく、お花見をした瞬間シャッターを切る。
生態の面白さにハマってくると、脱糞した瞬間とか・・・。
ペリット(消化しきれない鱗や骨を丸めたもの)を吐き出す瞬間や、
蟹のような獲物を加えた場面で、なおかつ野鳥撮影者が向こうからくる場面(撮影者は目の前のカワセミに気が付いていない)の面白さを狙ってシャッターを切る。
留まっているカワセミを狙うだけでもっこれだけ面白いバリエーションで楽しめる。さぁ、自分はどの路線を狙おうか?考えるだけでも楽しい。