球磨川の獲物はたぶん全国的に見ても一番大きいので、北海道や他の山奥などでは魚が小さいため一羽の幼鳥に対して数回の給餌を行わねばならないはずだ。その点から見ても球磨川や川辺川をはじめとする球磨川支流はヤマセミの生育に最高の環境と言って良い。
基本的に幼鳥は己の餌の順番を心得ていて、二度続けて給餌を受けたり、他の幼鳥の餌を横取りしたりしない。親鳥が餌を咥えて飛んでくると、一度は皆が集まり欲しそうな態度を示すが、親も判っていてきちんと順番通りに給餌している。順番が違う幼鳥が目の前に来ても決して親は給餌しない。
ただ今回、観察中に給餌のインターバルが長くて腹をすかせた幼鳥が他の幼鳥の貰ったばかりの餌に食らいつき、しばらく横取りしようと綱引きするシーンを撮影した。時にはこのように生存競争の厳しさを感じさせる生態シーンを垣間見ることが有る。この記録はまた別の機会にご紹介。
3年前の記録画像では、先に生まれた年長の幼鳥が最後に巣立った幼い幼鳥に餌を給餌するシーンが撮影されている。この辺りは感動を覚えたものだ。
今回は、親鳥が餌を咥えて幼鳥の集まっている集合場所に到着するシーンや、餌を待っていた幼鳥達のパニくる様子はカット。順番が来た幼鳥が慌てながら親のいる岩に到着したシーンからご紹介。
幼鳥が慌てて親鳥の待つ岩まで飛んで来て・・・。
慌てる為、足が滑り顎を打ってしまった。
それでもよじ登り、餌を受ける姿勢で腰を低くして給餌を受けた。
親は必ず幼鳥がしっかり咥えホールドしたか否かを確認するようだ。
親鳥は確実に幼鳥が餌を咥えた事を確認すると、やっと餌を離す。
給餌が終わると親鳥は必ずくちばしの周りの魚のうろこやヌメリを綺麗にするため数回のお清めダイブを行う。こういう生態は数年同じことを観察してやっとファインダーの中でヤマセミたちが何を行っているか判る。最初の時はもちろん判らない。大体過去においてこういう事を解説した文献が何処にも見当たらないのだ。