2020年9月18日金曜日

霞ヶ浦の浮島・湿地でオオセッカに遭遇。 I encountered the Japanese Swamp Warbler on wetlands of the the Ukishima at Lake Kasumigaura.

  一週間ほど前、霞ヶ浦の地所の樹木伐採・下枝打ち・下草刈りに行ったついでに江戸崎・浮島の葦原野鳥のレポートを掲載した。コジュリン、セッカの二種だったが、今日は同じ葦原で飛び回っていたオオセッカ。

 オオセッカは意外に繁殖エリアが限られている野鳥なので、セッカと同じフィールドで混在するのもあまり他ではない事だろうと思う。しかし、このセッカとオオセッカ、名前は似ているが単なる同じ種族の大小では無いという事だ。オオセッカはむしろセンニュウ科のシマセンニュウ(北海道で遭遇)に近い野鳥だそうだ。

 道東根室の春国岱に在るネイチャーセンターのすぐそばで繁殖中のシマセンニュウをじっくり観察したが、オオヨシキリに似ていて今回撮影しながらその時を思い出していた。


 細かい特徴には触れないが、撮影中セッカと見違えないかと言う疑問は、撮影された画像を視て現場での「瞬時に判る違い」をご紹介。一番特徴的なのはセッカがヒッヒッヒッと風上に向かってホバリング上昇し、メチャクチャなスピードでジュンジュンジュンと降下してくるのに対し、オオセッカはあまり高く飛び上がらず、急降下して葦原に消えるように降りるという点。

 双方とも二本の葦の茎を大股で挟んで留まったりするが、色の濃い大柄がオオセッカ、色白でキツネ目のように見える顔つきがセッカ・・と思っていればほぼ間違いないと思う。

 特にセッカは自分で好みの留まり木が数か所決まっており、空中で見失っていてもその留まり木辺りを見張っていれば同じ場所に戻ってくるので結構便利だ。オオセッカに関しては今回其処まで観察出来ていない。

 所蔵の鳥類原色大図説(黒田長禮著/小林重三画 全3巻・オリジナル本)のオオセッカ(おほせっかと表記)セッカ、の図版ページを見てもその差が良く判る。いずれも眼上の眉班が明示されているが現場撮影画像では判別しがたいようだ。個体差が大きいのかもしれない。

 しかし日本三大鳥類図鑑を見てもこの葦原に居る種の野鳥は皆似通っていて面倒くさい。

鳥類原色大図説(黒田長禮著/小林重三画 全3巻)

おほせっか(オオセッカ)の部分を判り易く。鳥類原色大図説(黒田長禮著/小林重三画 全3巻)

セッカはやはり小さい野鳥であることが判る。鳥類原色大図説(黒田長禮著/小林重三画 全3巻)

 一番右の3冊が鳥類原色大図説(黒田長禮著/小林重三画 全3巻・オリジナル本)これは小林重三の原画展(旧・町田市立美術館・2015年2月)を観て感動して即様神田の古本屋街やネットを探しまくって手に入れたもので非売品だが、近年復刻版も出ている。野鳥図鑑が光の加減で色や模様が判りにくくなる為写真ではなくイラストでなければいけない理由が非常に良く判る。昭和8年発行の図鑑にしては非常に保存状況も良く、黒田氏の印鑑まで押してあって「非賣品」表記に驚かされた。

 ついでに昭和27年(筆者4歳)発行の清棲幸保著の日本鳥類大図鑑(全3巻)のオオセッカのページも覗いてみたらセッカと並んでイラストで紹介されていた。
このイラストはセッカとオオセッカの違いが判り易い。清棲幸保著/日本鳥類大図鑑

日本三大鳥類図鑑のもう一つ。清棲幸保著/日本鳥類大図鑑

図鑑に一番近い画像。

セッカと異なって尾羽に白い部分が無い。




セッカに比べて茶色系の色が強いのが見て取れる。