筆者は昔から鮎が非常に好きで、いろいろな食べ方でその味を楽しんでいる。ほとんどの方は、あの塩まみれでW=ダブリュの形に串刺しされた塩焼きしか知らないだろうと思う。
鮎という魚は全国で多少の差はあっても基本的に資源保護のため漁期が決まっていて、6月1日から9月~10月が友釣りなど一般的な遊漁期間になっている所が多い。それ以外は禁漁期間だが、落ち鮎狙いの転がし(より戻しの無い針を10本ほど付けて延べ竿で川を引いて引っかける引っ掛け漁など⇒がっくりがけ)は11月頃まで可能なエリアが多いようだ。
7月中旬の今は、天然鮎も20㎝ほどになり、一番美味しいサイズになって居よう。
アユの生産高の全国ランキング、熊本県が入ってない。産地偽装アサリでケチをつけたので魚介類ジャンルではデータが出ないのだろうか?
養殖だろうが天然だろうが、アユは鮎。料理になってしまえば同じ。ある意味球磨川の鮎だって幼魚・稚鮎を上流まで持って行って放流した半養殖みたいなものだ。
正直、天然の鮎と養殖(いろいろな形が存在する)の鮎での味の差が判る人間はそう居ない。例えば塩焼きで胴抜き(頭を持って一気に背骨を引き抜く食べ方)が出来るのは天然鮎だけだとか、それも知っている人はごくわずかだ。
筆者がもう14年間ヤマセミの生態観察、撮影で通っている熊本県の人吉市界隈は、本来日本でも有数の大型天然鮎(尺鮎)を産する鮎の名産地だ。熊本県内は菊池川はじめ多数の河川が存在し、アユ漁は非常に盛んでデータ上生産高が低い訳がないのだが?
しかし、過去14年間この人吉市で鮎の美味しい食べ方、料理に出遭ったことがない。つい数か月前、老舗旅館で初めて出たアユ料理くらいなものだろうか。
日本の名・小旅館BEST100 に入る老舗旅館での料理例から
このほか、毎年人吉市から送られてくる天然鮎の大型のモノに関しては、もちろん塩焼きにもするが、背開き二枚開きにして、天日干しし、焼いて食べるともう最高の味になる。
球磨川産の天然鮎は肉厚で非常に美味しい。しかし人吉市でこれを売っているのを観たことが無いし、料理で出された記憶は全くない。朝食に鯵の開きを出すくらいなら鮎の開きを出せばいいと思う。あるいは鯵とどちらにするか選べるようにするとか・・。
これ以外、コロナ過のお陰で今まで東京には入ってこなかった琵琶湖の天然鮎や岐阜長良川の天然物が入ってくるようになった。
岐阜の郡上八幡産の天然鮎
琵琶湖の稚鮎、5月頃から入ってくる
6~7月になるといろいろな所から天然鮎が入っている。
鮎で売り出している観光地は鮎の市場調査はしないのだろうか?コロナ過で岐阜~琵琶湖の天然鮎が東京にも出回る様になり、都心の飲食業界のメニューが随分変わった。
これら小振りの天然鮎は美味しいので、鮎寿司にする。大きなものは押し寿司に、稚鮎や琵琶湖物は粽寿司にする。自分で出来る、サヨリを開ければほとんど手間は同じだ。
小さめの包丁の良く切れる奴が必要。
川魚だが時には昆布締めも
大型は押し寿司に
酢飯は砂糖を多めにするのがコツ
季節商品の鮎の押し寿司、京都から奈良への近鉄駅で買える。
少し中型のものは握りにする
頭まで食べる人は少ない、残してかまわない。
小型のものは粽寿司にする。
イグサで巻くが、イグサの名産地熊本で粽寿司が無いのは恥ずかしくないか?
東京で素人だって創れるのに・・・。
此の粽寿司、昔「福槌」今「有職」皇居園遊会なので出される皇室御用達だ。京都の祇園祭の際にいづ重でも季節料理として出る。
こういった食文化はやはり江戸や京都でないと発達しないのだろうか?鮎だけ獲れても食材を料理に出来ない悲しさ。観光の三大要素の一つ「食」文化を極めねば客など来る訳もない。