しかし、もう少しカワセミの動きを観察して、その生態を学習すれば、更に多くの撮影チャンスを得られるだろうに・・・といつも思う。
基本的に野鳥というものは上からの脅威に非常に敏感だ。猛禽類やカラスなどの悪食野鳥類の襲撃に常にストレスを感じながら生きていると言っても過言ではないと思う。更に野鳥の先祖は恐竜だ。つまり「動くモノに即反応する」原則をもってすれば、カワセミの生息する水面近くより高い土手の上をカメラを提げてあちらこちらと追い回しては撮影するチャンスを自ら放棄しているに等しい。カマセミはちゃんと人間たちの動きを見ている。
たとえ、土手の上からでも定点観測の要領で「待つ努力」をする事が大切だ。
河原をあちこち重たいカメラを抱えて走り回っても、一か所に撮影ポイントを決めて動かない方が実際はるかに撮影チャンスは多いのだ。
勿論、日頃からそのエリアを縄張りとしているカワセミ君が何処で採餌し、何処を好んで羽休めしているかを予め事前観察しなければポイントは見つけられまい。
休みだから、さあカワセミを撮りに行くぞ!さて何処にいるだろう?ではまず良い成果は得られまい。よく高齢者たちが川中に入り川底の石と人工の止まり木で撮影ポイントを造って演出しているのにも出くわす。
しかし野鳥の自然の生態を観察し記録撮影する筆者と、これら老人カワセミ撮影クラブの方向性は、その理念を大きく異にしているので此処では触れない。
今回のカワセミは人吉の球磨川本流と武蔵野の野川でのカワセミだが、双方に大した差異は無いようだ。ただ、球磨川のカワセミを観る人間はまず居ないのに対し、野川のそれは土日ともなれば5~6名のカメラマンを引き連れて一日中サービスをしているようだ。勿論人に慣れた野川のカワセミと違って、完全野生のピリピリとした、球磨川のカワセミを撮影する方がはるかに難しいのは当然だ。
川幅5mも無い野川のカワセミ
こんな尻尾の方を咥えても落とさない力は凄いと思う。
此処からは熊本の球磨川本流のカワセミ
心なしか球磨川のカワセミの方が飛翔スピードは速い様な気がする。