ヤマセミに出遭っている回数においては間違いなく世界で一番・ギネス物・・、という人吉の名医・辻正彦医師と球磨川土手をいつものように一緒に少し歩いて別れた。そうして車に戻る途中、コムラサキというこれまたなかなか出逢えない珍しい綺麗な蝶が乱舞するのを撮影した後、何気なく200m離れた対岸を観た瞬間!「あれは何だ?」と思わず声を上げた。
タチヤナギの樹に群がるコムラサキ(※ラーメン屋の名前ではない)
灰色っぽい白のコサギよりは少し小さめの主翼の長い野鳥が、球磨川右岸の高い堤防沿いをヒラヒラ落ち着きなく飛んでいるのが視えたのだ。
ヤマセミを観察したおかげで遠目が効くように成っているので、間違いなく普段人吉の球磨川沿いでは見かけない野鳥だという事は瞬時に判った。
一瞬!ハイイロチュウヒのオスのような動きに「まさか!」と思いつつ、赤い国道バイパスの橋を渡って、車を右岸へ廻した。
土手沿いの駐車スペースに車を停め、50-500Zoomを付けたCanon7DMarkⅡを持って堤防へ。見渡したら、直ぐに下流から上流へ飛んでくる問題の野鳥を捉えることが出来た。頭を下に、目線は球磨川の水面。左右にジグザグに飛び、まるで何かを探すように頭を下げたまま。まさにハイイロチュウヒの採餌飛翔の様に見えたのは間違いではなかった。
ファインダーからシャッターを押しながら視たその姿は、昨年八代の球磨川河口部で初めて観たオニアジサシに似ていた。頭の上部半分が黒くスパッと直線的にツートンカラーに成っており、明らかに海鳥っぽい精悍さが漂っていた。
撮影後、人吉のお師匠さん宅へ寄せて頂き図鑑やその他資料を基に判断頂いた感じではクロハラアジサシの様に思えたが、クロハラアジサシは詳しくは3種類あるとの事で、そのどれであるかは素人に等判る訳もない。
種類や名前は野鳥に詳しいベテランの方に判断頂くとして、海岸線から直線で30km離れた山奥の盆地へどうやってやって来たのか?この海鳥が・・・。
八代から球磨川を遡って来たとしたら、途中の峡谷を進む際に「?これで良いのだろうか?」と不安になったりしないのだろうかと思ったりもした。
まさか地形や高低差を無視して地図に定規で線を引いたように海岸線からまっすぐ人吉へ来たのだろうか?
つくづく人吉という場所は面白い場所だと思った。
観察中何処にも留まらず、只々飛び続けていた。