2018年6月4日月曜日

ヒヨドリが何故ヤマセミの巣穴の傍に群がるか? Why Brown-eared Bulbul is flying around the nest hole of Crested kingfisher.

 今回の16日間人吉ヤマセミ繁殖観察の中で、幾度も監視中のヤマセミの親が巣穴近辺に飛来するヒヨドリを追い散らすシーンをレポートした。
 これが何故なのか、画像を分析して判った事がある。今日はそれのご紹介。
 結論から言うと、ヤマセミの巣穴のあるシラス壁が毎年風雨に晒され少しづつ後退する事により、上部に生えている樹木の木の根が露わになり、ヒヨドリやカワラヒワが営巣の丈夫な素材としてこの木の根の細い部分をさかんに採取している事が画像で判明したのだ。

 シラスの壁は実は毎年50cm~100cm程度風雨に晒されて崩壊・崩落し壁自体が後退していく。従って上部に樹木が生えている場合、酷い時にはその樹木が足元の土が無くなる事で落ちて来る。結構危険な所なのだ。

 好んで巣穴を掘るヤマセミの巣穴もカワセミの巣穴も、3年も経つと跡形も無くなったりする。あるいは一番奥の産室部分が大きな穴となって露出する事がある。シラスの壁は生きているのだ。

 今回の観察では、ヒヨドリ、カワラヒワなどが細い木の根を一生懸命採取に来ていた。ヤマセミの親は自分の巣穴の周囲でチョロチョロする侵入者をとにかく神経質に排除しようとしていた。
ヤマセミの巣穴の上の木の根を取ろうとするヒヨドリ。さすがにこれではヤマセミもおちおち見ていられないのだろう。

右上にはカワラヒワも来ている。


シラスの壁から出ている木の根を咥えたヒヨドリ。



明らかに細い木の根を咥えて自分の巣に戻る事が見て取れた。




シラスの壁の後退で上に生えている樹木の根が露わになるのだ。

ネットでヒヨドリの巣を観ると、いかにも細くて強い木の根などが営巣に使われている事が良く判る。

 ヤマセミの巣穴にまつわる野鳥の生態が此処に判明した訳だ。