過去に自費出版したヤマセミに関する生態写真集にも掲載したが、ヤマセミの食べる魚の種類は豊富だ。アユ、ウグイ(=イダ)、オイカワ(=関東ではヤマベ)、カワムツ、アブラハヤ、ナマズ、カマツカ、カジカ、ドンコに加えて、意外に多いのが毒魚ギギだ。
此のギギとはナマズ科の魚で最大45cmにまで成ると言われる、川底の魚だ。背びれに棘が有り、刺されると非常に痛いが毒自体はない。ヤマセミが捕獲するのは主に20cm以下のサイズだ。九州は東部に生息するというが球磨川流域には人吉盆地中心に沢山生息している。
似たような魚に尾びれが二つに割れていないギバチが居るが、こちらの棘には本物の毒があるという。
過去において5~6度、此のギギを採餌したヤマセミ画像を撮影しているが、いずれも飲み込むまで執拗に岩に叩きつけている所を見ると、余程生命力の強い魚なのだろう。今回は叩きつけた後幼鳥へ給餌する為頭を前にして持って飛んで行った。幼鳥の時から好き嫌いを言わせないスパルタ教育なのだろう。好き嫌いの激しい人間は見習うべきかもしれない。
球磨川第3鉄橋から10mダイブして得たギギを咥えたヤマセミの親鳥。
散々持ち替え、何度もギギを岩に叩きつけるヤマセミの親鳥。
やはり背びれの棘針を知っているのだろう、幾度も繰り返していた。