一昨日も昨日も球磨川の自然回復に対する多くの方々のご心配がこれほどだとは思いもよらなかった。
その球磨川に、穴が開いていようがなかろうが自然生態に重大な影響を及ぼすダムを造ろうとする国交省の方針は、現地を見て今後も相当な問題を引き起こすだろうと思った。
ダムを造ることで得られるメリットと失う物・事のデメリットの損益も充分に検討・検証できず、本当の治水(自然の水の力をコントロール)が人間の力で出来るなどと思い込んでいる人々に筆者は声を上げて言いたい。「自然の脅威がまだ判らないのか?」と・・。
また近い将来必ず起こる球磨川流域の豪雨災害。場当たり的な対処療法ではなく、腰を据えて身を切る覚悟の根本対策と覚悟をすべきと考えるが如何だろう?もともとウォーターハザード3mの同じ所に同じものを建てても、また水没するだけでは?
同じく洪水で長年苦労してきた最上川流域の人々の覚悟・決断力と知恵を学んだら如何だろう。筆者は実際に行って高床式の住宅の数々を2年前この目で確かめてきた。
http://yamasemiweb.blogspot.com/2020/10/this-week-i-researched-at-preparations.html (ご参考・2020年10月24日の筆者ブログ)
青井阿蘇神社同様平安時代に建立され、1700年代に再興した矢黒神社(別称ヤマセミ神社)の本殿(今の社殿より3m以上上部に在る)が今回の水害で水に浸からず無事だったのは「何故?」先人たちの知恵と教えをもっと学ぶべきではないだろうか?
話をヤマセミに戻そう。
短期の現状調査。今回は雨が続く数日を含んだ天候不良であったため、その検分・経験値だけではうっかりしたことは言えないが、見慣れたヤマセミの生態を探るにおいて他の野鳥たちの生態も気に成る所だった。
川魚や水中生物を餌としない「種」の野鳥はこの際無視して、ヤマセミ、カワセミ、クロツラヘラサギを筆頭にサギ類など魚食いの種だけ見れば良い・・・という訳では無い。球磨川の自然・動静は全ての生き物に関係している。
ミネラルが多く地熱が高く、水温が高く、水中生物(昆虫の幼虫など)が多い⇒それ(羽化した昆虫など)を餌とする魚・野鳥(つばめなど)が多い、⇒更にはその魚類を餌とする野鳥が多い。その野鳥の頂点に猛禽類が居る。
食物連鎖において球磨川流域は上流から下流部まですべてが繋がっている。
だからこそ球磨川河口部海岸部から40㎞以上も内陸の人吉迄クロハラアジサシやミサゴが餌を求めて入ってくるのだろう?それだけ人吉エリアの餌に成る魚が濃いという事だ。
街中で観られる、本来居る訳がない珍しいヤマセミだけを「特異な存在」として見るのは、いささか近視眼的発想だろうと思える。
これは今回色々ヤマセミ(絶対数が少ないため文献資料がほとんどない)の存在に関して話し合った専門家の方々との中から出てきた一つの方向。
世の中一般的な野鳥には幅広い鳥類図鑑的知識をお持ちの鳥類学者や写真家さんは沢山いるだろう。
しかし、こと球磨川流域の野鳥の独特の生態やその他の自然との関連性を合わせて「身をもって接して解っている方」はそう多くない。証拠を元にした知識の深さが違い過ぎる。
今回、短期間ではあったが直に野鳥たちを観察・撮影し、その画像データや関係者からのヒヤリングノートをみて、災害後の「洪水以前への戻り方」が少し見えてきた気がする。