2年前までは福岡県八女郡黒木あたりの果樹園から渋柿を購入していた。しかし熊本の野鳥観察の大先輩から贈られた熊本の渋柿の方がはるかに美味しく出来上がる。元もとの糖度が高い品種なのだろう。基本的に採ってそのまま食べられる甘柿より、実は渋柿の方がはるかに糖度は高いのだ。ただそのままだとタンニン等「柿渋」が邪魔をして柿本来の糖度が前に出てこないだけの話。デコポンなども一緒だ、採って直ぐに甘いものより追熟して渋抜きしたものの方がはるかに甘いことがある。だからデコポンも2月3月頃のモノのほうが甘い。
h渋柿は乾す事により、2週間ほどでこの柿渋が抜けて柿本来の甘さが味わえるようになる。そのまま乾燥を続けると糖が柿の外側に出てきて白く粉を吹く。昨年造った干し柿が3個ほど箱の中に残っていたがもう真っ白な糖が柿の外側に1mmほどの厚さでびっしりこびりついていた。腹を壊す事覚悟で食べてみたが甘いがあまり美味しくなかった。中味は芋のような味だった。
干し柿には食べごろがあるようだ。
しかし、今年は初めての事が多く、干し柿作りはピンチの連続でヒヤヒヤしている。まず渋柿そのものの絶対量が例年に比べて異常に少ないのだ。これは台風15号が熊本県を直撃したため多くの渋柿が落ちてしまったことが原因らしい。
この台風15号の直撃被害は熊本県内の多くの所に及んでいる。
例えば八代市では萩原橋横の萩原天満宮の大銀杏が根こそぎ倒れてしまって、今はもう影も形も無い。人吉市では由緒ある矢黒神社の屋根が一部吹き飛んだ。山の樹を切った所では強風が山肌を抜け、吹き降ろし電柱が傾いてしまったところが数箇所あった。八代ー人吉間の肥薩線は長い事不通だったそうだ。
今は無き萩原天満宮の大銀杏夏姿 Google mapより
今は無き萩原天満宮の大銀杏冬姿 Google mapより
こうした自然災害により数が激減した渋柿、おまけに高温気象の影響で11月に吊るした干し柿は皆黒ずんでしまい、今年は不作だそうだ。満を持して12月9日という普段より10日も遅い我が家の皮剥き・吊るし作業も、いきなり24℃の高温と12月としてはまれに見る大雨でピンチの連続!
しかし何とか、熊本野鳥界の大先輩の案内で購入できた貴重な今年の渋柿とあわせて購入した人吉の渋柿を計125個剥いて乾す事が出来た。この先の気候・気象が一日ごとに気になる。
柿剥きはジャガイモ等の皮剥き器を使う手作業。
大玉は一本の紐の両端に1個づつ。中玉は2個づつ付けて吊るす。
狭い二階のベランダで10年以上続く素人干し柿造り。
ヒヨドリとメジロなど鳥除け対策のネットと雨除けのビニール掛け。結構大変なのだ。
柿色を残して造り上げるのが難しい。昨年2014度の製品。これは経験値でしか身に付かない。
贈る直前にマドレーヌ袋に詰める。完全密封するとおのれの湿気でカビてしまうので空気抜けを必ず確保する。乾し上がっても柿は生きているのだ。(2014年製)
予断だが、メジロ除けにはおとりの熟柿を置くとそちらを突いてくれる。我家の巣箱でこの春巣立ったシジュウカラも居ついているので二階のベランダは非常ににぎやかだ。
干し柿を突かないように、おとりの熟柿を3個用意した。見事にそちらを啄ばむメジロ。
いつの間にか居ついてしまったらしい我が家巣立ちのシジュウカラの若鳥たち。