https://tokyo2020.org/jp/get-involved/volunteer/data/volunteer-guideline_JP.pdf
1998年長野オリンピックのスノーボード競技役員を務め20日間雪山現場で過ごした経験からすると、2020は相当な混乱やトラブルが発生することは想像に難くない。
筆者がこの手のスポーツイベントにおけるボランティアに関する知識を得たのは、数年前亡くなったあの「髭の殿下」で親しまれた故・寛仁親王殿下のお陰だった。
当時、長野オリンピック関連行事としてのインタースキー・野沢温泉開会を広告代理店として裏方サポートしていた際、名誉総裁だった寛仁親王殿下から「運営に関してお前も勉強しろ」とリレハンメルオリンピックへ招待されたのだ。リレハンメルの丘の上に立つお城を会場とするプレスセンターでのレセプションへドレスコードを守って参加し、当時のオリンピック運営ボランティア担当責任者のノーメさんに引き合わされたのだった。
ここで、日本選手団たちと一緒のパーティの中、約40分間つたない英語で殿下とノーメさんと3人でボランティアに関するいろいろなことを学んだ。ネイティブに近い英語を話される殿下に、なんと通訳をして頂くような場面も多々あり極寒の北極圏リレハンメルで全身汗びっしょりになってしまった。
その際学んだ重要なことは、まずボランティアというものは「志願」で行われるものだが、いったん志願したらその作業・労働状況が自分の考えていたものとは違うから辞めてしまう・・ということは許されないと言う事だった。
だから、例えば駐車場の案内掛かりが午後8時までと言う事でボランティア参加したにもかかわらず、「我が家の家族の夕飯を造らなければいけないから私は午後6時で失礼します・・・」は絶対に許されないのだ。
長いこと広告代理店で大小の地方イベントを担当しボランティアの募集・管理・運営を行ってきたが、この手のボランティアに関して日本ではまだまだ募集するほうも志願するほうもかなりいい加減な状態であると言わざるを得ない。初日終了時にボランティアの点呼を行ったら半分しかいなかったことすらあった。
基本的に長野オリンピックでもその他の大型イベントでも応募・志願・参加する方々の狙いは「正式に参加した証」としてのIDカード、ユニホーム、現場でのユニフォーム姿の自分の写真が欲しいためというのが第一位、第二位にそのイベントを間近で観られる・・、一般の人が立ちれないエリアに堂々と入れる。というのが入る。これは毎回ボランティア参加者に取るアンケートから正確なデータが出ている。
要は特権(限定支給物を含む)を取得することによる『優越感』を持てることが大きな参加志願理由なのだ。主催者・募集側はこの辺りをよく考えなければうまくいかないし、最近であればネット上にユニフォームや限定品が売りに出されるのが目に見えている。
長野オリンピックの時ですら、ボランティアスタッフが製品タグを付けたままの帽子をかぶり続け顰蹙(ひんしゅく)を買っていたのを覚えている。理由は明快だ、長野オリンピック終了後売る際に「未使用」として値を上げる魂胆なのだ。大会運営プランナーの意図とは違う実態で下世話なレベルでのボランティアグッズが流通する状況を予測しなければならないだろう。悲しいがこれが現実なのだ。
我が家にも2着ある長野オリンピック時のスタッフユニフォーム
東京都の小池知事が観光ボランティアのユニフォームを一新したが、舛添要一の時代のどうしようもなく恥ずかしいユニフォームがあったからこそ、最低レベルが普通の低レベルになったのだと思うがどうだろう?それにもかかわらず「良くなった!」と思ってしまうが、「開会終了後ネット上で売りに出しても、誰も買う気にならないデザイン」というのもコンペの条件だったのではないだろうかと思うほど。
舛添知事時代に決まった2020向け観光ガイドユニフォーム
新ユニフォーム、色・形より暑さ対策がないと、このユニフォームの人間があちこちでダウンしているような逆効果として目立つことになりそうだが・・・。
大体、なぜユニフォームにわざわざボランティアとデカデカ明記するのだろう?リレハンメルでもリオ・デ・ジャネイロでもボランティア・ユニフォームにそんな表示はなかった。ガイドの表示だけで十分だろうと思うのだが。
ここに分かりやすいサイトがあったのでご紹介
何でもかんでもアニメ文化のニッポン・・・に関連付けようとする2020の運営感覚には賛同したくない団塊世代…と言ってもほんの一人の愚痴かもしれない