人の気持ちも判らず、簡単にそういう事を言うな!と、短絡的にお怒りの方も居よう。もっともだ。しかし筆者は東京(北区)、小倉(現・北九州市)・八代・東京(北区)東京(三鷹市)と小さな時から有無を言わさぬ引っ越しの連続だった。
小学校4か所、中学校は2か所通った。極端かもしれないが、いわば旅芸人・サーカス団員の家族に近い生活が身に付いているので、住む場所・環境が変化する事に対しての抵抗は殆ど無い。
生まれた時から先祖代々の土地で生活を出来ている幸せな方々の方が、全国的に言えば実は稀有な事も知っておいてほしいと思う。人間すべての方々の価値観は同じでは無いが、己の住む場所が命にかかわる環境で有る事が判ったのであれば、自自己防衛をするのが普通だろう?東日本大震災の被災者の方々を視ればその切実さが判るだろう。
さて、今日の本題は昨今話題になっている超豪華列車に対する疑問と嫌悪感だ。筆者は小学生の時から「鉄道友の会」に入り、毎月定期購読していたのは列車時刻表というくらいの鉄道ファンだった。今で言う「鉄男」か?言い方が下品で気に入らないが・・・。
HOゲージ鉄道模型にも狂い、自作で色々造った。写真も日本のSLブームの数年前に凝ってあちこちで鉄道写真を撮影した。中学生時代は八代駅や川崎の新鶴見操車場では「顔パス」で駅・操車場構内での撮影を許されていた。時には試運転の電気機関車単機での運転に同乗を許され、当時東海道線で試運転をしていた神奈川藤沢ー茅ヶ崎間の直線部分まで往復した事が有るほど。
筆者は夜行寝台特急で鉄道旅というものに対する刷り込みが完璧になされた。
寝台ベットのシーツの匂いに包まれて八代ー東京間を何度往復した事か!
今でもSL人吉号など見かければ無条件でシャッターを押す。これは旧車両。
鉄道車両デザイナーの水戸岡氏は尊敬するし、全国でもJR九州の列車のデザインの良さは我々も認める。我々6名も間違いなく彼の仕事を気に入っている。その中でもちょっと気になる新幹線が出来る前の在来線特急つばめの車両(787系)がフランスのTGVにそっくりだとか言う話はこの際目をつぶって置こう。
それ程お気に入りの鉄道デザイナーの水戸岡氏なのだが、彼のデザインした「ななつ星」の車両に関してだけは歴史ドラマに良く出てくる織田信長のいでたち、あるいは今NHK大河ドラマ真田丸に出てくる豊臣秀吉の装束の様で至って正直言って不人気だ。
先頭のディーゼル機関車部分の躯体フォルムがまず美しくない。
どうせこの手はオリエンタル急行のコピーだろうと誰もが思う。在来線時代の特急つばめの個室車両に繋がる水戸岡流のデザインの流れなのだが・・・・。
要は鉄道の魅力、鉄道車両の魅力からかけ離れた超違和感だらけなのだ。決して料金が呆れてしまうほど高過ぎて「ななつ星」に乗れないからとかいう妬みや嫉妬心から出た話ではない。鉄道車両としての色気を感じないのだ。まだ「いさぶろうしんぺい号」や旧湯前線、現くまがわ鉄道の「田園ハーモニー」の方がどれだけカッコ良いか?多分JR九州上層部のサラリーマンには言っている意味が判るまい。
水戸岡氏デザインの田園ハーモニー、人吉駅~湯前駅間を走る人気列車。
鉄道の魅力の大部分は豪華な車両などではないのだ。昭和30年代、東海道線のEF58がけん引する「特急つばめ、特急はと」などの展望車にも乗った事が有るからこそ言える話だ。父親の転勤で東京からまだ駅前に輪タクが並んでいた北九州の小倉まで駐留軍属専用長距離寝台急行雲仙(西海・併結)に乗った経験からも言わせて頂きたい。「ななつ星」にせよ「四季島」にせよ鉄道車両の「豪華」をはき違えている。当時超豪華な「特急つばめ・特急はと」の展望車(つばめガールはとガールが乗っていた)ですら今の価値で一人東京・神戸間往復15万円程度だ。
百歩譲って「ななつ星」に最低点ながら及第点を与えたとしても、JR東日本の「TRAIN SUITE 四季島」はどうしようもない駄作、予選失格。大体において発想自体がJR九州の柳の下・・・だろう?もう少し知恵を絞ったら如何?それに大体デザイナーは所詮自動車関係のデザイナーだ。鉄道の魅力などこれっぽっちも判っていない。どうせ広告代理店辺りがバックで薦めたのだろう?JR東日本を走る特急系の車両デザインが酷いのは、鉄道会社の上層部のデザイン的無知、センスのなさ、鉄道そのものに対する興味・造詣がない単なるサラリーマン集団だからに違いないというのが6名揃っての結論だった。その意味からすると九州に住んでいる方々は羨ましい事限りない。
JR九州の水戸岡氏だって相当勉強して失敗に失敗を重ねて良い車両デザイナーになった。最初はやたらと既存車両に英語を書き連ねただけだったではないか。鉄道ファンは全部視ているのだ。躯体のフォルムデザインからカラーリングまで。勿論椅子やインテリアのデザインまでくまなく鉄道の魅力をチェックするのが鉄道ファンだ、妥協は許さない。もう50年以上鉄道が好きで列車のデザイン、色気、音、匂いに至るまで虜になって来たのだから皆の見る目は厳しいのだ。
以上全てJR東日本の「四季島」公式HPより抜粋。
自動車のデザイナーに鉄道車両のデザイン・内装などを任せたJR東日本の上層部には鉄道が本当に好きな者が一人もいない・・という事がこれでバレてしまった。あまりに酷いデザイン・内装で全然乗ってみたいとは思わない。
特にこの豪華列車2本に絞って今日は述べているが、「旅」そのものは列車に乗るだけで行うものではない。昔なら時刻表と地図帳を開くところから「旅」は始まったのだ。地域特性の溢れた駅弁、土瓶の御茶、夜行列車が夜明けに停まる主要駅ホームのタイルで覆われた広告付き鏡の在る洗面所と鎖の付いたアルミのコップ!全ての要素が「旅」の演出小道具なのだ。走る列車だけが超豪華でどうする?
しかも、乗車料金を観て呆れてしまった。「ななつ星」や「四季島」の料金一人頭80万円だぞ!80万円と言えば東京からオーストラリアに飛んで現地で豪華客船のクルージングに数日間乗って10泊11日全ての費用込みの旅行価格と一緒だ。そのレベルの旅ができるのにJRの超豪華列車の旅はせいぜい3泊四日だろ?まともな普通の人が乗る列車ではないと思う。
長くなるので、この辺で終えたいが、画像を見ながら超豪華列車の旅というものがどうなのか?よく考えて頂ければ幸いだ。