2014年6月20日金曜日

ヤマセミの巣立ち その2. This is the fledging of crested kingfisher Part 2.

 今日はヤマセミ巣立ちの最終レポート。昨日までの苦難を乗り越えてのヤマセミ家族の繁殖活動報告へは全国各地から「詳細レポートを欲しい」とのメールを頂いた。もちろん個別にも対応しているがこの場でも感謝申し上げたい。特に岡山県高梁市の方々、北海道千歳市の方々のようにヤマセミを市の鳥に制定されている地域において、最近ヤマセミの個体数が減少している原因が営巣時の青大将によるものが在り得るとは思いもつかなかったというメールを頂き、少しでもヤマセミ保護に役立つかと思うと嬉しい気持ちになった。これもブログで紹介したればこその良い効果と考えたい。

 その他、子供達への教育に使用したいので画像を欲しいと連絡く頂いた小学校5校・中学校3校の先生方、並びに専門学校4校の自然環境部の顧問の方。自然観察ビジターセンター2か所の方からの今回の繁殖データ並びに画像提供要請はこの上ない歓びと思う、感謝したい。更に、昨日までのブログを観てか、英国の放送局がコンタクトして来たので面白い事に成るかもしれない。ショウドウツバメ以外で土壁に巣穴を掘って繁殖する野鳥があまり居ないのだろうか?非常に珍しいらしく興味が有るようだ。

 今回最初のつがい営巣失敗事件でも、崖に立て掛かっていた枯れた孟宗竹さえなければ、そうやすやすと青大将も巣穴へは到達出来なかったのではないかと云うメールも頂いたが、行き過ぎた保護も逆に自然界の連鎖破壊に繋がるのではないかとも思えて難しい所だ。すべて野鳥保護優先で他への影響を犠牲にする事もおかしな話だし、それぞれの立ち位置によってモノの考え方評価が変わると云う事も念頭に置くべきだろう。

昨日に引き続き、最初の一羽が巣立った後、巣穴から一部をのぞかせていた2羽目は、無事翌日の午前10時28分巣立って行った。巣立ちの様子を説明できる画像は静止画動画を含めて相当な量に上るがあえてここでは巣立つ時の飛翔シーンだけを連写合成で紹介しよう。

 1羽目の巣立ちが正面からの撮影だった為、手前に飛んで来るヤマセミにピントを合わせ続ける事が非常に難しく、観察記録としての画像もピンボケが多くなってしまった。この教訓で2羽目からは横位置で撮影する事にした。場所の問題上、側面からの撮影ポイントは正面からより多少近くなるのだが、それでも7~80mは在る。その上横から穴を観る事に成るため巣の中の雛の様子がまるで判らないので、正面に陣取っている共同観察者からの携帯メールで状況を把握するしかなかった。観察者同志車の中からなので声も聞こえず表情も判らず、この時ほど携帯電話の有り難さを感じたことは無かった。

 1羽目の巣立ちの動画を何度も見返し見返し、巣立つ直前の行動、特徴、親の行動などを勉強していたので2羽目の巣立ちは有る程度予測できた。しかし、巣立つ瞬間は1テンポ遅れて連写のシャッターを切らざるを得なかった。ただ救いは動画収録で完全に巣立つ様子が得られたので良い生態記録になると思う。
 
              
 2羽目、6月1日午前10:28巣立の連続画像。営巣巣穴は一番左だが意図的にボカしてある。巣立った直後の飛び出しにおいてこのように立った様な飛び方になっているのは大変興味深い。猛禽類や海鳥のように巣立つ前に巣の中で羽ばたく練習が出来ない種であるが為のモノだろうか?後に出版するレポートには動画のURLも掲載(ヤマセミ生態レポート配布者のみ閲覧可能)するので詳細はそちらを参照されたい。

 3羽目、6月3日午前5時28分巣立の連続画像。この朝は雨だったので、目の前の道路を通る車の撥ねを避ける意味でもいつもより80m後方の高所、ほぼ巣穴と同高度の場所から撮影した。したがって距離は170m程離れている。しかし、落下しながら飛び出している点で1羽目、2羽目とは少し違う巣立ちになっていると言って良い。


注1.)今日の画像は背景などは場所特定の判断材料にならないよう、ぼかし処理を行った。巣穴の位置が判らないと一体何の場面だか判らないと思うだろうが、あえて現在所属している「日本野鳥の会熊本県支部の指針=多数の人が閲覧出来るようなインターネット上や、メーリングリストでの営巣場所情報の発信及び営巣画像の掲載等は行わないようにしましょう。」に従ってブログで紹介する場合のみ営巣画像に当たる巣穴の部分は非常に不本意だが塗りつぶして紹介する事としたのでご了承願いたい。

 注2.)自然教育その他子供達に役立てたい、あるいはヤマセミの個体を減らさないために資料として是非オリジナル画像を欲しいという教育機関・行政・研究機関の方へは無償でオリジナル画像を提供するので、今までのように「お問い合わせフォーマット」に必要事項を記入の上お送り願いたい。

 注3.)このブログに関するご質問・問い合わせに関してはブログ面にも明記して在るとおり「Contact us=問い合わせホーム」からお願いする。同時にスタッフ関係者へ閲覧され正しい対応が出来るよう心掛けている。なお学術的な内容に関してはお答えするが、撮影方法や場所、あるいはご意見などに関しては一切対応できないのでご了承願いたい。

 今まで要請いただいた方には、既にデータ・ダウンロード用のURLを昨日までにお送りしてあるので、ご確認願いたい。