もちろん野鳥写真撮影に夢中になっているアマチュアカメラマンなどは、アカショウビンだのヤツガシラに執着するのも良く知られている。ここいら辺りから野鳥カメラマンたちの「優越感」の闘い、自慢話の競い合いになるが、野鳥撮影の初心者に限らず住宅街の川にも生息するカワセミの人気は群を抜いているだろう。
野鳥撮影のベテランになると、もうカワセミなどには目もくれず、「ふん、カワセミか?初心者じゃあるまいに・・」くらいの事は平気で言う御仁も居る様だ。しかし、実はカワセミは大変奥が深いのだ。東京都心のど真ん中新宿御苑にも、皇居の吹上御苑にも棲息している。護岸工事でコンクリートの壁に囲まれた神田川にすら生息している。新宿区で区民アンケートを行ったらカワセミが神田川に生息している事を認識している人の割合は10%も居なかったという。まだカワセミを昆虫のセミだと思って野鳥だと認識している人が50%を切っていた頃の話だ。
要は、神田川のような環境でも「水辺の宝石カワセミ」は生活できるしたたかな野鳥なのだ。武蔵野のハケ沿いに流れている野川流域でも、行けばセキレイ類と同等かそれ以上の確率でこのカワセミに出遭える。下手をすると一番出遭いやすい野鳥の一つかもしれない。
2006年に熊本県熊本市のお手伝いをした際に、市役所の前を流れる坪井川の堤防でこのカワセミを観て以来、市のど真ん中に在る江津湖で沢山のカワセミを撮影し始めたのが、この私が野鳥撮影に入り始めたきっかけ。だからカワセミには大変感謝している。メインの対象がヤマセミに移行した今も同属のカワセミに対する尊敬の念は変わらない。何かにつけカワセミとヤマセミの行動、癖、等を比較しながら観察を続けている。
今回は球磨川本流で棲息するカワセミの画像をご紹介。球磨川は水面川幅が150m程になる場所が数か所あるが、カワセミはあの小さな体で平気でこれを横切って行く。飛翔能力、採餌能力、繁殖能力、どれをとっても球磨川本流のカワセミはタフなようだ。そのかわり江津湖のカワセミの様な人馴れをしていない点で警戒心が強く、なかなか撮影させてくれない。
各ショットのコメントはしないが、手持ちで500mmを撮るというのは苦に成らなくなったが、事カワセミともなると動きが敏捷過ぎて最初は尻尾だけしか写っていなかったり、パソコンで視てみて自分で大笑いしてしまう事が何度もあった。