連日、メディア報道を見ていると出来たばかりの石破内閣への攻撃、あるいは否定的内容があまりに多くて呆れている。総裁選の最中に石破氏が言っていた事と、首相になっての所信表明演説の中身の整合性が無いというのだ。野党もこぞってメディア報道に乗って「ウソツキ」だの「トーンダウンすぎ!」と責め立てているようだ。
あの総裁選の時に報道されていた「日米地位協定改善」だの「東南アジアNATO」だの「夫婦別姓問題」を所信表明演説に入れずトーンダウンしたと言って攻めまくっている。
筆者は思う、総裁選の際の主義主張は、所信表明と違って、決して「公約」では無いのではないだろうか?なぜなら9人の主張を並べてごらん?ほとんど同じことを言っているのだから。https://jp.reuters.com/markets/commodities/P7MDCTUS7BIXFGHN3OCKPIRW3E-2024-09-03/ ※ロイター通信が報ずる9人候補の主張。
ロイター通信がまとめたこのサイトをよく読んでみると判ろう。これを見る限り石破首相は「日米地位協定改善」だの「東南アジアNATO」だの「夫婦別姓問題」を決してメインで主張していないではないか?
高市氏も「総裁(=首相)になったら靖国神社へ参拝する・・」など問う事はロイター通信の各候補主張一覧には入っていない。ロイター通信社はUPIなどと肩を並べる世界が認めた通信社。申し訳ないが共同通信社や時事通信社とは世界から視て規模がちがう。信用度がまるで違うのだ。
世界のメディアと日本のメディアの目の付け所がなぜ此処迄違うのだろう?
日本のメディアは「かって、こういう場所でこう言った!」という候補者が現在メインで主張している訳では無い「つぶやき=Twitter的発言」を、今選挙戦で主張しているとすり替えて報道しているのではないだろうか?
https://jp.reuters.com/markets/commodities/P7MDCTUS7BIXFGHN3OCKPIRW3E-2024-09-03/ ※ロイター通信が報ずる9人候補の主張。
更に思うのだが、同じ自民党の中で似たような者同士が総裁の席を争う「選挙運動」の時に他候補と差別化を図る中で掲げる意見・主義主張と、首相になって実際に国を治める事になって日本国の首相としての所信表明(=世界に発信する公約みたいなもの)が本当に同じだとでも思っているのだろうか、マスコミも国民も?
候補者9人の中から一人を選ぶ選挙の際の主義主張と、国を治める立場で世界の首脳と渡り合う際の所信表明が同じだったら、とんでもないことになるとは思わないのだろうか?
もし高市氏が首相になって「直ちに首相として靖国神社に詣でるんだもんね私ゃ!」と言ってごらん?その1時間後の中国、米国ほか西側諸国の反応はどうなると思う?しかし、繰り返すがこの「靖国神社うんぬん」もロイター通信がまとめた一覧には入っていない。
メディアはどうも重要ではない突出した言葉を針小棒大に報道して世の中の人心を惑わしているような気がしてきた。
首相ともなれば不要なトラブルは避けるのが当然で、総裁選の際に様子見の狼煙(のろし=観測気球)を上げ世界の反応を見て、首相就任時の「所信表明」をブレーン・スタッフと共に作ったに決まっているだろう?メディアはそんなことも判らないのだろうか?
日本経済新聞ネットメディア(会員版)は世界がどう見ているか?こう報じている。ロイターの報道内容と随分違う事にお気づきだろう?
石破茂新政権、海外メディアの日本特派員はどうみる?
2024年10月2日 5:00
石破茂政権が1日、発足した。首相は就任前、日米地位協定の見直しやアジア版北大西洋条約機構(NATO)の創設などについて提唱した。閣僚も外交・安全保障に特化した人から選び、注力する姿勢を示す。対外関係などを中心に日本で活躍する海外メディアの東京特派員に新政権への評価を聞いた。
■地位協定改定、米国は簡単に応じない(※所信表明ではこの権には触れていない)
米ウォール・ストリート・ジャーナル ピーター・ランダース東京支局長
石破氏が自民党総裁選を制したものの米国も大統領選挙だったので外国を見てる余裕はなかったように思える。石破氏は防衛相を務めているものの米国でよく知られているわけではない。本人の政策ややりたいことはこれから次第に知られていくだろう。
岸田文雄前首相が率いた宏池会は歴史的に役人出身が多く、財務省に近かった。安倍晋三元首相の時は秘書官はじめ経済産業省に近い政権だった。石破氏は防衛関連の知識がある。安保政策通が集まり新風が吹いたようにみえる。
石破氏は総裁選の期間中、ハドソン研究所に(日米安保条約の改定に触れた)論文を寄稿した。論文自体が注目されたのは総裁選後だった。
日米地位協定の改定などを積極的に進めようとするなら、米国側は簡単に対応しないと考える。石破氏は実現可能性を問われていくだろう。
■「アジア版NATO」韓国国民は敏感
韓国・東亜日報の李相勲東京支局長
石破首相の就任後も、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と岸田文雄前首相の時から構築された友好的な日韓関係は継続できるだろうと楽観視している。韓国国内での報道も同様だ。
石破氏はこれまで歴史問題などについて韓国に友好的な発言をしてきた。靖国神社参拝の可能性も自民党総裁選の他の候補者と比べたら低いだろう。
安全保障政策は一定程度の時間をかけてどのように議論が進展していくのか見極めなくてはいけない。
例えば首相が就任前に提唱したアジア版のNATOについては韓国国民は敏感に反応するだろう。仮に枠組みが成立すると、台湾有事の際は米欧のNATOと同じように台湾を守るために戦う義務が発生する恐れがある。
韓中関係は日中関係以上に複雑であり、一筋縄ではいかないだろう。
日米地位協定の見直しも在韓米軍との関係性に影響が及ぶ可能性がある。
■中国にバランスとれた視点持つ印象
香港フェニックステレビの李淼東京支局長
中国は石破首相の誕生をもちろん注目する。総裁選中も含め、かなり独自な主張をしている。特にアジア版NATOは石破氏が論文ではっきりと「中国を西側同盟国が抑止するためにアジア版NATOが不可欠だ」と書いた。
中国は当然とても警戒をしていると思う。ただ参加国をどうするかや、実現可能かということを見ていかないといけない。石破氏に何回か今までインタビューしたなかで中国に対してかなりバランスのとれた視点を持っている印象がある。
総裁選の候補9人全員が中国に厳しい見方を示していた。日本で保守的な声が主流になりつつある状況で、石破氏がどのようにバランスのとれた対中外交を展開するかがポイントになる。