7月4日の球磨川大洪水から1か月が経って、日常の生活に戻る復旧作業でくたくたになられた方々にお見舞い申し上げたい。筆者は神道信者なのでお盆は無いが、仏教を信ずる方々は、せめてお盆の間だけでも殺生を慎み体を休めて鋭気を蓄えて頂きたい。
このブログでも、7月4日当日以降今回の洪水がなぜ起きたのかなど、アマチュアの立場ながらいろいろ情報を収集して分析してみた。単に予想を超えた降水量で、想定外の水量が球磨川水系に短時間に集中したため・・とだけ一言で言えない、もっと大きな変化として「自然環境が全く新しい別の時代に入ってしまった」と考えなければいけないのだろうと思う。
珍しい、堤防の河川側ではなく氾濫した水が内陸側から水位が下がった球磨川に向かって一気に流れ出し、護岸処理をしていない堤の陸側から決壊が発生したことなど、今までにあまり見られなかった現象が発生した今回の球磨川洪水。氾濫を起こした場所、流失した橋梁のケースバイケース事例、各水没したエリアの状況などは今後の国交省河川事務所の詳細レポートを待ちたい。
http://yamasemiweb.blogspot.com/2020/07/i-discovered-amazing-fact-when-bank-of.html (ご参考)
https://yamasemiweb.blogspot.com/2020/07/75after-all-it-seems-that-hypothesis-of.html
で、これだけの大洪水は決して今回が最後ではなく、残念ながら今後も、早ければこの夏以降台風シーズンにも十分有り得るという予測の下、どうしたら犠牲者を出さないで済むか…へのヒントになるかもしれない発想を素人ながらしてみたい。被災された方にとっては非常にきつい考え方になるかもしれないが、命を守るため、住む土地に執着しない海外諸国だったら当たり前に考える事だと思っていただきたい。
もし、そんなの酷すぎる!とお考えなら何か他に良い案があるだろうか?是非色々な考え方をお聞きしたい。スピード感があって、コスト的に国や自治体が動きやすいレベルで、実現可能なアイディアが他に在れば、もちろんそれを進められるが良かろうと思う。
元々人吉盆地は古代において大きな湖だったと言われている。それがちょうど人吉市と球磨村の境・渡の辺りで峡谷に入り急流として八代市の遥拝の瀬まで谷を流れていたものと思われる。
もし、人吉市中心部より上流の願成寺附近と人吉城址の間に長く大きな堰を設けるならば、その上流部では旧海軍飛行場・滑走路跡の存在する「高原=たかんばる」以外は水没し、球磨川方面は錦町の一部が水没し川辺川方面も雨宮神社辺りの水田まで幅広い川となる可能性があるのではないだろうか?
古来、人間が住み着く前から人吉市も湖だったとすれば、村山台地や高原(たかんばる)ぐらいは水面に出ていて水害の恐れのない場所だったに違いない。
渡から下流の峡谷部に在る数少ない狭い集落平地(肥薩線の各駅周辺など)も、地学的に言えば実は長い年月の間に周りの山間・沢から流れ出た土砂が堆積してできた場所なので、本来は今後も同じ様な土石流に襲われたり洪水に襲われてもまったく不思議ではない場所なのだ。
明治時代から、幾度となく洪水に見舞われて水没して来た場所などは、その典型的な個所と言って良いだろう。間違いなく今後も同じような状況に見舞われることは火を見るより明らかだ。嘘だと思うのであればプロの学者さんに訊いてみればよい。
そういう地形学上今後も危うい場所に「数百年前のご先祖様からの代々の土地だから・・。」と居続け、毎度水害を生み出す球磨川の氾濫を、我が集落や家を守るため国家予算で堤防や上流のダムで防いでほしいという願いにはあまりに無理があると思う。
非情なようだが千年以上のタームで地形が変化していく地球規模の自然環境を、理解せず住み着いた人間の勝手と思わざるを得ない。地球自然学上から言えば活火山の麓、地震帯附近の海岸沿い、峡谷の川沿いは一般の人間が住むにはあまりにリスクの高い場所なのだ。
雲仙普賢岳の火砕流の例、大津波の際の東北のリアス式海岸エリアの例、豪雨の際の日田川、飛騨川沿いの集落の例、今回の球磨川の峡谷部の例、いずれもその典型的な実例だ。
昔から都や幕府のあった場所、京都・奈良・鎌倉・江戸(東京)など人が多く住む場所は、人々がこうした自然災害に対してあらゆるチェックを行い場所選定・防災手当してきたのだろう、過去において想定出来ない地震以外の自然災害の大きな犠牲は無かった。
命の保全を考えたら、等価交換など知恵を働かせて今回の水没エリアの被害者は「住む場所を安全な高所に替え、引っ越す」これが一番コスト的に安く物理的に早い対策だろうと思う。今の場所に居続け、「何とか国や自治体の治水事業で守ってくれよ!」はもう地球環境を考えた時、物理的にも経済(国民の税金投下)的にも無理だろう。
莫大な予算をかけて全ての堤防を今回氾濫水位以上にかさ上げしたり、上流部に何十個という治水ダムを造ったとしても、今生きている人々は誰一人生存中に恩恵に与かれないうえ、大自然のこれだけの変化と脅威を人工物・人造物で防ぐのはもはや不可能だろう。
人吉市に在っても、球磨川の本流堤防を如何に頑丈にし高くしても必ず水は何処からか入ってきてしまう。今回のように山田川、万江川、福川などが本流に合流する前にバックウォーター現象で人口密集部で氾濫することは今後も頻繁に起きるだろう。要は洪水のメカニズムが昔と大きく変わってしまったことを認識しなければいけない。
そもそも物理的に防水堤防は今回の峡谷部のような細長く支流が途中で沢山流れ込むような場所には造れない。理由はその莫大な予算をかけて守るべき物との費用対効果を必ず議会その他公平性を推し量る機関で採決されるから。造れば同時に球磨川の数少ない観光資源価値=峡谷美は全く無くなる。観光特急列車を走らせる意味も無くなる訳だ。
どうしても危険を覚悟で今の場所で頑張るというのであれば、今回二階部分まで水没してしまった家屋をすべて総3階建てにして、1階は車庫(車には保険必須)、二階は生活必需物資を置かない生活空間(寝室・居間など)、3階に生活必需品・貴重品を置く生活空間を設ける事が一番手っ取り速い「具体的対策」になるのではないだろうか?もちろん大した公的補助は受けられないから殆ど自費になると思われる。全国の国民が平等に使う権利のある皆からの税金を、特殊な場所に住みたい人の為にだけ多く使う訳にはいかないだろう?
球磨川水害の後、東北の最上川流域でも多くの床上浸水が発生したが、自宅に居て溺れて亡くなった方は一人もいなかった。前回大水害の後、数年のうちに水害に遭った住居をかさ上げして高床にするか2階建て3階建てにしたので、今回水害では犠牲者が出なかったという。良い実例があるではないか?
さらに言うならば、川辺川ダムの準備で高台に集団移住した五木村は今回家屋の流失や犠牲者がほとんど出ていない。市房ダム上流の水上村と同様に球磨川流域でたった2か所自治体だけ災害を免れているのだ。これ以上の証があるだろうか?
これら良い実例を参考に、今回水没した公共施設・ライフライン施設はすべて村山台地や隣の高原(たかんばる地区)など標高があと5~8m高いエリアに移転させ、人吉市民の豪雨時の安全を担保すべきなのではないだろうか?
市内における住家被害については、これまで床上浸水3775棟、床下浸水906棟で報告してきましたが、今回、家屋調査や罹災証明申請手続きを進めるに従って、より詳細な被害状況が明らかになってきました。
14日付けで、以下のとおりとなっています。
全壊 863棟
半壊 1319棟
床上浸水1593棟
一部破損174棟
床下浸水732棟
合計 4681棟
新しい人吉市役所の立地条件や建築様式・規模もその辺りをよく再考して、また来年も起こり得る豪雨・球磨川氾濫への備えを今からすべきだろうと思う。すぐに取り掛かればまだ間に合うのではないだろうか?。横浜スタジアムの洪水対策など良い例が沢山ある。これを学ばずしてこの先の人吉市は守れまい?
https://www.mag2.com/p/news/426766
一方、追加情報(8月16日付)として読売新聞にこういう記事が出ていた。京都の桂離宮が桂川の洪水を想定して高床式の書院にしたというのだ。素晴らしい先人たちの知恵と言えまいか?
筆者はあくまで地元人吉・球磨の方々から見れば「よそ者」だが、ただ過去10年間に300日ほど人吉市に宿泊し、球磨川流域(本流支流)沿いに相当な回数・時間をかけて徘徊した。河川に棲むヤマセミ及び他の野鳥の生態観察・撮影をしてきた。このブログレポートはそういった素人ながら地道に時間をかけて川沿いを見て回った経験値を元に考えた今回の球磨川氾濫・洪水災害なので「余計な事言わんで良か!」などと言わずに、大目に見て頂ければと思う。
この先必ず再び起こる集中豪雨・河川氾濫(上流ダム緊急放水の可能性も加味し)を見据えて、今の状況をスピーディに打開する方策のヒントにでもなれば嬉しいのだが。
勿論プロの専門家や行政の方々は、当の昔にこんな素人レベル以上の対策を検討し、行動をスタートさせているはずだが、さんざん日ごろ人吉の皆さんにお世話になりっぱなしの団塊爺の老婆心からこのブログでも書かずにはおられない事をご容赦願いたい。
① 各公共施設・ライフライン施設(電気・水道・ガス・通信)・市役所・消防署・コミセン(時には避難所)などの立地条件が今のままで良いか否かの検証と対策(再度人吉市内外水没の可能性を前提に)今回洪水時に各施設・機関が正常に機能したか否かの検証から。
② 医療施設・高齢者施設・保育園・学校・ゴミ収集・処理施設・下水・汚水処理施設の水没対策など。これらも今回洪水時に各施設・機関が正常に機能したか否かの検証から。
※人吉市でさんざんお世話になっている先輩ヤマセミ観察者でもある辻循環器内科の辻先生の新築病院が水没し、歴代患者さんのカルテや医療機器が被害を受け早々と閉院されてしまった。責任感の非常に強い方だけに、まことにお気の毒としか言えない。人吉市および近郊の多くの患者さんから頼りにされている名医さん、何とかならないものだろうか?
③ 商業・商店街の洪水対策(建物かさ上げ・緊急時相互連絡システム・非難訓練・非難用具常備)、昔の街並みの懐かしい佇まいにとらわれず、新しい自然環境時代に即した防災都市化する勇気を持つか、昔を復元しつつ災害を毎年覚悟しながら生活していくか判断の時。
④ 一般住宅の安全地帯への移転促進(代替え地整備・等価交換・水没危険エリアの氾濫クリア高の建築基準設置『人吉洪水防災特殊条例で違反罰則付』)
⑤ 一般住宅住民へのライフジャケット・緊急防災生存用品常備の徹底(毎年7月4日を人吉防災の日として年1回のチェック)
⑥ 高台移住促進補助・各家庭へ洪水時避難場所設定。(年1回の合同集団避難訓練実施)
⑦ 球磨川増水時の氾濫早期判断と連絡指示のグループシステム化(警察・消防・役場などの関わり・命令系統の明確化)と年間実地予行演習の定例化)
⑧ 災害発生時の普及活動用備品・重機器の整備・点検。
⑨ いざという時の情報伝達方式の早急決定とインフラ整備。※豪雨の際聴こえない防災無線など、過去における全国の実例を精査。防災隣組制度のシステム化。
⑩ 全国の洪水実例を研究精査、最上川流域の2020年水害被害者ゼロ実績の検証。
いつまた来るか判らない豪雨への対策は早急にしなければならないが、それと並行して「人吉・球磨」エリアの産業復興も進めねばならないだろう。これを機に人吉・球磨の「強みと泣き所」をよく吟味し、新しい「洪水後」の長中期計画を進めた方が良いと思われる。これは地元の人々だけではなく、人吉に縁のある人間で現在人吉に住んでいない方々、例えば東京在住の人吉県人会の方々の意見・アイディアなどを求めるべきだろう。全国の他のエリアを視つつ、比較精査出来るのはそういう方々しかいまい?其処に住んでいては判らない地元の「強みと泣き所」を知って理解してこそ、成功に繋がると筆者は信ずる。
今考えられることはこの程度だが、しばらくしたら観光復活・河川産業復活へのアイディアなどを再度検討予定。
球磨川災害ブログレポート・シリーズ(今回の災害の筆者の数回のレポートです)
https://yamasemiweb.blogspot.com/2020/08/7although-i-am-baby-boomers-amateurs-i.html
https://yamasemiweb.blogspot.com/2020/08/7-1verify-kuma-river-july-heavy-rain.html
https://yamasemiweb.blogspot.com/2020/08/7-verify-kuma-river-july-heavy-rain.html
https://yamasemiweb.blogspot.com/2020/08/nhk-250240-httpsja.html