2020年8月28日金曜日

緊急投稿!球磨川沿いの肥薩線の復旧を考える。その3.  Consider restoration of the Hisatsu Line along the Kuma River. Vol 3.

  1日前の地元地方紙の報道でもう川辺川ダムの再建設が出来レースのように始まってしまったように見えたため、このブログで悲観的にレポートしたが、少し早とちりだったかもしれない。

 川辺川ダムがもし出来てしまったら、ダムの影響で日本一の清流川辺川・球磨川の自然が失われてしまい、後世の子孫たちに顔向けできないと長年頑張って反対運動をして来られた方々が取材に声を上げた!と今日の同じ地方紙に出ている。満更捨てたものではないようだ。

                      熊日新聞より

 これが一時のバランス報道記事で無い事を祈るばかりだ。熊本県内にかかわらず、九州圏内あるいは全国で河川の豪雨災害、洪水災害回避への良きアイディアをお持ちの方々は是非知恵を出し合って100年先、200年先の球磨川沿いで生きていくための方向性に協力して頂ければと思う。

 今までの所、筆者は「治水」などという江戸時代以来の洪水防止策をダム建設や堤防積み上げなど人力で防ぐのは地球環境・気象が大きく変わりつつあるので物理的にもう無理だと思っている。別の方法を考える時期に差し掛かっているような気がしてしょうがない。

 したがって自然環境による川の変化と共存する意味で高台へ住み替えるか、洪水覚悟でどうしてもそこに住むと言うのであれば、洪水災害受けても補償は求めませんという誓約書を役所と交わした上で、過去の洪水水位データを参考にしながら3~4階建てあるいは相当な高床式にして、洪水を凌ぎ命を守る生き方に変えるしかないと思っている。

 何のデータ根拠も専門家の分析もないまま、「ほーら、言わんこっちゃない川辺川ダムさえできていれば今回の洪水は起きなかった」などという動きを冷静に見極められる流域住民(被害者であっても)の意識レベルの高さに敬意を表したい。メディアもこの先もずーっと公平であってほしい。

 一方で肝心の肥薩線だが、実は奇しくも洪水災害1か月前にJR九州のTOPが赤字路線の肥薩線を何とかせんばいかん・・とコメントを出していた。それにこの豪雨災害だ。さぞ頭の痛い事だろうと心中をお察しする。九州管内で悪い方から二番目に大赤字の肥薩線だもの、廃線にしても本来は誰も文句を言えない。が、実はこの問題を解決するのはJR九州ではない。

 本来中心的に解決しなければいけないのは人吉市~球磨村など沿線住民、並びに肥薩線でやってくる観光客をあて込んでいる観光ビジネス関係者たちなのではないだろうか?


                            熊日新聞より。

 鉄道を捨て、車に頼り切っている人々に自分たちの車依存生活をちっとも改善しないでおいて「肥薩線の復旧を何とかして欲しい」と声高に言う権利はない。皆で乗り合う訳でもなく、たった一人の移動にさえ便利な車を駆使し、ガソリンを食って排ガスを出しながら、一方で「自然を大切に・・・」だの「肥薩線を是非復旧させて・・・」など唱えないで欲しい。

 筆者はこの肥薩線の復旧問題の根幹は、利用の恩恵を被る沿線地域住民の今後の具体的な行動に存在するものだと思っている。

 まずは、肥薩線の存在をJR九州が如何に苦労して今まで保持してきたかをデータで示していきたい。

八代市の人口約15万人に対し、八代駅・新八代駅の乗降客数が4千人/1日程度しかない事自体、このエリアの鉄道の存在が危ぶまれてもおかしくない状況だろう。 JR九州データ。

1日の乗降客数が1~200人レベルの「鉄道駅」の存在は普通では考えられない。
                             JR九州データ。

2018年に既に管内二番目の赤字路線になっている。 JR九州データ。



                       熊日新聞より。

 この記事は今回の球磨川豪雨災害の起こる約1か月前の記事。肥薩線・八代ー人吉間が九州管内で二番目に大きな赤字を生み出す「お荷物路線」だと報じている。これを何もせず無条件で「復旧させろ」というのはあまりな話だと思う。地元は具体的な知恵と行動が必要だろう。