2016年5月12日木曜日

デジタルカメラが野鳥の生態観察に有効なもう一つの理由! The another reason why a digital camera is effective for the habits observation of the wild bird!

 銀塩カメラの時代から野鳥の生態を撮影して居れば、もっと強く感じていたかもしれないのが、デジタルカメラの素晴らしさだ。

 筆者が野鳥を撮り始めたのには笑い話のような理由が存在する。
 2005年頃、小学校のクラス会が在って、野鳥観察が自慢の趣味という同級生と話をしている時に「我が家では隣が森でキツツキのドラミングが聴こえる・・・。」と言ったら、「新庄君!キツツキという鳥はいないのよっ!アカゲラとかアオゲラと言って、それぞれちゃんと名前が在るんだからねっ!」と優等生だった小学校の時のまま、勝ち誇ったような口調でピシャッと言われてしまった。

 少々ムカついたので、「じゃあ訊くが、英語のウッドペッカーは何と日本語に訳すんだい?キツツキじゃないの?ウッドペッカーと言っている外人にも同じ事を言うの?」とやり返した。これはこれで渋々白旗を上げた彼女だったが、「でもね?私は日本で観られる200種以上の野鳥を視たわっ!」と自慢するので、「視た記録とか証拠は?」と畳みかけて訊いたら「そんなものは無いわよ、でも視たの」如何にも団塊世代の典型という感じの会話が続くのだった。

 しかし、これが発端で、筆者は野鳥を単に見ただけではなく、その証拠を画像に残し、なおかつその特徴ある生態を色々学びたいと思ったのだ。有る意味彼女には感謝している。

 そうして、2006年から野鳥の撮影に嵌まり、更に2010年4月からヤマセミに嵌まってしまった訳だ。野鳥を趣味にする人は千差万別だ、数多くの種類を見る事に努力している人、珍しい種を観る事に努力している人、綺麗な写真を獲る事に努力している人・・・。目的も千差万別なら、バーダーも千差万別。
  
 そんな中で、ヤマセミという野鳥の論文レポートを作成するにあたって「証拠」を非常に重視する癖が付いてしまった。「~だろう、~だと思う。~らしい。」の類いは理系の『論文・レポート』にはご法度だ。つまり、データ画像なり音声といった証拠、あるいは調査データや表・グラフで説明が出来る事、あるいは過去の文献できちんと説明が出来る事のみで中身を作成しなければならないというものだ。人からの伝聞、報告も証拠が在る場合は採用し、証拠が無い情報は「参考支援情報」として処理することにした。

 例えば・・・が今日のブログの内容だ。

 2012年夏、川辺川で採餌したヤマセミが餌を口に咥え、落ち着いた所まで運ぶ途中でトビに獲物を横取りされた。幸運にもこの一部始終を撮影できた。 さらにそのヤマセミがその30分後に同じ場所で改めてダイブして採餌し、一度に2匹のオイカワを捕え、トビに横取りされた分の帳尻を合わせたのだ。これだけでも現場で膝がガクガクするほど感動し涙が出た。
 そうして、その内の一匹の獲物を飛んで来てねだるメスの為に岩の上に落として分け与えた。
 通説では岩の上に落ちた獲物には口を付けないはずのヤマセミのメスは、なんとそれを拾って食べた。これまた、それまでの常識を覆す生態で大変驚かされた。
 普通これだけ色々衝撃的な生態が連続で目の前で繰り広げられれば、観察者としてはこれ以上の幸運は無いと言って良いだろう。観察人生史上、最良の一日に入る事は間違いない。

 しかし、他人の成功を妬む人間の少なくない一部野鳥関連の団体などでは、必ず何処からか「そんなに物事が上手く行く訳はない、こいつ話を造ったに違いない!」と妬み羨み、でっち上げ呼ばわりする人も出てくるのだ。

 しかし最近は有り難い事に、この一部始終をデジタルカメラで得られた画像の詳細データを同時に掲載することで、でっち上げや嘘ではない事を証明できる。勿論「論文レポート」には別途メディアに入れた全てのオリジナルデータ画像を添付するのは言うまでもない。

 この点で、銀塩カメラの画像データに比べ、何時何処で撮影したデジタルデータのはっきりと出るデジカメ画像は役に立つ点で非常に素晴らしいと思うのだ。

トビがヤマセミを襲いヤマセミの咥えた獲物を放棄させ横取りをした瞬間。撮影した時間と撮影データがしっかりと残っている。これだけでも相当な生態の瞬間だと思うのだが・・。

 そのほぼ30分後、二匹の餌を咥えて岩に戻って来たさっきのヤマセミオスが収録されている。撮影場所が同じであることはオリジナル画像やその日の他の画像でも判るし、必要であれば最近はGPSデータを公開することでその撮影場所も特定できる。実際ヤマセミの事をよく理解していれば、1km以上の流域エリアを縄張り争いで守っているヤマセミなので、別の個体が新たに撮影エリアに侵入して採餌するなどという事が考えられない事くらい誰にでも判る。

この画像は2匹咥えた獲物の一匹を、メスが接近飛来するのを察し、口から外した瞬間が映っている。

 飛来したメスとオスの間に落とした餌物がかすかに映っている。この後続く連写の画像データにオスが獲物を呑み込むところと、メスが拾ったオスのプレゼント獲物を呑む場面が映っている。下の3枚のデータは皆同じ時刻(分単位)を示しているので、これらがあっという間の連続記録であることも判る。

これらから、デジカメの持つもう一つの有効性が判って頂けたと思う。