これで3年連続の訪問だが、今まで野鳥だけを撮影してきたのを、今年はせっかくだからセッカをこの満開のツクシイバラをバックに撮影してみようと思った。 いわゆる花鳥画の現代版?って事だろうか。
周りはツクシイバラが満開だから簡単だろうと思ってやってみたら、これがまた非常に難しかった。大体トゲの在るツクシイバラ自体に野鳥は留まらないのだ。実際にはツクシイバラの花株の群れの間の枯れた草の茎のてっぺんに留まる。しかもセッカはその枯草の頂上が二股もしくは三つ四つに分かれていないと留まってくれない。
しかし、こちらも東京から航空運賃と宿代を払って来ているのだ、手ぶらでは帰れない。そこで小一時間、セッカの行動パターンを観察した。ヒッヒッヒッと風に向かって上空へホバリングで上昇した後、ジュンジュンジュンと鳴きながら高速で無秩序に飛び回る。あちらと思えばまたこちら、上空から真下に見下ろせばその飛ぶエリアとパターンが読み取れようが、ツクシイバラの河原にいては無理。
しかし、しばらく見ていたら飛び方はめちゃくちゃだが、好んで留まる枯れ草は1~2か所決まっている事を発見!ヤマセミの採餌場と羽休めのポイントと同じだ。行き当たりばったりでは無いのだ。それさえ判れば準備はできる。ツクシイバラの咲いている塊を背景にその枯草を捕え、太陽の位置などを考えるとどうしても逆光の方角にしか撮影場所が無い。無造作に野生の薔薇の咲く河原とはいえマムシもいる深い草むらにカメラ機材を持って薔薇を痛めながらズンズン入る訳にもいかない。
こうして準備・観察から2時間。予想通りお目当ての枯草にセッカが2度ほど留まってくれた。その成果を少しご紹介。
普通、セッカはこういった枯草の頂上が幾つかに分かれている場所を好む。
今回はその枯草の遠い背景にツクシイバラが咲いている所を探した。
飛来して留まっても鳴き続けるセッカ。
此処は少し順光に近い場所。
こちらは斜め前からの準逆光。
いずれにせよ、相当絞って被写界深度を高めないと背景が何だかわからない。開放で撮る事が多い野鳥撮影で絞りを22だとか絞り込むのは自分にとっては非常に珍しい事だった。