2015年12月18日金曜日

コウライアイサの観察 その1。 Observation of the Scaly-sided merganser. Part1.

 今回ヤマセミの生態観察・撮影中に、日本では図鑑にも無い場合が多い、飛来記録もあまり多く無いコウライアイサという野鳥に出遭えた。既に現在は観察ポイントからは居なくなったようだが、また戻ってくるような気もする。あくまで目の前のヤマセミの観察中の副産物なので、そのコウライアイサが眼の前を行き来しても、わざわざそれを追いかけるようなことはしなかった。多分こちらの主目的のヤマセミの観察ポイントとコウライアイサの滞在領域が重なったのだろう。ある意味ラッキーだった。

 目に付いてから数日間、遭遇した観察ポイントにおいては何故か殆ど曇天か雨だったので画像的にはほとんどが確認画像に近いレベルの低いものだが、生態観察記録としては色々な事が視ててとれた。生まれて初めて遭遇した野鳥なので、眼の前の行動が通常のものなのか、たまたまこの時期だけのものなのか良く判らない。

 最初は11月24日対岸のヤマセミを三脚に装着していた500mm×1.4倍テレコン装着で撮影中、眼の前を飛んで横切った3羽の見慣れないカモ系の野鳥を撮影したのが最初だった。いずれも気が付いて慌てて追ったので後ろからの撮影になってしまっているが、主翼の付け根が幅広く白い、嘴の赤いカモ系は視た事がなかったのでとりあえずシャッターを押しておいたというもの。

 撮った事も忘れてその後2泊九州最南端エリアに移動、現場に戻った後、やはりヤマセミ観察ポイントで対岸附近にいる3羽を700mmと1000mmで撮影した画像がこの後出てくるコウライアイサの画像だ。撮れた画像は現場では確認せず、東京に戻って初めてパソコン上でゆっくり確認したためアップが今になった次第。

観光川下りの着船場で対岸のヤマセミと川下り舟をダブらせて撮影中に目の前を横切った3羽。

眼の前を行ったり来たりしていたが、唯一晴れていたこの日もう少し気にして撮影しておくのだった。やはり幅広く野鳥に関心を持つ必要があると反省しきり。

オスの若鳥と思われる個体。繁殖期前の今の時期はエクリプスといわれる出来損ないの状態?

リラックスして盛んに羽繕いをしていた。

他の2羽が雌の成鳥なのか若鳥なのかはよく判らない。

浅瀬での会話は結構長く続いた。

独特の体側班、英語名のScaly-sided merganserを思わせる模様を見せながら三羽並んだ時、偶然カワセミが3羽の後ろだか真上を横切って行ったが見向きもしなかった。

 6日間の観察でほぼ1kmの範囲を行ったりきたりしていたが、カモというより鵜の様な動きをする落ち着きの無い野鳥だった。採餌シーンも撮影したが、カモと違って水草ではなく小魚を捕らえて食していた、肉食系なのだ。川幅200mの流域を縦方向から見ていると、3羽まとまって飛翔するが飛び方は一直線ではなく、何かを避けるように左右に急速に振れて飛翔していた。普通のカモはこういう飛び方をしないと思うが・・・。ただこの時は土手に数台の観察車が停まっていて人が出入りしていたのでそれを避けたのかもしれない。

 他の野鳥のようにジーッとしていないが、警戒心も強いようだった。こちらは常に200m離れてなおかつ車の中からなので画像的にはレベルが低いものの、自然の状態の姿を撮れていると思う。2度ほどカメラを持って近寄る者が、コウライアイサどころかあたりの水鳥全てを飛ばしてしまう場面を撮影したが、野鳥への接し方に関しては完全に素人さんだろうと思う。

連日3時間ほど数箇所で同じ場所に停車したまま、ヤマセミを観察・撮影。50-500mmのヤマセミ用とは別に、1000mmのコウライアイサ用のセットを助手席に置いて、時々対岸のコウライアイサを撮影という忙しい観察が続いた。この間何度も対岸や後ろの道路を横切るコウライアイサを探しているだろうと思われるカメラマンの車が数台居たが、殆ど地元でも見慣れぬ県内ナンバーだったり、複数の隣接県ナンバー車だった。しかし隣接県のナンバーの方が多かったのには驚かされた。

この後、採餌シーン、交尾前の行動と思われる追いかけっこのシーン、飛翔シーン等順々にアップしたい。なお、高画素の詳細画像版は今日のものを含めて、今後もFacebookの文化人類学アートグループのメンバーホルダーにアップさせて頂く予定。