大型で非常に強い台風11号が急加速して日本海を北上していった。それに伴って昨日の東京都心も亜熱帯のくっきりとした雲で覆われ、空全体が高速で北東方向へ動くのを感じられた。
台風と言えば2年前、豪雨災害(台風ではなかったが)で大きな被害を出した熊本県の球磨川流域に今回大きな被害が無くてホッとした。
我が国における数少ないヤマセミの観察が可能な都市=人吉市では前回豪雨災害からの完全回復は不可能な様で、街中至る所で建物が無くなり空き地に成ったままだ。肥薩線に至っては、利用頻度を考えた時鉄道での回復の可能性は50%以下かも知れない。
人吉・球磨エリアはいつまた同じ被害に遭わないとも限らない地形・地勢だけに、建物を再建しても、また同じような被害に遭うのではないだろうかというトラウマで、事が前に進まないのだろう。
地元メディアは「頑張るんだ!」という前向きな市民の行動・活動を報じ、「元気に再起動する姿」を盛り上げているが、洪水に関する市の中心部におけるハザードマップは以前と全く変っていない。地形がモノ言うハザードマップはそう簡単には変わらない。
要は、もともとハザードマップを観れば豪雨時、球磨川及びその支流の氾濫で3~5m水没するエリアが街のど真ん中に在るのだから、2020年の災害が100年に一度ではない事は地元民は行政・市民を含めて皆さん良く知っている。
そのくせ筆者がヤマセミ観察や健康診断などで公私共にさんざんお世話に在っている辻先生の医院など、ハザードマップの一番水深危険度が高いエリアにありながら建築会社設計士は平屋建てで設計している。ハザードマップなど在っても全く意味をなしていない。
本来であれば市の建築許可を出すセクションが、ハザードマップを元に注意なり制限を指導すべき立場にあったのではないのか?
完成して、我が事のように嬉しくて、お祝いに行ったにもかかわらず水没してしまい、1年も持たなかったのが返す返すも悔やまれてならない。お気の毒の極みだ。
本気で市の復活を成すためには、まず根本的な行政マンの頭の中の大改造が必要だと思う。市を上げて3.11東日本大震災後の水没エリアと同じ規模の大改造を行う覚悟が必要ではないだろうか?
再興に向けての祭りや会合や決起集会も勿論良いが、町の中心部5mかさ上げ高地化だとか、増水時に町中住民の高層ビル分散避難のシステム作りなど「個々避難ではない、運命共同体としての隣人協力避難体制」など、もっと具体的・物理的にやる事はいくらでもあるだろうと思う。
流水型だろうが何だろうが、防災治水対策が単純に川辺川ダム頼みのみでは、球磨川上流方向・白髪岳・市房山方面に2020年同様の豪雨降水があった場合、全く前回と同じ事が起きる事は火を見るより明らかだ。
川辺川ダムというものは建設される位置関係からして、川辺川ダム上流部の豪雨に関してしか効果が無いのだという事を、メディアも地元も行政ももっと強く認識すべきではないだろうか?雨がどこに集中して降るかは決して決まっていないのだ。
2020年の総括で本当に川辺川ダムが有ったら人吉市の水没は無かったと思っているのだろうか?まさかとは思うが。
熊日新聞が掲載した2020年7月4日早朝の球磨川・川辺川流域各地の降水量グラフ。これをきちんと精査した専門家が熊本県なり全国に居るのだろうか?そうしてその結果が川辺川ダムなのだろうか?
http://yamasemiweb.blogspot.com/2020/10/4consider-restoration-of-new-hisatsu.html
話が暗くなったが、ヤマセミの話に戻ろう。今日のは2日前の続編と言って良い。
人吉市の山奥の山荘で、陽が昇る1時間以上前から館の外周をぐるぐる飛び回るヤマセミの夫婦の証拠画像。