何を言いたいかというと、ダーティ・ハリー、アンタッチャブル、刑事コロンボ、最近では人気TVシリーズのNCISネイビー犯罪捜査班、LAW & ORDERなど米国の刑事や犯罪捜査関連のシリーズで青春時代を過ごした団塊世代が今ハマって居るのが英国製の刑事物ドラマだという。
国が違えば、法的ルールや捜査方法、常識が違う。刑事そのものの日常もドーナツが大好物の米国の巡査や刑事に比べ、直ぐパブでビールを飲む英国の刑事など観ていてその文化の差に驚かされるばかりだ。
やたら「Fuck!=ファック」と叫ぶ米国の刑事に対し、「Bloody!=ブラディ」時には「Bloody Hell !」と罵る英国の刑事の違い。この辺りを如実に感じさせてくれるのが、英国まで犯人引き取りに出張したジョン・ウエインの刑事ブラニガンだった・・・って、映画評論を此処でするつもりは毛頭ない。
NHK BSで口火を切ったようだが、BS衛星放送やCSケーブルテレビ網の発達で、今まで目に出来なかったような英国BBC制作の優れた刑事物が日本でも観られるようになって筆者もハマった。
毎週シリーズで展開するアメリカの刑事物シリーズと異なって、英国の刑事物は年間3~4本しか制作しないので、一本が普通の映画並みのきめ細かさで製作されている。
時代背景的に見て行くと、第二次世界大戦の戦中に始まる「刑事フォイル」、1960年代初期の「新米刑事モース=エンデバー」、1960年代後半~80年代の「主任警部モース」、1964年~68年頃の英国を背景とした「ジョージ・ジェントリー」、1970~90年代の背景であのヘレン・ミレン主役で人気の「第一容疑者~女捜査官テニスン」その後携帯電話が出来てからの「ルイス警部」、最近の英国背景の「DCIバンクス」「刑事ヴァランダー」「シェトランド」「シャーロック・ホームズ」など英国の男優の出世作に成っている作品も多い様だ。
昔から伝説的な英国探偵もの、シャーロック・ホームズや探偵ポワロなどとは異なり、現代の実際ありそうな話の英国ミステリーはなかなか面白い。
主にこれらは英国流で年間3作程度しか制作されないのでじっくり楽しむ作品群だ。それにしても英国はこの手の落ち着いたドラマが多いのが非常に印象的だ。丹念に撮影し、背景のカントリーの美しさがCG多用の米国物と大きく違う魅力を出していると思うがどうだろう?
最近アメリカでもこの流れに乗じた年間数作しか発表しないスタイルで「ジェシー・ストーン」というスコットランド系アメリカ人俳優トム・セレクを主人公にした素晴らしい刑事物が出ている。撮影もカナダの東北部で行い、超スローテンポで物語が展開し、愛犬ゴールデン・レトリバーが非常に大きな位置を占めている情緒的なドラマで全9作。全てDVD収録して時折見返している。3回見てやっと判った部分などもあり、その撮影手法や音楽の入れ方など団塊世代に非常に適した秀作だと思う。
あまたある英国のミステリー系ドラマ、今後もますます目が離せない。まとめの様な推薦サイトが有ったのでご紹介。
https://kaigai-drama-board.com/posts/15191?p=1
第二次世界大戦~戦後のMI6創成期までの事件を扱う。主人公役のマイケル・キッチンが1948年10月英国レスター生まれというのも、非常に団塊世代にとって近しい存在だろう。全28話録画済だ。
「オックスフォード事件簿・新米刑事モース」は後に1987年~2000年放送の長いシリーズ33作になる「主任警部モース」のスピンオフ作品。 時代背景はそのモースの若かりし頃の1960年代初頭~60年代中期の話。日本ではまだ15作しか発表されていないが全て録画した。
1964~70年頃が時代背景で25本製作された。これは英国でも時代描写が正確だという事は筆者も確認している。例えば1964年の容疑者尋問シーンで、昨日のBBCの夜のヒットパレードの1位は何だった?と刑事が訊くと「ジェリー&ペースメーカーズのIt's gonna be all rightだった。」と答える辺り、団塊世代にとって涙物のドラマだ。
いずれもYoutube
「主任警部モース」オックスフォードという学園都市でこれだけ多くの殺人事件がある事自体設定がおかしくないか?と思うのだが、年間3本程度なので実際的にはおかしくない。
毎回老中や大名が切腹したり成敗される「暴れん坊将軍」よりはまともだろう。あの調子で年間50名以上の幕閣が死んでは江戸幕府も持つわけないと思うが・・・これは冗談。
モースの下でサポートしていたルイスが、モースの死後の活躍する様をシリーズ化したもの。部下のハサウェイの頭の良さととぼけた様が大人気に成っているようだ。このハサウェイ役のローレンス・フォックスは父親が有名なジェームス・フォックスで、知っている人も多いだろう。このルイス役のケヴィン・ウェイトリーがビートルズのポール・マッカートニーに非常に良く似ているのも団塊世代には受けるのかも。
ヘレン・ミレンが主役という贅沢な女刑事物。ハリウッド映画の新聞社の幹部役で「Bloody Newspaper !」と叫んでいた彼女が主役なのだから面白い事この上ない。
熱血漢刑事と言えばこのバンクスを忘れる訳にはいかない。魅力たっぷり野心も自信もたっぷりの英国女性を部下にして、苦労の多い孤独な刑事を演じている。
これらの英国のムーブメントを受けて企画されたのだろう、米国製英国風刑事物、「ジェシィ・ストーン」とにかく英国のドラマの上を行っているのではないかと思われる秀作全9作だ。是非CSTVでAXNミステリーやシネフィルWOWOW辺りでご覧になって頂きたい。
CG多用で展開の速いハリウッド映画に飽きたら、映画本来の地に足の着いた英国ミステリーを楽しむのが良かろうと思う次第。