2022年8月17日水曜日

ブログ開始から10年目に入って団塊世代が考える写真撮影について・・#10。 After 10 years since this blog started , baby boomers think about photography again #10.

 野鳥撮影に関してのルールとマナーを簡単に考えないで欲しい。

   ネットを観ていて、珍しくカメラ雑誌が「風景や野鳥撮影に関するルールやマナー」に関して記事を載せていた情報を見つけたので、気になって買ってみた。(=2017年の話)
2017年8月号のアサヒカメラ ※アサヒカメラは2020年廃刊終了。

 基本的に筆者の場合、ヤマセミを中心にその生態画像を証拠データとして残すための撮影なので、心を打つ良い写真だとか、コンテストと言った類からは遠い所に居る。
 心を打つ写真やコンテストに入賞する写真撮影に関して、筆者はセンスも無いし技量も無いのでこの先も縁が無いと思う。

 しかし、たとえばアマチュア写真コンテストや投稿マニアが野鳥を撮影する現場での条件はヤマセミを追う筆者も一緒だし、一般の人達から見ればどちらも同じに見える事だろう。だからこそ有名なカメラ雑誌がどのような事を記事にしているのか気になった訳だ。 どれほど編集者が野鳥に対峙した現場でシャッターチャンスを待っている我々の事を理解しているのか、知りたくもあった。
特集扉ページ(部分)アサヒカメラ8月号

野鳥撮影の部分抜粋 アサヒカメラ8月号

 読んでみて、案の定浅い取材とイージーな考えで書かれた記事で非常に残念だった。

 筆者が日頃から思うに、本来基本的にはカメラメーカーがこの類に関してもっと啓蒙活動を行うべきだと思っている。しかしモノづくりのメーカーは購買者が自社製品を買った後に行う事に関してはほとんど関知しない。

 スマホを買ったものが盗撮してもそのスマホのメーカーは関知しないし、自動車メーカーは駐車違反に関して責を追わない。

 自転車メーカーは駅前放置自転車や違反走行に関して一切の責を追わないし、あくまで購入者の責任の問題なので撲滅しようと製造メーカーは啓蒙活動すら行わない。やっているかもしれないが、筆者は一度も目にしたことが無い。

 カメラメーカーも一緒だ。勿論そのカメラの販売促進・広告宣伝に最大の役割を果たしている有名カメラ雑誌も全く同じだ。更には野鳥撮影ファンがバイブル的に購読している野鳥撮影雑誌なども、野鳥撮影熱をどんどんヒートアップさせる事に伴う弊害・トラブルに関しては無関心過ぎる程だと思っている。

 たまにルールマナーを守ろうとアピールはするものの、カラスとヤツガシラをその特異性や地域性を全く考えず、同じに考えた具体性に欠けたルールやマナーを一体だれが守るのだ?
 具体性に欠けたアピールはしないのと一緒だ。一応やっていない訳では無い・・・程度のアリバイ提案など、底が見えている。

 今回の記事ではないが、最近の野鳥撮影ファンがヒートアップする原因はたったの2つしかない。その具体例と共に述べてみたい。

   人に褒められたい、撮った写真を凄いと言ってもらいたい。
    撮影した写真を簡易アルバムに入れ持ち歩き見せびらかす。

    さらに真剣に撮影している横で「ほら見て」と撮影の邪魔をする。

  自分が手に入れた最新式の高級カメラの自慢を始める。

    撮影現場で周りの人たちに長々とうんちくを語る。著明な写真家を「俺に言わせれば・・・」とこき下ろす。

⑤ 偶然珍しい野鳥に出遭え、運よくシャッターチャンスに恵まれ、カメラの機能が高くなり、プロ顔負けの写真が撮れたりするものだから、「俺はプロ並みの撮影が出来るんだ!」と写真集は買わずに自分で撮る!とフィールドに出る頻度が増え、より行動的になる。

  人に出来て自分に出来ない事が有るとやっかむ、妬む、邪魔をする、攻撃する。
    自分だけ珍しい旅鳥に出遭い損ねると、それを見つけた人、撮った人達をたとえ仲間でも妬んで攻撃する。

    自分より上位機種で秒間シャッターコマ数が多いカメラで撮影する者が横に居ると「連写音がうるさい!」と現場で文句をいう。

    撮影ポイントに三脚だけ置いて場所取りをし、仲間で独占する。被写体の野鳥と同じで、群れを作り、縄張りを持とうとする。本当に優れた野鳥撮影者は群れない。単独行だ。

    県外ナンバー車などよそ者を排除し、旅鳥・珍鳥を撮影させまいと排除する動きに出る。※北関東や熊本県の一部干拓地だけかもしれないが。

 今回のカメラ雑誌において野鳥撮影の部分に関しては、野鳥団体の方がコメントを載せ、マナーに関して7カ条を提唱しているが、これが結構問題なのだ。

 今まで述べた様な深層の部分には全然触れずに表面的な事だけで記事をまとめている気がしてしょうがなかった。

 コメントを掲載している方は、野鳥団体としての立場上コメントされていて、多分現場で野鳥撮影をご自分であまりなさらない方のように見受けられる。

 やはり毎日とは言わぬが年中野鳥撮影をされて、写真集、雑誌へ投稿されたり、SNSで情報発信されている方でなければこの手の問題の根幹までは掘り下げられないだろう。是非そういう方々の解決方法などご意見を聞いてみたいと思うのだが如何だろう?

 一方で、野鳥団体と表裏一体で多くの野鳥撮影ファンの購読している月刊誌が、どれだけこういったマナーに沿っていない画像を沢山掲載しているか、その矛盾が良く判ろう。

 野鳥撮影ファンは、こういった野鳥撮影者のバイブルのような雑誌を見て読んで学ぶのだ。良い写真をたくさん見て「さあ、自分も!」と、真似をするのだ。 

 その意味では筆者も常々素晴らしい画像の数々に心を打たれ感動している。だからこそ定期購読している。

 一方でルールやマナーを声高に唱えつつ、野鳥団体は雑誌が掲載する野鳥写真に関しては何の異論も唱えていない。此処に野鳥団体のルール・マナー提唱の軽さが見えてしょうがないのだが如何だろう?

 例えば、繁殖期の親子、子育て、の画像はネットやブログ、あるいは自費出版の写真集には載せるなというが、ビジネスで発行しお金を取って売っている雑誌や本であれば良いのか? 職業として野鳥撮影をしているプロなら良いのか?


 野鳥団体の機関誌に限らず、一般のメディアにすら掲載されている繁殖時の写真。ツバメは良くてヤマセミはダメなのか?何故・・・。

読者投稿の画像、巣立ち直後のエナガのヒナたち。

BIRDERの北海道特集扉ページ 見れば誰でも同じような写真を目指すだろう?

同上、アマチュアだろうが何だろうが、撮りたくなるに決まっている。

同上、

 ストロボを焚いて野鳥にショックを与えるな・・・これは勿論良く判る、当然の事だ。筆者はヤマセミの生態を10年観察研究しているが、一度もこれだけは行わない。しかしビジネスで発行している野鳥雑誌なら良いのだろうか?
 こういった繁殖行動に影響する画像は野鳥雑誌やカメラ雑誌に投稿するプロカメラマンなら撮影しても良いのか?
 これが学術的掲載根拠が在って、鳥類研究に関する論文の資料画像であれば別だが、野鳥撮影ファンに売って利益を上げるビジネス目的の雑誌であることは明らかなのだ。

 普通では撮れないこういう画像を掲載しておいて、「野鳥撮影雑誌なんだから良いだろう?我々メディアは特権階級なのだ・・。」的なおごり・上から目線的な匂いがしてしょうがない。

こういう画像で野鳥撮影ファンをヒートアップさせておいて、一方でルール・マナーを一般のファンだけに守れというのは、あまりにも勝手で不公平過ぎないか?

※このブログは2017年7月23日に投稿したものをベースにしている。この3年後アサヒカメラは廃刊になってしまった。残念な事だ。
ネット、SNSが発達しペーパー雑誌は衰退の一途だ。