2018年3月2日金曜日

番外編その2・団塊世代は、棚田にもいろいろな魅力があろうと考えた。 Special issue Part 2. Baby-boom generation thinks "There are many faces in Rice terraces."

 棚田だらけの長崎県から、同じ九州でも大都会に類される北九州小倉へ移動して、まだあまり皆が知らない棚田を探してみた。

 野鳥撮影の愛好家の中には出遭えない野鳥種や、ある季節のごく限られた時だけ渡りの途中で数日間顔を見せる旅鳥の情報を仲間から得て撮影に奔走するバーダーさんたちが数多くいる。

 これと同じで、どこそこの棚田がコンテストで入賞したらしい、早朝の朝焼けが良いらしい、いや夕陽が海に沈むのと同時に棚田が赤く染まる頃が最高なのだが足の便が悪くて・・・。などなど、人の情報で良いモチーフに殺到する写真撮影愛好家が多いようだ。

 しかし、これも忍野からの富士山が綺麗だと有名になると、皆が殺到して同じ絵を撮るのと似ている。ダイアモンド富士にしてもしかり。誰が撮っても富士山のてっぺんに朝陽や夕陽、たまに満月が載っている同じ様な画像だ、撮影場所によって多少太陽や月の直径と富士山頂の幅に差が出るくらいだろう。

 繰り返すが棚田の魅力は色々ある。規模が凄いのもあるだろう。海外特にヒマラヤ・ネパール辺りの山岳地帯の棚田は気が遠くなるようなものが存在すると、佐藤秀明さんの紀行写真から学んだ。自分には死ぬまでお目に掛かれそうもない被写体だ。

 一方で、規模は小さいが、その棚田の持つ季節ごとの顔を画像に記録する方法でその魅力を表現する事も可能だと思うがどうだろう?
 棚田で10日間作業して感じた。稲を刈り取る前と刈った後の棚田の表情は全然違う。今まで林や荒れ地だった場所が、ある日突然宅地造成されてしまったような変化にも似ている。

 少しこれを実践してみようと思い、大都会北九州の小倉に在る棚田をバスに乗って探索してみた。勿論事前にGoogleマップで事前調査を行っての話。2時間に一本もバス便が無いエリアだが、だからこそ人が来ない人知れぬ隠れたエリアなのだ。目論見は半分は成功、半分はまだまだという感じだったが、また行こうと思う。
小倉駅からバスで行ける棚田の一つ、夏の終わりころ台風通過で波打つ棚田の稲。黄緑色が眩しかった。

1か月後、同じ場所に行ってみたら前回気配も見せなかった曼珠沙華が満開。同じ場所でこうも表情が違うのかと驚かされた。

真夏は色に変化が乏しいが、自然の花は間違いなく時の流れを教えて呉れよう。8月に咲く白いニラの花。

同じ場所に2週間後行ってみたらもう違う花が主役に成っていた。

クスノキに卵を産むアオスジアゲハも棚田の花に蜜を吸いに来る。

なぜか、この赤い花と青空を観たら日本初のカラー映画、高峰秀子さん主演の「カルメン故郷に帰る」を想い出してしまった。

 棚田だからこそ曼珠沙華が多い。畦に植えて通路を固める。その昔、根っこのリコピン毒を水でさらし、団子にして飢饉をしのいだという、農家には必需品だったと聞く。