アカショウビンはバードウォッチャーであれば誰しもが実際に視てみたい、画像に収めたい野鳥の一つだろう。このほかにもヤイロチョウだのヤツガシラだの渡り鳥、旅鳥が居るがこれらに出遭うには、余程知り合いからの情報(口コミしかない)が無ければまず不可能に近い。
しかし、熊本県、宮崎県や鹿児島県(奄美諸島などを含む)と云った日本の西南端の県や沖縄県本島、南西諸島、にはリュウキュウアカショウビンという亜種(同属の似たような種)を含み遥かに飛来数が多いからそこへ行けばいいのに、手近な場所で遭おうとするから長野県の戸隠の様な状態が生まれる。
戸隠がどの様な状況かはGoogleでもYahooでも「アカショウビン」と入れて検索すれば出だしの半分はこれらの騒動の事が出ている。つまり野鳥撮影のアマチュアカメラマンたちが我も我もと押し寄せ、戸隠植物公園内の木道は逸脱するは、土手は崩すわ、脇道の高山植物は踏み荒らすはで大変な状態になるらしい。
営巣して居る所まで25mを切って平気で三脚を構えるアマチュアカメラマンや人より一歩でも前に出て撮ろうと喧嘩・怒号は絶えず起こるらしい。芸能人のすっぱ抜き記者会見のあの野獣と化したレポーター、カメラマンたちより酷いという。これも皆、オイラ、あのアカショウビンを撮ったぞー!と言いたい、自慢したい、羨ましがらせたい・・という優越感を求めての結果なのだろう。やれ紅葉と言えば京都・奈良に行く、桜と言えば、どこどこの枝垂桜、津軽城の桜を撮らなきゃ!というのと何ら変わらないと思う。
アカショウビンに限らず、珍しい野鳥が飛来した時は発見者が一番偉いし、すべての情報発信の権限を持っている。同時にその珍しい野鳥の生態・生活を邪魔しない限度を推し量って何名位の人間がどの程度の頻度で観察できそうかも決めて、幸運にも情報を貰った人間は全てその第一発見者の指示に従うのがあたりまえだと認識している。
以前、九州南部のある私有地にアカショウビンやヤツガシラより遥かに珍しい野鳥が飛来した事が有ったという。その際、その観察場所には2名以上の人が入れない危険な観察スペースだった為、限られた人間にだけ情報を流し数名のみが貴重な画像を撮影できた事が有ったと聞く。状況を考えれば至極当然の事だと思う。これなど観たい撮りたい人は数百人以上いるから情報が広まった時点で大騒ぎ・大事件になったであろう事は想像に難くない。それより人間の気配に気が付いて当の野鳥君は一発で何処かへ居なくなってしまったであろう。
Rubby Kingfisher in Somewhere in Japan, 2012. Photo by Shunichi Kawasaki
地元の巨匠、川崎俊一氏の撮影によるアカショウビン. この筆者もまだ生声だけは間近で聴いたものの、姿を生では視た事が無い、数年のうちには何とかお目に掛かりたいものだ。奄美諸島か沖縄本島のやんばるの森か石垣島、西表島にでも行こうかと本気で思っている。特に西表島ならカンムリワシも居よう。他の珍しい野鳥も多いと聞く。一方、石垣島は1990年に3泊ほどしたが、車の前をクイナの種類が数度横切ったのを記憶している。まだその当時は野鳥撮影を始めていなかったので、今だったら大騒ぎで撮影していると思う。石垣、西表のベストシーズンはいつだろう?