■野鳥の撮影について その1.
今までは、普通の「被写体」を限定しない撮影に関して述べた。この先はこのWEBサイトのヤマセミには限定しないが野鳥全般に関しての撮影について述べたい。本サイトの基本的理念にも通ずる私の野鳥撮影に関する姿勢だが、人より多くの野鳥を撮影したい、あるいは他の人がまだあまり撮影できていない珍しい野鳥を撮影したい・・・という願望は殆どと言って良いほど無い。
基本的に前にも述べたとおり、野鳥は航空機と同じで、空を飛んでいる時が一番美しいと思っている。その他採餌の為の行動、野鳥の野生生活の中での動きやしぐさが美しいと考えているのでただ木々に留まっている画像だけでは納得できない。
当然、生活の一瞬を撮影し、その行動の背景・意味を撮影後の画像を分析するのが楽しいのだから、綺麗な画像を収録する事より意味の有る瞬間を切り取る方が遥かに重要だと思っている。
だからノートリ(=ノートリミングの意、鳥がいないという意味ではない)などと自慢げな画像は意味が無い。ノートリの意味は、其れだけ近くに写せる高価なカメラ機材を持っている・・と言う自慢か、其れだけ被写体の傍に寄れたぞ・・という自慢以外の何ものでもない。高速で不規則に飛ぶ野鳥を画面の真ん中にジャストピントでノートリで捕えた画像が撮れたとしても、喜ぶのは当然だろうが、決して自慢する事ではないと思う・・・。
野鳥の撮影をし始めた当初は、近所の野川に行けば必ず居るカワセミを撮るのが恒例になっていた。川の草木に留まっている姿や、ホバリングの最中羽ばたきながらも空中停止している姿を捉えて喜んでいたが、すぐに飽きて狭い水路を高速で飛ぶ姿を何とか撮ろうと努力した。しかしこれが成功するまでには相当な鍛錬と努力の時間が必要だった。
まず、基本的に野鳥を撮るには明るい望遠レンズ、其れも焦点距離の長い(=倍率の高い)超望遠レンズでしか撮影できないと思い込んでいた。これが間違っている事に気が付くのに半年ほど掛かった。だから、OLYMPUSの様なフォーサーズ系のカメラ(望遠レンズが倍の焦点距離になる・500mmだと1000mm相当になる)あるいはAPSーC系だとCANONの場合1.6倍になる(500mm=800mm相当)になるのがメリットだと思い込んでいた。多少重たくても我慢して
しかし・・・
焦点距離が長ければ長いほど大きくは写るが、被写体の野鳥が画面にちゃんと入るまで時間が掛かる、AF(=オートフォーカス・自動ピント合わせ機能)が焦点を合わすのに時間が掛かる。木々の間から向こうの空が見え隠れする背景だとAFが迷っていつまでもピントが合わない場合が有る。
カワセミが水面を高速で飛ぶ姿を映すには、これらの勘違いが大きく自分の前に立ちはだかって邪魔をしていたのに気が付くのに1年!気合入れてカメラとレンズで3kgを右手で取り回したおかげで早々に上腕骨外側上顆炎(テニスエルボー)になってしまった。
2006年自宅そばの野川で撮影した最初のカワセミの飛翔、右端にちょっと。
フォーサーズ・200mm(実効400mm)
2013年同じ野川で撮影したカワセミの飛翔、画面真ん中に
同日、ダイブの瞬間追い写しフルサイズ500mmZOOM
2006年から7年間の間にOLYMPUS Eシリーズ、Canon 7D、
Canon5D‐MarkⅢと変わったが、機材の変化と同様撮影の訓練・技量
も変化し続けた。