2018年5月18日金曜日

ヤマセミの生態観察・撮影は実は非常に難しい。 Photographing ecology of Crested kingfisher is so much difficult.

 色々なサイトを観ていると、ヤマセミの採餌ダイブや求愛給餌などの素晴らしい画像を、同好の士の方々がブログに投稿されたり写真展に出品されたりされている。
 皆さん苦労されて撮影したものと推察する。

 日本各地に生息しているヤマセミだが、やはり相当警戒心が強く長い下積みを繰り返さないと、なかなか生態写真ともなると難しいのが実情だろう。ただ撮るのと異なって、何かをしている場面、意味のある生態の証拠画像として撮影する場合はそのタイミングを外してしまえば、「ただのヤマセミが居た!」だけの写真になってしまう。

 先日も仲の良い野鳥撮影愛好家、それもヤマセミを中心に撮影されている方を営巣中の場所へご案内してみたが、巣穴への出入りがほとんど判らなかったという。距離60m車の中から逆光をついての観察だったのだが、やはり初めてでは難しいのだろう。まず巣穴に入るのを予測できない。動体視力が高くないと難しいのと、数日頑張ってタイミングや行動パターン等に慣れてからカメラを向けないと難しいのかもしれない。ただ巣穴の目の前でカメラを横に置いて待っていても、まず巣穴の出入りの撮影は出来ないだろう。

 此処で断っておくが、決してヤマセミの営巣に何らかの影響が出るような撮影方法は取っていない。巣穴から6~70離れた車の中からブラインドネットを下げての慎重な撮影方法を取っている。過去5年間に5回の営巣観察(すべて違う場所)を行い、データ収集したが
何らかの悪い影響を与えたことは一度もない。全て見事に巣立っていった。

 営巣観察と撮影に戻ると・・・、営巣中の巣穴にヒナが5羽いたとしても、通常は1日に5回の給餌出入りしかないので、そのチャンスを逃せばまた翌日という事になる。ヤマセミの生態観察撮影には豊富な経験と非常に長い下積みが必要なのだ。ヤマセミ自体出遭い難い野鳥だけに、更に難しいという事になる。

 今の時期、営巣中のヤマセミはとにかく必死だ。特に初めての繁殖の場合のカップルは更にナーバスであり、間違いを繰り返してしまう。

 今回熊本県南部・球磨郡の峡谷部で観察中の営巣ヤマセミはどうやら初めての繁殖らしく、メスなどは大慌てで、色々なドジを繰り返している。シラスの壁面に古い巣穴含めて5個も開いているのだが、観ていただけで2度も穴を間違えて入ってしまった。
 出てくる際もばつが悪そうに照れが見て取れた様な気がする。

 二度目は、入り口でとどまり、中へ入らずしばらくボー然としている状況が連写のコマ数からも見て取れる。「またやっちまった!」とでも思っているのだろうか?野生動物が愕然とする様など滅多に見られるものではない。我が家のペットとは訳が違うのだ。
巣穴を間違えて数秒間とどまって初めて気が付いたメスのヤマセミ。既に給餌時期は終わり巣立ちを促そうと入った場所が隣の穴だった訳だ。数日前このメスは餌を咥えてこの穴に入ろうとしたのを筆者はしっかりと覚えている。画像も動画も在る!

ヤマセミ、海外遠征エジプト編?みたいな球磨エリアで最大のシラズ壁(幅120m)

大きな壁だけに歴代の巣穴があちこちに開いている。

普通は間違えずに古い巣穴の前は通り抜けるのだが・・・。

ドジなヤマセミのメス、ことのほか親しみが沸いてしまう。

壁の反対側は大きな竹林、あの細筍を採取しシマヘビに攻撃された場所だ。

ここ最近凝っているスローシャッターでのヤマセミ生態画像、少しでもスピードを感じて頂ければ嬉しい。