冬の八ヶ岳高原の中腹に滞在していた時、買い出しに麓の街まで車で下る途中、上空を二羽の大きな野鳥が動いているのが見えた。良く視るとカラスとトビの追いかけ合いだったので、いつものカラスがトビにちょっかいを出しているのだろうと思っていたがどうも様子がおかしい。
球磨川流域でも人吉市内繊月橋下流の矢黒の淵辺りで、カラスが2~3羽でトビを追い回しているが良く観られる。たいがい繁殖シーズンなのだが、それ以外はミサゴが獲物を抱えて飛んでいる所を襲って横取りしようとしたり、トビが魚の死骸を抱えて飛ぶ場面を横取りしようと追跡する場面ばかりだった。
しかしこの真冬の八ヶ岳はいつもと様子が違った。完全にカラスが逃げ回っているのだ。車から降りてカメラを構えた瞬間最後の攻撃が行われ、上空でカラスを捉えたトビが雪原にもつれ合うように落下した。雪原のブッシュの奥に落下したのでその後どうなったか判らないが10分経っても再び現れなかったのでどうなったのか・・・。
トビはどちらかというと急降下で餌を追う姿などは印象に無く、漁港で死魚を漁ったり、江ノ島で観光客のハンバーガーをかすめ取ったり、凛々しいはずの猛禽類にはあるまじき品の無さで2流の猛禽類といったイメージが有る。しかし今回ばかりは都会では観られない獰猛なシーンを目の当たりにして少し見直した気分だった。
The black kite looks like a brighter color by a snowy reflection.
雪原の雪に照らされていつもより明るい色のトビ。都会や海岸の茶色のかたまりといった印象ではなく、別の種の猛禽類ではないかと思うほどの色合いだ。
The black kite attacks a crow Part 1.
何度か威嚇した後、それまでとは違うスピードで追い始めたトビ。
The black kite attacks a crow Part 2. After this they fell to the snowy field with tangling.
カラスとトビの追いかけ合いは結局のところ痛み分けというのがお約束だったような気がしていたが、この時は「そうではない事も有るのだ!」と驚かされたシーンだった。もつれ合って落ちる場面はただの塊なので画像的には野鳥2羽に見えない。
Yatsugatake Highland in winter.
最終的に2羽が落下した方向の八ヶ岳連峰。冬季から早春にかけて雪原をバックに色々な野鳥の撮影ができるお気に入りの場所だ。このエリアの野鳥だけを観察撮影した野鳥写真集も発行されている。別荘が多いエリアでもある。