2014年7月27日日曜日

「団塊世代のヤマセミ狂い外伝 番外編#1.」 2014道東探鳥ツアー その1。

今年の関東甲信越地方梅雨明けの直前7月21日(月)、一日一便しかないANAの羽田―中標津路線で根室・中標津空港に向かった。本来梅雨明けと同時に信州霧ケ峰の八島湿原へ夏鳥の撮影に向かおうと予定していたのだ。しかし7月15日に目黒線不動前にある日本野鳥の会本部に行った時に、専門家に聴き込んだ北海道道東の夏鳥の話で一気に頭の中に2008年に行った霧多布湿原の景色が広がってしまった。

残り少ないANAのマイレージ無料航空券の枠で、この夏休み開始時期を押さえられるか否か不安だったが、意外にもすんなりと5泊6日の行程を押さえる事が出来た。ブッキングも日本野鳥の会本部のスタッフのアドバイスが芋づる式に良い結果を生んだ。宿泊先の根室市内民宿オーナーが野鳥観察のベテランでネイチャークルーズの関係者。なおかつ落石ネイチャークルーズ船のメインのガイド兼、道東の野鳥観察に命を懸けている先駆者がその宿に常駐・生活しているといったこれ以上ない幸運に恵まれた。

1980年から25年以上ウインドサーフィンで湘南やハワイ・マウイの海に出ていた経験から、自然相手の計画は3日間の余裕を見るべしと思い、事前に電話予約を入れる際に7月22日から3日連続、25日を予備日とした。乗船した落石ネイチャークルーズは非常に良くコントロールされたシステムだった。特に海鳥を撮影したい野鳥ファンにとってはこれ以上のサービス機関は国内には無いと言って良い。九州などでは離れ島に20分乗って渡るだけでも¥3,000円かかるのに、2時間強の海鳥捜索+発見ナビゲーション、並びに海鳥解説付きで¥7,000円(2014年7月現在)なのだからリーズナブルすぎる価格設定だと思う。

こういう時は2時間半座らず、立ったまま常に水平線や波の動きを観ながらバランスを取り、片手で船の何処かを掴んでいれば酔い難いはずだ。しかしその状態で目指すエトピリカなどが現れた場合はシャッターを切る間だけ両手を離して両足だけででバランスを取り続ける必要が有る。だからこれに慣れる意味で、1回の出航は練習に費やさなければまともな成果は得られまい。
結論から言えば、自分自身が漁船2時間の揺れる船上からの撮影に慣れる事、そのためのカメラ機材選択、風波でも船が切り裂く波の飛沫が出る為、これを必ず被る際の防御方法など、まず1日は練習と割り切った乗船を覚悟すべきだろう。後の2日間は天候とl霧と波の状態、並びにお目当ての出現確率を考えての保険だ。
いきなり1日だけの予定で行っても、思う通りの撮影が出来ない事だけは言える。海や船に関してある程度の経験がある自分でも、今回3日間で3回乗船する余裕を持ったお蔭で満足のいく成果が得られたと確信している。もちろんガイドさんや船長さんと良くコミュニケーションを取って疑問時効は何でも訊いておくことが非常に大切だ。
この辺りはあくまで乗船者側のリスクなので、エトピリカなど日本における貴重生物に出遭いたいという気持ちと、自分の海に対する経験と体調を天秤に掛けるだけの余裕が欲しい所だ。しかし「せっかく高いお金を出してここまで来たのだから・・」という自己都合の甘い考えの者の場合、大体において何らかのトラブルに成っているようだ。大自然の厳しさと、人間がそれに合わせられる限度は非常に狭い範疇である事を今回も勉強させてもらった。

落石ネイチャークルーズ: http://www.ochiishi-cruising.com/

 結果は22日(海霧―晴天うねり3m)23日(海霧―雨うねり2.5m)、24日は撮影目的の乗船客が多い為、自分はキャンセル。25日(晴天・うねり無し)は大成果!結果として乗船した3日間とも狙いのエトピリカにはスーパーガイドの新谷さんのお蔭できちんと遭遇、ラッコやカンムリウミスズメなど珍しい対象にも出遭えてラッキーだった。
根室市観光協会バードウォッチング観光振興アドバイザー 新谷耕司さん・通訳案内士資格者

自分は海に出ていた・・と言っても湘南やハワイの暖かい海ばかりだったし、風速7~8m/sの風が強い日ばかりだった。しかし、道東の海は比べものにならない程冷たい。落ちたらそう長くは持つまい。3日間乗船した内、2日は沖縄方面の台風のうねりが入り、乗客の殆どが船酔い状態で大変気の毒だった。特に22日の雨の日は高いレンズを装着した関西方面からの乗船客はせっかくエトピリカ出現と云う時にも立ち上がれなく可哀相だった。





 落石漁港は根室市内から20km足らず。海岸の崖上を走るラインを20分も運転すると落石漁港に到着する。今の時期出航の2時間前に行って崖沿いや丘の上の草地でノゴマ、シマセンニュウなど本州以南ではなかなか出遭えない野鳥を撮影する事が出来た。要は道東エリアは全体が公園の様なものでそこここに野鳥が一杯いると言っても過言ではない。今回其れに一番驚いた次第。今日は取りあえず落石ネイチャークルーズの概要を紹介しよう.

天然の良港落石漁港にはオオセグロカモメが群れ飛んでいる、繁殖地でもある。

大体朝10時出航12:30帰還が今の定期便、週末は1日2便。船長は超ベテランの現役漁師だ。

国際ネイチャーガイド資格保有者・新谷(にいや)氏の丁寧でサービス精神100%の解説。

舳先に陣取り360度をくまなく捜索しお目当ての海鳥を見つける。

エトピリカ繁殖地のユルリ島の七つ岩

ウミウやヒメウの繁殖地。ユルリ島もモユルリ島も天然記念物で上陸禁止。

初日22日、つがいでモユルリ島上空を飛ぶエトピリカ

このユルリ島。モユルリ島上空を飛ぶエトピリカの撮影はなかなかチャンスは無いが可能だ。

笑顔で戻って来られる乗船客は満足した証拠。南の漁港と異なってあまり魚臭くない。

海霧が当たり前の根室南部海域だが、海霧の日や雨の日は海鳥は割に岸近くに居るものの、一旦晴れると殆ど見通しの良い沖に出てしまうので、逆にクルーズ船の航路上で出遭える種類や個体数は減ってしまう。この辺りは事前の準備50%運が50%だろう。日ごろ自分の行いに精進する事が必要かもしれない。
初日7月22日の出航時は深い海霧に覆われていた。

帰ってくる昼過ぎには根室方面が海霧に覆われていたが落石漁港は晴れあがった。

落石漁港は天然の良港初日の朝8時半の全貌。とても雰囲気が有る。

朝の落石漁港の海霧。低い所は全く視界が効かないだろう。

防波堤の上はオオセグロカモメとウミウで一杯。これも見ごたえがある。

初日の成果含めたレポートは順次アップしよう。