2023年7月8日土曜日

普通の野鳥写真と野鳥の生態写真の違いを考える。 Think about the difference between normal wild bird photograph and wild bird ecological photograph.

  野鳥撮影は楽しい。しかし、手間がかかる。忍耐力が無ければ上手く行かない。

 何処どこに何が居る・・と仲間からの情報で駆け付け、撮影し、撮れた画像を仲間と見せ合うのも良いだろう。予想もしなかった珍しい種に遭遇して撮れて自慢するのも良いだろう。野鳥撮影の楽しみは千差万別だ。

 どれが正しくてどれが正しくない、あるいは本来どれが良い悪いなどと撮った写真を比べて優越感を得るなどという世界でもは無いはずだ。

 しかし実態はそうでない事は皆が知っている。餌を撒いて野鳥を傍に寄せたり、夜寝込んでいる野鳥の群れを大きな音を出して飛ばし、その写真をコンテストに出品しトップ賞を獲った馬鹿者が要るし、それを褒めたバカな審査員たちがいるのが実情だ。

 それに対して「野鳥の生態写真」は大きく質が違う

 生態写真にはコンテストも優劣も無い。ありのままの野鳥の生態を撮った「証拠画像」なのだ。その野鳥がこういう事をするんだという「証拠」を瞬間を撮るのが生態写真なのだ。

 まず撮る前に目指す被写体を探すまでが大変。その次にその被写体が何をしようとしているのか観察しなければならない。この観察の時間が非常に長いのが生態写真の特徴。

 ただ居たぞ・・というのではなく、食事をしているのか、餌を狙って飛びかかろうとしているのか、羽繕いをしているのか、縄張り争いの最中なのか、はたまた撮影者に興味を持ってこちらを注視しているのか?

 そのどのシーンでシャッターを押すのか数秒の間に考えねば「生態写真」は撮れない。

 生態写真と野鳥写真の違いを表す実例をカワウでご紹介しよう。

 今回調布市文化会館たづくりで開催中の写真展「私たちと野鳥の楽園・野川」にも羽を広げて撮影者を見ているカワウの写真が展示されている。

 実はこれもただ居るのとは異なって、濡れて重くなった羽根を天日で乾かしているので生態写真の一種であるのは間違いない。しかも撮影者を注視するのは珍しい。

 しかし本格的なカワウの珍しい「生態写真」となると写真展のテーマとはかけ離れてしまう荒々しさ、生々しさが出てしまう。
2022年上野不忍池でのタウナギ争奪戦のカワウ。

 勿論、野川が清流でタウナギなどが居ないエリア(下流部には居る可能性がある)なのでこういう写真は撮れない。タライのようなスッポンが生息する不忍池だからこそだろう。