ヤマセミと言えば深山に棲む非常に警戒心の強い野鳥で、群れを成さず2㎞四方に1つがいしか分布しない、絶対数の非常に少ない野鳥だ。撮影するにも写真家さんが非常に苦労するほどの被写体。
しかし、今から12年前偶然その幼鳥を拾ったケースを情報として頂いたことがある。情報を頂いたのは2010年頃。拾われた年は2006年頃だという。
話はこうだ・・。
人吉市にお住まいの方が鹿児島県方面へ車で行かれた帰り、道路上で見慣れない野鳥が動けない状態で居るのを発見、保護された。まったく観たことが無い鳥なので、てっきり外国の鳥だと思ったという事だった。
人吉市にお住まいでも、市内球磨川を飛び回るヤマセミを知らないという方は今でも普通、当たり前の事だという。ウグイスに続いて二羽目の市の鳥に追加指定されて、初めて知った方が多いのもうなづける事だ。ましてや2006年ではまったくヤマセミという野鳥の事を知らない人がほとんどだったろう。
で、当然連れ帰ったものの、どうして良いかわからず、すり餌などを作っても一切口にしないので2~3日後、営林署に届けて引き取ってもらったという。
その間、自宅の部屋の中で保護したが、人懐こく肩に留まったり手に乗ったりした証拠画像データを分けて頂いた。
画像データを頂いたた2010年その当時はまだこのブログなどを始めていなかったので、筆者もご紹介する機会が無かったが、今ここに公開させていただく。胴体脇の錆色からして巣立って間もないオスの幼鳥である事だけは判る。
営林署に引き取られた後どうなったかは全く消息不明だ。多分自然へ返されたことと思う。ヤマショウビンの存在をご存じの営林署の署員がヤマセミを知らないという事はまず考えられない。
警戒心の非常に強いヤマセミだが、幼鳥の間はなんにでも興味を示すので撮影していてもすぐ傍まで寄ってくる。この画像が撮れたこと自体に不思議はない。