2017年6月27日火曜日

リュウキュウサンショウクイの繁殖行動を観察した。I observed Ryukyu minivet in breeding season at southern Kyushu area.

 概ね今年の野鳥の春先の繁殖行動も終わった様なので、最盛期の状況を振り返りつつ観察レポートをご紹介したいと思う。
 
 今年は春先一時低温の期間があり、桜の開花も遅かったが一旦開花したソメイヨシノが3分咲きのまま約一週間止まってしまう等、ちょっとした異変が在ったのは覚えておいでだろう。鹿児島でのソメイヨシノの開花が4月5日⇒満開4月15日(東京は3月21日開花⇒満開4月2日)という信じられない程南の地域の開花が遅れた。平均して例年より1~2週間も遅かった。

 これは、球磨川流域人吉盆地の錦町におけるツクシイバラの開花が遅かったのと同じ様だ。全国的に季節の変動に異常が生じているのは感じているが、何と梅雨入りしたものの、来週には一時的に梅雨明けの様な高温・晴天日が続くようだとの10日間予想が出ている。全国的な話らしいが、万一もしそうなったら今年の夏は直ぐに水不足に成ろう。

 季節が遅いから、自然界全てのテンポが遅いかと思うと実はそうでもない状況を観察している。今年のヤマセミの交尾を早くも2月1日に撮影している。頻繁に行われ始めるのが過去において2月後半だったのに比べ、寒い真冬の早朝に交尾を始めてヤマセミは、今年の気象をどう考えたのだろう。
 一方で交尾早かったが、人吉市界隈で今年巣立ったヤマセミの幼鳥の数は例年の半分以下というデータが集まっている。

 7年間観察してきて、主要5カ所のヤマセミファミリーに生まれた幼鳥の最大値は12羽だったが、今年の春はまだ3カ所で5羽しか確認できていない。人吉市郊外の2カ所では繁殖成果が無かった様だ。巣の傍にヤマセミの羽根が落ちていたとか、姿自体が目視出来ないなど協力頂いている方々から情報が入っている。

 此処でメディアの方々などに邪推されない様にお断りしておくが、この減少は3月に人吉市がヤマセミを「市の鳥」に加えた結果、見物人が増えて繁殖に影響した訳では決して無い。市内で間近に観ることが出来るエリアでは繁殖は成功している。期待に反して繁殖が出来なかったあるいは失敗(推測)したと思われるのは、郊外の人が居ない場所での状況、したがって原因は他に存在する。

 ヤマセミの件に関してはもう少し精査して、後日レポートするとして今日はサンショウクイ、リュウキュウサンショウクイの今年の繁殖レポートをお届けしたい。5月に一度途中経過をレポートしたが、その際は一部未だ巣立って居なかったので動画・静止画共に投稿をストップしていたが、無事に巣立った様なので改めてここでレポートをご紹介。
   https://www.youtube.com/watch?v=rpdShBTeQzM



複数の観察者が60m離れて観察した結果の動画を短く編集してみた。CanonEOS5DMarkⅢの動画機能なので限界はあるが、雛の糞を咥えて捨てに行くとか、虫系の餌を与える様子が見てとれよう。

 静止画の方は日光東大植物園と東京・三鷹の野川沿いの広葉樹林帯でのサンショウクイ記録だ。いずれも5月初旬の記録。

東京三鷹の野川沿いの広葉樹林帯で5月


上が幼鳥。下が餌を咥えた親鳥(三鷹)

まさに給餌のシーン(日光東大植物園で5月8日)



離れて幼鳥を待つ親鳥(日光)

以前カワラヒワの樹上での幼鳥給餌を撮影したが、ほぼ同じ状況だった。