2019年10月27日日曜日

生の自然に接しないから自然の怖さが判らないのだ。 You can't understand the fear of nature because you don't touch the real nature.

 ラグビーワールドカップの裏で、幾人もの方々が自然災害・豪雨・洪水で亡くなっている。最近の日本列島は天国と地獄が共存しているように思えて仕方がない。

 前にもこのブログで述べたが、筆者は1960年代に熊本県八代市で二度の床上浸水を経験した。台風で切断した電線が洪水面に触れ、バタバタと人が感電して倒れたのをゴミ箱の上に乗って目撃した。

 庭の四隅の木塀が音もなくこちらへ倒れ、茶色い泥水があっと言う間に押し寄せてきて10分で部屋の畳が浮いたのを覚えている。床の下から愛犬のコリーがずぶ濡れで這い上がってきたのがいまだに何度も甦る。川の氾濫は物凄いスピードだ。3.11の三陸の大津波と同じと考えて良い。

 しかし、東京、神奈川、千葉、その他関東の人々、それも特にマンション住まいだったりすると、こういう自然が壊れていく経験はあまりないと思う。九州で育った人間などは年間数度の台風に直面するから、そのメカニズムと怖さの程度を知っている。

 これらは決して自慢などではない。自然が生活に非常に近いのだ。高層マンションからTV画面を通じてNHKの自然番組を観るのとは訳が違うのだ。

 家の中には家蜘蛛やヤモリが居る。ネズミやゴキブリはほどほどにいる。昆虫はもちろん、カエルの声などに囲まれて生きている。電車や車の騒音をバックに生活している都会人とは基本的に住む環境すべてが違うのだ。

 だから、役所などから避難指示、避難命令と言われても何をどうすればいいかの行動そのものが異なる。山や川に囲まれた地方の人々は、崖が崩れても、川が氾濫しても命を保てる場所を知っているから、まだ台風が遠くにあってもその進路を観て避難するタイミングを知っている。
 しかし、公共交通機関の少ない地方は車社会だ。アメリカ大陸と同じ。したがって車で行動するから、タイミングを逸すると車ごと遭難する。一時交通事故多発の時代言われた「車は走る棺桶」が別の意味でその通りになってしまったのだ。

 車利用が多くなって、老若男女が歩かなくなったため腰痛持ちが地方に増えたという事と同じ現象だろう。

 東京など大都会はさらに行政がいい加減だ。普段電車やバスで役所通いをしている役人たちは、台風前の「計画運休」をされると自分の職場に行けなくなってしまう。おまわりさんの駐在所のような訳にはいかないのだ。

 そのせいか、今度の台風19号ではこういうバカなことが起こった!役人・役所が仕事と責任を放棄してしまったのだ。「どうしようもない」と言って。
 
こんなことが平気で報道される世の中になっているのだ。読売新聞より。

 しかし大都会で、250万人の避難方法が無いって、本当か?

 海抜ゼロメートル地帯の下町と言えども3~4階建てのビルが並んでいるだろう?この街並みのいったい何処に逃げ場がないのだ?
 日頃からいざと言う時、水深10mになることを予想して10m以上、ビルで言えば4階以上のフロアで一時的に避難場所を提供してくれる所を探しておけばいいだろう?事務所でも倉庫でも構わないはずだ。水が引くまでの間だけなのだから・・・。

 で、いざと言う時には避難者(誰でもという訳ではなくご近所の人)たちを受け入れることを条件で、そのビル法人なりオーナーは特別免税措置を受けるとか、災害用品の備蓄を受けるとかすることで優遇し、近所に場所の徹底を行えば良いではないか。

 皆で手を分けて当たれば3か月で現場調査くらい完了出来よう?江東区の職員が江戸川区まで出張して調査をする訳ではないのだ。

 一方地方においては今回の台風19号の川の水の物凄い破壊力の画像を見せてくれた友が居る。長野県望月の小さな川だが、自然の脅威とはまさにこれだろう。
台風前川床や土手の草を刈って流れをよくする準備を総出で行ったが・・・

長野県佐久市望月町の鹿曲川、羽田聖一氏撮影

 台風が去った後の水で土手が削られきれいになってしまった。レンズのズームが違うので誤解のない様に上の画像部分だけを表すと、下の画像の黄色い線内になる。オーバーフロウして氾濫しなくても、濁流の勢いはこれほど地形を変えてしまうのだ。
 台風・大雨の際に川など視に行ってはいけないという意味がお分かりだろう?

 今から8年前、東京で1時間に100㎜を超す物凄い集中豪雨が在った。ちょうど環八を南下していた筆者の運転席からは、すぐ前の車のテールライトやブレーキランプが見えなかった。
 そうして、JR中央線に差し掛かって、中央線の南側に行くには何処を通れば行けるだろうと考えた。鉄道のアンダーパスで水没した車を幾度もニュースで見ていたためだ。

 荻窪の陸橋はアンダーパスだ。三鷹のむらさき橋への道も同じ。
平地で中央線の高架を潜って越えられる大きな道は吉祥寺くらいしか無い!と思いそのルートで無事に南側へ出られた。しかしジブリ美術館付近で水深が既に20㎝ほどになっていて普通の乗用車は通行困難だった。
 筆者のスバルのアウトバックは床下20㎝クリヤーなので何なく通行できたが、自分の車の床下車高と道路の状況をよく把握しないと、ニュースに載る事になってしまうだろう。日頃からの非常時への予測が大事だ。

 今回の大雨で、茨城県は物凄く費用をかけた災害時の避難施設を避難者に開放しなかったという。とんでもない行政の怠慢だ。これで死者が出ていたら誰がどのように責任を取るのだろう?
 大体において総合避難所の運営を民間に丸投げするなど言語道断だと思うが如何だろう?こんなことが頻発している、己の身は己で守るしか無い世の中だ。気を付けよう。