2019年7月30日火曜日

ヤマセミの二羽編隊飛行の理由。 The reason why of pair flights of the crested kingfisher.

 東京に住んでいてヤマセミの姿を拝むには、奥多摩辺りに行かねばなかなか難しいだろう。10年程前には東京多摩の日野辺りの多摩川や相模川あたりにも飛来したらしいが、もう今はなかなかそういう情報を聞かない。

 もともと半径2kmのエリアに1つがい程度の生息密度なので、基本的に数がそう多い野鳥ではない。
 ヤマセミの飛翔シーンを連写で数多く撮影出来るのは、やはり南九州、見通しの良い繁殖地・球磨川流域が一番だろうと思う。

 川幅が150m以上あり、左右1km以上見晴らしが良い観察場所は人吉市郊外含めて数多く存在する球磨川流域が最適だと思う。

 初夏の繁殖期におけるヤマセミの生態は、通年で観察していてもやはり一番内容の濃い生態データを収録できる意味で、貴重な時間だ。

 今日の生態画像データは、長い時間二羽で飛びまくるヤマセミのメス二羽の様子だ。何と親子ではなく成鳥2羽のメスのようなのだ。

 今後、このブログでもご紹介しようと思うが、この2羽を含むファミリーは実に最大8羽の構成である事が判っている。普通ヤマセミは6~7個の卵を産み、5羽程度が孵化し巣立つのは3~4羽というのが筆者10年間の観察記録からする平均値だ。巣立つ幼鳥が1~2羽というケースも多い。

 繁殖期のファミリーが6羽以上で構成される場合、前年の子供(今年の幼鳥から見れば叔父・叔母?)が繁殖相手に恵まれず一緒に行動する場合がある様だ。親のつがいの繁殖の手伝いをしていると思われるシーンを幾度か収録している。

 今回のメス2羽のダブルフライトは双方に幼鳥斑が視られないので、ひょっとするとそのケースではないかとも思っている。
 もし片方が幼鳥であれば、必ず前を行くのが幼鳥なのだが・・・。
極めてお互いが近い距離で二羽のメスが飛行して接近してきた。

水面近くではなく高度10mほどの樹林帯の縁。

普通この手のダブルフライトは前が幼鳥、後ろが親で飛行訓練になる。


 しかしこの二羽は脇腹にある褐色の幼鳥斑が視られず、二羽ともに成鳥のような感じだ。今回の観察行でメスの成鳥同士の争いをレポートしたばかりなので、そういうケースもあり得るが、争い合っている様子は見られない。