2023年12月24日日曜日

団塊世代は自然系・環境系関係者に凄腕のイラストレーターを紹介したい。 Baby boomers would like to introduce an great skill illustrator to the nature/environmental genre.

  筆者は大学では一応教育学部の美術専攻科を出てはいるが、もともとアートに関する才能は持ち合わせていなかった様で、己の生み出す作品で食って行けてはいない。この先も無理だろう。

 団塊世代の人数の多さにあきれ果て、最初に入った早稲田の教育学部を1か月で辞め、阿佐ヶ谷美術専門学校に入ったものの就活で世の中の仕組みにぶち当たり2年で辞めたのだった。

 それで、東大・教育大入試中止の大騒ぎの中、横浜にある大学の美術専攻科に入り直したという中途半端な過程を経ている。社会人現役時代はアパレル企業・広告代理店で企画畑(スポーツジャンル・国家規模の文化催事)を進んだ。

 しかし、プランニング・ディレクター、プロデューサーという職種ながらイラストを使う仕事は多く、スポーツイベントにしろ文化催事にしろ数多くのポスターを制作した中で数々のイラストレーターさんに仕事をお願いしてきた。

 10年続いたフロムエー・カップと言うウインドサーフィンの大会ポスターはすべてイラストだけで構成されている。人気ポスターだった。

 一方で・・。

 1970年頃雑誌ビッグコミックの表紙を描かれた伊坂芳太郎氏は、阿佐ヶ谷美術専門学校の大先輩だし、阿佐美の人々と幾度かアトリエへお邪魔した。

 平凡出版の雑誌平凡パンチの表紙を続けた大橋歩さんにも渋谷の八幡通りに在る事務所(当時)に数度仕事をお願いに上がった。「もう平凡パンチの時代のあの絵は描けないのよ・・・、」と断られた記憶もある。

数年前丸ビルで行われた大橋さん展覧会で・・。

 同じく平凡出版⇒マガジンハウスの雑誌ポパイ、雑誌オリーブを手伝った頃は、小林泰彦さんの六本木のアトリエにもお邪魔した。

 そのほかスーパーリアリズムのイラストを描く方や、アウトドア系、スポーツ系を得意とされる方々と仕事をしたが、数多い著名な方の中ではごくごく少数の方々しか知らなかった。

 こうして、著名なイラストレーターさん達は一般的にメディアに載る頻度に応じて、独特の雰囲気と独特の味を持った看板スタイルが出来てしまう。伊坂芳太郎氏にしろ小林泰彦氏にしろ「あーあのイラストね?」と言った感じでその世界が頭に広がるのは間違いのない所。

 ところが、今年7月に初めてお会いした(日本を代表する写真家・佐藤秀明さんに誘われて参加させて頂いた写真展「私たちと野鳥の楽園・野川」に来てくださった。)イラストレーターさんは今まで筆者が知っている方々とはちょっと違うスタイルの方だった。

 何が違うかと言うと、博物(動物・植物・鉱物)すべてに造詣が深く、被写体をつぶさに観察して、伊藤若冲の動植綵絵さながらの細かい仕事で作品を仕上げる方なのだ。

 たぶん相当気を入れて念入りな作業が必要だろうと思う。かといってすべてがそうではなく子供向けの絵本の絵もそれなりに子供の目線で描かれている。

ご自分が渓流釣り・フライフィッシングのアングラーだけに、特に魚や渓谷に存在する動植物に関しては詳しい。蝶などに関してもギフチョウやツマキチョウなどなかなかお目にかかれない希少種もさっさと仕上げている。奄美の田中一村再来か?と言うような感じすらする。

 田中一村は自分で撮った写真をベースに作品を仕上げているケースも多いが、この女流イラストレーターさんの仕事のプロセスなど、今非常に興味が湧いている。

 特に筆者が生態を研究している野鳥のジャンルでは日本三大鳥類図鑑のイラストを描いて有名な小林重三(しげかず)氏の「鳥類原色大図説」の全種カラーのイラストは名前を知らなくても一日中見ていて飽きない素晴らしい図鑑だが、これに匹敵するスキルはお持ちだと察する。

筆者蔵書の日本三大鳥類図鑑、右の三冊が鳥類原色大図説(非売品)

 自然物、特に動植物を図鑑などで表すには「写真」ではダメなのだ。その生き物の特徴をほとんど一枚の「画像」で示さなけばいけないから・・。野鳥で言えば顔の横顔、胴体の横・胸・尾羽が一枚の画像で・・。しかもカワセミの様にきれいな色が構造色の場合、光の加減で青く見えたり緑色に見えたりする(信号機の青と緑の意味とは違う)

 これらを正しく描くには写真ではなくイラスト・描写でなければならない。

 「山と渓谷社」や地方の鳥類団体が鳥類図鑑を写真で出版しているが、やはり光の関係で決して正しくない。老舗「山と渓谷社」の様に数枚の写真が必要になる訳だ。英国の植物図鑑がイラスト(=ボタニカルアートという高い描写技術の専門ジャンルまで形成している。)で出来ているのと同じだ。

 したがって、自然系、地球環境系の出版物・ネット・WEBサイトの主催者は是非彼女の作品を一度ご覧ご覧になってほしいと思う次第。昔と違ってなんでも写真や生成系AIで処理してしまう時代、稀有な存在の様な気がする。

 現在、東京のど真ん中銀座4丁目・服部時計店・和光の6Fホールで展示会をやっている。今日日曜日・明日月曜日で終了だからまだ間に合う。今はやりのアニメの世界とはちょっと違う「描き込んだイラストレーション」の細かさに驚くと思う。

 同業の方々よりははるかに少ないが、広告代理店で30年近くイラストレーターさんと制作仕事をしてきた中でちょっと気になっているので、このブログでもご紹介させて頂いた。

 個人的なプロフィール・作歴に関してはWEB上の彼女の紹介サイト程度しか知らないが、被写体への観察力は相当素晴らしいと思う。

FB上の告知

 

このお雑煮の絵の中に「象=ゾウ」が5頭隠れているという。

 

 ご本人がアングラーだけに川魚、川虫、初春の植物など詳細画。川底の石など上から下へ上流のモノ、下流のモノと変化させている。アングラーでも見落としそうなきめ細かさ。

 


 

花屋さんでも判らないほどのいろいろ椿?

 

この手の合同展覧会では圧倒的な集客力を持つ作品群だ。

 

 是非会場で作品をご覧になりつつ、いろいろ制作ポリシー、プロセスを尋ねて頂きたい。彼女の凄腕が良く判ると思う。午後2時過ぎには会場で逢えるはず。詳しいことはご本人からお聞き願いたい。

・・・という事で、復活しました。

 筆者のブログの週間アクセスランキングでもしばらくトップです。ブログをご覧になって会場に足を運ばれた方々、ありがとうございました。

また次回以降の彼女の作品に期待をしたいと思います。