昨日の前半は球磨川の鮎漁師・島津富男さんに焦点を当てたパートだったが、今日の後半はその鮎漁師と持ちつ持たれつの関係で如何に仲が良いか、長い事球磨川に生息する山翡翠(=ヤマセミ)の話。
本格的なプロの野鳥写真家・嶋田忠さんの千歳川のヤマセミをNHKの番組などの動画、彼の写真集で知って夢中になり、八代駅前のミック珈琲店の出水晃マスターの一言で球磨川流域一帯と人吉市のヤマセミの存在を知った筆者だ。
行く度、ミック珈琲店で出逢う球磨川漁協の元総代平山信夫さんの指摘通り、神瀬附近で実際にヤマセミに遭遇、撮影もしている。漁師さんの言葉に嘘はない。普通の人が見落とす流域の動植物・自然の変化をすべて実際に目視で確認している。命に係わる日本三大急流・球磨川での漁は、こうした自然の変化に敏感でなければやっていけないのだ。
実際12年間のヤマセミ観察中、球磨川(支流を含む)で命を失くされた方の話を幾度か聞いたことがある。
千歳川のヤマセミをイメージして人吉のヤマセミに対峙してきたこの間、あまりのその生息環境の違いに未だに驚かされ続けている。本来、深山の清流に住むヤマセミが千歳川のそれだとすると、人吉の街中を乱舞するヤマセミは一体何なんだろう?
勿論人吉市に人間が根を下ろす遥か前から、此処のヤマセミの先祖は住みやすい場所として人吉盆地の球磨川流域で繁殖し続けて来たのだろうと推測する。
此処のヤマセミが、球磨川の漁師の網干し竿や舫い船をその生存に都合よい採餌スペースとしてちゃっかり活用している様は、千歳川の場合とあまりに違う環境ととらえ、記録しておこうと思ったのがこのミニ写真集制作のきっかけ。
同時に、これだけユニークで他に類を見ない自然の特異性を人吉市が「唯一無二の宝物・観光資源」に出来ていない事を非常に残念な気持ちでいる事を述べておきたい。