野鳥の撮影を始めると、どうしてもその姿を探そうと躍起になるが、木の葉が生い茂り始めるとそれは非常に難しくなってくる。真冬のように落葉樹の葉が落ちて枝だけになった樹木に留まる野鳥のようには行かなくなる。筆者が行きつけの明治神宮もまさに今その新緑のシーズンを迎えている。あと10日もすれば上を見上げても空は木の葉で覆われてしまうだろう。
そんな中、囀り始めたウグイスがその存在感を日に日に高めている。下手すればウグイスばかりに気を奪われて明治神宮100年の森に入っても他の野鳥の声に気が行かなくなってしまうかもしれない。
そのウグイス、庭の梅の木にウグイスが来たと喜ぶ話が昔からあるが、ウグイスはめったな事では梅の花木には来ない。花が咲いた梅の木に来るのは花の蜜を吸いに来るメジロとヒヨドリだ。ウグイスは「ムシクイ」の仲間だから動物食の野鳥なのだ。明治神宮で木の実やヒマワリの種を手のひらに乗せて差し出してもヤマガラのようには絶対来ない。小さな蛾や蚊など虫を乗せて待てば来るかもしれない、それも生きたまま・・・。
しかし、ウグイスは春になって何処からか渡って来たり、突然湧いて出て来るのではなく、真冬の時期からそこいら辺の藪に居るのだ。チャッチャッ♪と啼いて笹の葉を揺らしながら移動している。
これが繁殖期に成って、縄張りを主張する為ホーホケキョと囀る訳だ。縄張りを主張するのだから地味ではいけない、藪から明るみに出て来て囀るようになる。しかし其れはほんの瞬時の事で、やはり木の葉の下側を移動する。シャイというより警戒心が強いのだ。
今日のウグイスはそんな中、明治神宮の御苑の中で忍耐強くウグイスの声を聴きながら、藪の前でしゃがんで待って撮れた画像。団塊世代の72歳が上下スクワッドを何度も繰り返してやっと撮影出来た画像だ。夕方家に戻って爆睡したのは言うまでもない。