もしこれが営巣の為の巣穴掘り中であれば、2羽が穴に入っても2羽とも出てくるという事に加え、くちばしの先に泥や土が付いているはず。
一方で、既にヒナが孵化していれば餌を咥えて親鳥が巣穴に入るはずだが、今回の2羽は餌を持って巣穴に入らなかった。
真っ暗な頃から観察した訳では無いので、筆者が観察を始める前に一晩中卵を温めていた親が自分の朝シャンと朝ご飯を摂りに2羽揃っていつもの採餌場に行っていたと思われる。この時期ある程度暖かければ、温度が安定している巣穴の卵は1~2時間放っておいても大丈夫らしい。
4年前じっくりと巣立ちを観察したエリアからそう遠くはないのだが、以前にもまして交通量や人の出入りが激しいにもかかわらず営巣するヤマセミは完全に人間の生活を見切ったようだ。人間が誰もいない大自然ではなく、逆に人間の生活圏内、民家のすぐ傍で繁殖することでて天敵アオダイショウや猛禽類が近寄らないという知恵を身に付けたのかもしれない。
今回新しく発見された別のヤマセミの巣穴はある施設の裏山、建物から数十メートルの距離に掘られているという。ただ裏側なので人間が穴の前に来る事はほとんど無い場所だとの事。これは人吉だけの特異性なのか?5月の長期滞在時に色々調査を深めたいと思っている。
今回の観察も迷彩ネットでブラインドを造った車の中からの観察・撮影だった。2日間のうち初日は途中から陽が出て暑く、宇宙船の中での活動のようにしんどい観察だった。
何台も筆者の車の前を通り過ぎるが、勿論筆者にも、ましてやヤマセミの巣穴にも気が付くものは皆無。
撮影はコンテストに出したりするのではなくあくまで証拠記録用なので機材はこんなもの・・とはいうもののフルサイズのデジタル一眼に50~500mmズーム装着の機材。双眼鏡、記録帳、予備のカメラボディなど。
最初に一羽が入り、
2分後にもう一羽が入った。
後ろ向きに出てきたのは1羽だけで、その後3時間変化はなかった。
後ろ向きに出て来る事こそ巣穴の中の産室にもう一羽親鳥が居るから方向転換して出て来られないことを意味している。