ここ数年、倒木による全国各地で起きる死亡事故、交通遮断事故のニュースがメディアにより報じられている。
2日前は日野市で銀杏が鈴なりになって重くなったイチョウの太枝が高さ10m附近で折れて落下。下に居た男性が亡くなった。昨年4月には相模湖のキャンプ場の倒木で女性が亡くなっている。
いずれも根腐れか、樹木そのものが枯れた事が原因。そうして日野市のイチョウは銀杏鈴なりで枝がその重みに耐えきれずに折れて落下だそうだ。
この夏、都心でも台風10号という迷走台風の影響で高さ15m以上の欅の倒木が発生した。それも都心の一等地、一室(2LDK?)が3億円以上するような高級マンション街だ。
このマンション街の交差点・横断歩道の樹木(=ケヤキ)が倒れた。何と台風の瞬間風速16m/s程度の風だという。台風の風速としては普通のあたりまえの風速だ。
台風の風で倒れたのであれば附近の樹木(ケヤキ並木だから)にも影響が出るはずなのに一本だけ倒れた。ニュースの画像を見る限り素人でも根腐れが原因と判る。交差点の横断歩道脇の樹木だもの、毎日犬の散歩の人が何百人も通るのだろう。信号待ちの際愛犬がおしっこをしたから根腐れ・・という事は容易に想像できるがメディアは一切何も言わない。
これらのニュースが最近結構流れたが、そういえば神宮の杜(自然林ではなく人造林なので森ではなく杜という漢字を使用する)の樹木伐採騒ぎの人々はこういったニュースをどう見ているのか気になった。
筆者は新緑の時期と紅葉の時期に絵画館前のイチョウ並木を訪れる。その際に銀杏並木の木の形が他所と比べて非常にユニークな事を昔から何故だろう?と思っていた。てっぺんへ行けばいくほど細く細筆のようになっているからだ。
今回のイチョウの枝落下での死亡事故を知って「そういう事だったか!」と思った。
銀杏の樹は雌雄があって銀杏が生る木は枝先に100㎏にも及ぶ銀杏を下げる場合もあるという。考えてもご覧?100㎏の大人が枝にぶら下がればいくら巨木銀杏でも枝は折れる。
そこで絵画館前の樹木管理者はそうならないように上へ行けばいくほど枝打ち・剪定をして、銀杏その他による落下事故を防止しているのだと!
要は、神宮の杜の樹木も100年経って、根腐れその他倒木の恐れがあるから整理・整地という都市計画を立てて事に掛かろうとしたように思える。決して周りのビルや建造物の利権がらみの計画が先ではないように思う。
これがすべて育てて1~20年程度の若木だらけの時点での神宮の杜であれば、無知な人々による感情的な「樹が可哀そう、都心の緑を伐採するな!」という訴えにはならなかったろう。
毎朝散歩するコースの広場に青々とした葉を茂らせる憩いの樹が在った。これもケヤキだ。これが根腐れその他で伐採されて今は無い。説明を見ると仕方がないと思った。子供たちが連日5~60人は遊ぶ場所だもの。
一部の宗教的に騒ぐ一団に著名人が賛同を示すことで、植物や自然にまるで詳しい知識を持たない一般の人々が感情的に動かされ付和雷同で騒ぐ姿が何とも悲しい。
そういう人々は此処一連の根腐れその他の自然的理由で死者の出た倒木事故、どう感じているのだろう?
筆者は思う、その昔多摩川に出現、鶴見川に移動したゴマフアザラシの「タマチャン」、に制止を振り切って「餓死しないように」・・と餌を投げる見物人。北海道で道路で待つキタキツネやヒグマに「可愛いから」と餌をやろうとするバカ達。
野川自然公園の自然観察園入り口にたむろする野良猫(元は明らかに飼い猫)に餌やりに来る餌やりババアたち。あんたたちが死んだら誰が世話すんの?自立できなくされたネコたちも死ぬんだよ!?
このネコのお陰で自然観察園内の薮系の小鳥系(ウグイス、クロジ、アオジ、カシラダカ、ルリビタキ)は園内から絶滅した。2006年から観察撮影しているから知っている。
自然動物愛護に賛成するクセに動物園の檻の中の動物には哀れみすら感じない人間たち。
これと感情的に「樹を切るな可哀想」と声を上げる人々は同類だと思う。
根腐れして何時10m/sの風で倒れるか判らないような樹を「可哀想だから切るな!」と声を上げて運動をした帰りに花屋で切り花を「奇麗ね?」と嬉しそうに買って帰る不思議。
人間ってなんて自分勝手で無知でいい加減なんだろう?と思う日曜日の朝だ。