2018年11月19日月曜日

団塊世代は佐藤秀明さんの写真展「Lonesome Cowboy」展でまた多くを学んだ。The baby-boom generation learned again at Hideaki Sato's photo exhibition "Lonesome Cowboy".

 佐藤秀明さんと言えば、その守備範囲の広さで常にファンを驚かせ続けてきた稀有な存在の写真家だ。ニューヨークの摩天楼、ユーコン河など大河の自然、そうして一番ファンを虜にしたサーフィンを中心にしたハワイの佇まい。

 その彼がアメリカ大陸を永年にわたり幾度となく旅をして、日本人の知らないアメリカの佇まいを沢山収録してきたことを知っている人はあまりいなかったように思う。
 その彼なりの素晴らしい感覚で切り取った数多くの作品のほんの一部を公開した写真展「Lonesome Cowboy」が今新宿で行われている、11月26日まで。

 今日はその写真展の会場、新宿リコー・イメージング・スクエアで行われた会期中たった一度のギャラリー・トークの日だった。
 個人的にも1970年代から長い事尊敬してきた写真家さんなので、昨日午前中会場が開くと同時に写真展を訪問。幸運にも朝一から会場に来られた佐藤さんに、直接一つ一つの作品にまつわるお話と、撮影に至るプロセスと苦労話を伺うことができた。

 筆者がこの佐藤さんを尊敬し続けている理由の一つに、その守備範囲の広さがあることは既報の通りだ。恐ろしい程いろいろなジャンルに作品を残し続けている。今日のギャラリートークの中にも出ていたが、1940~50年代の古いアメ車を撮りまくった時代の作品が捨てるほど在ると仰っていた。
 そんなもん捨てられてたまるか!是非それだけの写真集を出してほしいものだ。本当の車好きには涙モノだろう。

 もう一つ尊敬に値するのが、その行動力と実行力だ。能書きを言ったり、持論を声高に述べる写真家さんが多い中で、寡黙ながらどんどん実務をこなし着実にすごい量の作品を積み重ねていくバイタリティに呆れつつも学ぶ所多い方と思っている。

 佐藤さんは普段は一緒に写真に納まってもなかなか笑わない。一人でのアメリカ撮影行中は一度も笑わなかったのではないだろうかとも思ったりした。100㎞四方、周りに日本人が一人もいない環境下でも平気でシャッターを切る生活がそういう習慣にさせたのか、若い時分余りに笑いすぎて、一生に笑う分をもう使い果たしたのか知らないが・・・。

 特に今回の撮影行で、30年も昔に行った場所を再び訪れた作品群はセンチメンタルジャーニーとは違う「あん時のあの場所は今どーなってるかな?」的な興味津々がエネルギーになっているのではないだろうかと推察している。これって若者のそれと全く同じだろう?
 相変わらず被写体への目の付け所、アングルや光やシャッターのタイミングなど作品から学ぶことが多すぎるのも、佐藤秀明さんの特徴なのだが、古希を越えて、まだそのエネルギーをたくさん持っている姿に今回一番影響を受けたかもしれない。

 コンデジ動画で収録した当日の様子。ノイズがうるさいがご容赦を。
https://www.youtube.com/watch?v=smQHWD1vAyg&feature=youtu.be

この動画の中で佐藤さんが話をしていた、現在のルート50に沿った当時の街道を早馬で郵便物を運ぶポニー・エクスプレスというシステムのブランド・シガー・ステッカー・シールを1986年にマウイ島のフリーマーケットで手に入れていた。要はたばこの木箱に貼るエッチングされたカラフルなステッカーだ。
こんなステッカーが32年後に役に立つとは思ってもいなかった。

 その作品のすばらしさは写真集で感じ取っていただきたい、人それぞれ好きな作品は違うと思うし、それが当然だろう。


最初は一見イラスト画かとも思ってしまう写真集の表紙。

左が30年前の酒場、右が今年の姿、ここには撮影物語がいくつも存在するとのこと。

リコー・イメージング・スクエアは2部屋で展開されている。

開始から一点一点丁寧に撮影時の解説が始まった。


来場者の皆さんより頭一つ背が高いその体格が撮影活動に有利であることは間違いない。

実に丁寧な説明が続く。

なかなか笑顔を見せない佐藤さんも遠くからの永年のファンには思わず笑顔が・・・。

ギャラリートークは熱っぽい進行で、いつまでも続いたようだ。